2009年07月13日
上に能あれば下に力あり
都議選が終了、大方の予想通り民主党の圧勝に終わった。
ただ誰もが理解している通り自民党と民主党に大きな違いはない。NZで言えば国民党と労働党の違いよりも少ないくらいではないか。
要するに党政略があっても国家の政策がないし、国民不在の状態でお上同士の喧嘩なので結局明治維新で武士同士が喧嘩してたときに一般市民は普通の生活をしてたようなもんだ。投票率も70%にも届かない。
NZだと地方選挙でも国政選挙でも投票率は70%以上だし大体選挙に行かなければ法律違反ですよと役所が訴えるくらいだし、その意味では国民が国民を励起している。
「皆さん国民が賢くなって自分の意見を言わなければ国は乱れるんですよ、あなたにとって住みにくい国になるんですよ」と訴えている。
選挙のニュースには興味があったので何日かぶりに日曜の朝の政治家が入った討論会をやってる番組のスイッチを入れた。
月曜日に大勢が出てきて民主党の大勝利ではあるが、それでも選挙に参加した人は50数%でしょ。
けど今回の選挙期間中に感じた空気は今までとはちょっと違ってた。なんだかうれしい定点調査だ。
結局「誰が政治家になっても世の中は変わらない、もっと言えば誰がやってもあまりに酷いことはしないだろう」と言うある意味楽観的な発想が市民にあるのだろう。
これが中国ならあり得ない。政治が変われば虐殺も抹殺も強欲な納税も何でもありだ。だから市民が共同して自警団をつくり「お上」と戦う必要がある。
ウイグル自治区での闘争も同じだけど、中国人の場合は政治がそのまま命に関わってくる。だから農民が平気で命を賭けてお上に逆らって戦う。けど日本ではそういう事はない。
まあ誰がやってもそこそこ酷いことはしないでしょ、そういう認識が大前提にあるのだと思う。
これはある意味では見事な分業と言えるのかもしれない。政治はお前らに任せた、おれは商売をする、そんな感じかな。
これから出てくる本当の問題は、民主党と自民党の違いよりも、日本はこれから米国と中国の間のどこに立場を置くかである。
日本は良くも悪しくもその場所において大国に挟まれており、まさか土地ごとどこか南太平洋に引っ越すわけにはいかないので、どうしてもロシア・中国・米国の狭間で生き残る道を選ばねばならない。
ただ今回の選挙でも街を歩いてて感じたのは、まだ国民全体がバカになっているわけじゃないからいけるぞって感じ。中国と米国の間でバランスを取りながらやってくぞって感じ。
感じばかりで申し訳ないのだが、街の空気ってのは紙に書きようがない。ただ色んな危機感は持つものの、やっぱり日本の強さは一人一人の底力だろうと思う。
レストランでご飯を食べてもデパートで服を買っても電車に乗っても、やっぱり日本人の「お互いを無条件で信用する力」は凄いと思う。どこの国を歩いてても、これだけは感じられない凄さだ。
だから本当に問題が出てくれば、例えば北朝鮮がバカな真似をすれば日本は一つに固まって外に攻めていくことが出来る民族である。そうなれば日本は強い。たぶん、民衆レベルで言えば世界で最も強力な民族ではないか。
なぜならそれは、団結が出来るからだ。
米国では海兵隊が諺のように「One for All, All for One」と訴えてるが日本人の場合はそんな事を言う必要さえない。何故なら誰もがうまれ持ったDNAなのか分からないけど、全体を守らねば個人は潰される、全体を守る為には個人が犠牲になることも当然と言うことを無意識に理解しているからだ。
米国では英雄願望が多いという。日本では英雄はいない。だって当然のことをしているだけだから、もし誰か一人を英雄と言うならば全員が英雄だ。
民主党が勝利してこれからの舵取りがどうなるかは不明。ただ思ったのは、今回の選挙期間中の東京の空気を感じて、お、まだ日本人はいけるぞってこと。
「上に政策あれば下に対策あり」の上下が敵対関係の中国と違って「上に能あれば下に力あり」上下合わせれば「能力」として力を発揮出来る上下が仲間関係になってるんだな。