2009年07月31日

クイーンズタウン二日目 医療通訳

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ニュージーランドで医療通訳サービスを始めてもう10年くらいになる。

 

最初はガイドの仕事をしている時に思いついたサービスだ。

 

日本から来たお客様が現地で病気になったり怪我をするのは決して良い事ではないけどよくある事ではある。

 

そんな時に生半可な英語では医療通訳等出来ない。ましてや僕は自分の英語レベルは良く理解しているので、そんな冒険なんてできやしない。

 

かと言って当時病院で手配されていた日本語通訳ってのはとんでもないもので、ありゃ一体何じゃ!?戦争花嫁か!?と思うくらいのおばさんたちが、いかにも面倒くさそうに「あんた、何処悪いの?え?よく分からない?そんなん通訳出来るわけないじゃん!」てなものである。

 

それも医者と一緒にいる数十分だけ付き添うだけで、その前の病院のどこで待てば良いのか、薬はどうするのかなど、何の話もなしでまさに放置である。

 

それでも彼らは医者に対しては媚びる様な英語でべちゃべちゃとパングリッシュを使い、受付のねーちゃんとはどうでもいいような世間話をしてから高い通訳費用だけ貰って帰ってた。

 

当時、医療通訳の時給と言うのは1時間で300ドル!とか、まるで弁護士並みの値段を請求してて、それを保険会社が何も知らずに払ってたのだ。

 

その仕組みにかなり頭に来て、お前らそれでも日本人か!と憤ったことがあるくらいだけど、けどそうは言っても僕は医療英語が出来ない。

 

そこでまずは英語の出来る日本人看護婦を探しながら同時にで保険会社と契約を締結してサービスを提供するようになったのだ。

 

そうやって始めて見ると医療通訳は確実に需要があった。けどそれをビジネスとして成立させるには、今度は旅行業の知識、つまりツアーがどのように成り立っているのかを知る必要がある。

 

つまり、旅行業+保険業+医療体制+看護婦と言ういろんな要素が一つになって初めてビジネスとして成立するのだが、これ全部を知識として持っている人なんて滅多にいやしない。

 

当社は偶然そういう知識を一つにまとめて持ってたのでこのビジネスを成立させることが出来たのだ。

 

他社でも最近は似た様なことはやってるけど、どう見ても「ありゃ素人仕事ですね」というのがばればれだ。

 

元々クイーンズタウンでは地元病院と提携しているキーウィの医療通訳がいて彼がこのビジネスを独占していた。

 

なので別に地元の人間に喧嘩売ってまでこっちがビジネスを広げる気がなかったので今まではクイーンズタウンは当社としては触ってこなかった。

 

けど今回はその通訳さんが撤退するって事で無医療通訳地になったクイーンズタウンなので、ましてや冬場のスキー場では怪我人が良く発生するので、ここにオークランドから看護師を送り込んで冬場の医療通訳に対応するようになったのだ。

 

けどこの仕事だけは、患者を増やす為の営業努力はやっちゃいけないしあるわけもないので、やはり地元の人にサービスの内容を理解してもらって何かあった時に思い出してもらう程度にしか出来ない。

 

けどこの、患者を作るってのは以前オーストラリアでは頻発していた。あそこ、21世紀初頭、つまり2000年頃はワーホリも非常に柄が悪く、医療保険や旅行保険を使ってバンバン詐欺を働いてた。

 

ある大手の保険会社は詐欺の手口を発見するためにわざわざプロの探偵を雇って調査して、見つけ出した連中からカネを取り返していたほどだ。

 

ところが見つかったほうも「ごめんなさい!もう二度としません!」なんて態度じゃない。「ナンだ、ばれたのかよ、じゃあ金返すよ、それでいいんだろ!」と全く反省の色なし。

 

あんまり酷い奴はそのまま警察に連れて行くのだけど、そうなって初めて自分が犯罪を犯して海外で逮捕されるという怖さに直面してビビリだすのだ。

 

全くもうどうしようもない連中だったが、当時はオトナにも馬鹿が多く、医療通訳が商売になると分かった途端、日本人が宿泊するホテルに無料バスを回して「どこか具合は悪くないですか?どんなことでも面倒見ますよ、費用は無料ですよ、ついでにレストランまでご案内しましょうか」等と宣伝を始めたのだ。

 

これにも保険会社は頭に来て「患者を作るのは何事だ!」と喧嘩になったこともある。

 

どんなビジネスをするにしても、関連する全員の利益がなければやってはいけない。「金がある、そりゃ獲りに行け」ではビジネスなど長続きするわけがない。

 

だから僕がビジネスを立ち上げる時は基本的に参加者全員が利益を得られることが前提である。

 

これから立ち上げようとするいくつかのビジネスも、かなり色々と紆余曲折しながらも、それでも参加者全員の利益になるような仕組み作りを行っている。

  

今回のクイーンズタウンの医療通訳はとりあえず全員の利益になると思うのでトライアルで冬場だけの派遣である。これから約一ヶ月。まずは無事に終わりますように。

 



tom_eastwind at 16:44│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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