2009年07月15日

夕暮香港

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夕暮れの香港、セントラルからの景色。流れるような車の群れと夕陽がバランスよく街を照らし出している。

 

飛行機の乗り継ぎ時間の間を利用して街に出て香港の友達と久しぶりにセントラル近くのランクワイフォンに顔を出す。

 

ここ、この細い坂道で十数年前の大晦日に東芝の駐在員がカウントダウンに遊びに来て群集に踏み殺された場所なんだよな、そんな事を思いながらすっかり景色の変わった街を眺める。

 

気温は32度、香港にしてはそれほど暑いと言えないし雨が降ってないだけまし。けど人間の体温からすればそりゃ暑い。道路に面したお店でよく冷やしたサンミゲルをごくごくと飲みながら最近の様子の情報交換。

 

何だか香港も一時期の金融ではなくて古くから得意とする中国を使ったもの作りに回帰しているような感じがする。

 

それにしても「感じ」ってことばを使いすぎるなとは思うが、街を歩いて空気を読むのがぼくの好きな市場調査だし、数字はインターネットでいくらでも探せるけど人々の顔に浮かんでいる表情だけは実際にそこに足を運ばないと分からない。

 

要するに今は世界全体が1980年代からの金融中心からモノ作りに戻り始めているのではないかと言う印象。

 

けどそうなると問題は米国だ。彼らはモノ作りを捨てて著作権とか金融とかに走った。だから世の中を動かすって意味での本来のモノ作り技術が失われているのだ。

 

車、映画、化学産業、テレビ、ラジオ、電話、たくさんの技術が米国で作られたけど、当時お人好しだった米国はそんな技術を次々と他国に公開することで真似されて追い越されてしまった。

 

そんな彼らが遂には東南アジアの片隅のベトナムでの戦争で多くの若者を死なせて国家としての名誉を失い何とか復活したのが1980年代だ。

 

善くも悪しくも米国の動きは世界に影響を与える。

 

著作権とITで力を取り戻した彼らは銃を突きつけて「オレのいう事を聞け」とグローバリズムの名の下に米国中心主義を世界に押し付けて企業原則や会計原則まで自分の都合の良いように改変させて世の中を操ってきた。

 

けど今回の香港滞在で感じたのは、おお、いよいよ中国が本気を出し始めてきたな、米国とは是々非々でやっていくんだなって感じ。

 

・・またも感じで申し訳ないけど、中国ってのは100年単位で国家運営をする国だから彼らからすればここ100年くらいの西洋の横暴は「ふん、図体がでかいだけのクソガキめ、ちょっと待ってろすぐに叩いてやるから」と言うところではないか。

 

中国では今すんごい勢いで内陸部を進化させている。湾岸部はもう充分に進歩した。上海等はすでに世界の中でも一流都市である。

 

つまり13億人の人口を使った国内消費で製造業を引っ張り上げて世界の中で王道を進めるという感じなのだ。

 

その窓口が三つある。一つは政府系で動くときのシンガポール、一つは上海等の大都市から直接外国企業に表立って動くときのケース、そして最後がどっちかってと裏だったり下だったり人に見せたくなかったり、要するに少し「香り」のする取引に利用する香港である。

 

香港では金融危機後に金融街が一気に冷え込んだ。けどそのまま街が沈むかと思ったらそんな事はない、この街ランクワイフォンでは今日も金融街の連中や色んなことしてる連中がぞろぞろと集まって午後の4時頃からあちこちの店で飲み始めて、なんつか礼儀正しい新宿歌舞伎町の雰囲気を見せる。

 

何やってるんだか分からないようなポロシャツにジーンズの西洋人、スーツを綺麗に着こなしてネクタイをしめた上品そうな香港人、てかこの街にこの時間にいるだけですでに怪しいんですけどね。

 

香港は元々中国と言う親が捨てた私生児みたいな雰囲気がある。拾って育てたのが英国である。

 

香港人はその事を肌で理解しているし、だからと言って日本人のように拗ねたり僻んだりせずに、逆にそれを餌にして「こっちの水は甘いよ〜」と世界中から蛍を取り込んでいる。

 

製造業が伸びると感じたのはうちの親戚の結婚式のときも同じだった。新郎はプラスティックを加工する会社を中国本土で経営しているが、顔や雰囲気から勢いを感じる。

 

同時に最近訪問したシドニーでも、中国からの鉄鉱石の発注が再開されて人々の足がスキップしてた。

 

まあいずれにしても日本人の頭の上を跳び越して、世界の二大大国となった米国と中国が21世紀前半においては大きな存在感を見せるだろう。

 

この波に乗り遅れないようにするためには、経営者自らが香港人と同じように現場に足を踏み込んでその雰囲気を感じ取って経営判断をすることだろう。数字だけでは絶対に分からない世界がここにある。

 

夕暮れの香港、飛行機を捕まえる為に空港に向う。夕陽が綺麗ですな。

 



tom_eastwind at 18:27│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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