2009年09月24日

博多のうどん

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ロンドンから福岡へは結果的に福岡で3泊滞在となった。

 

ロンドンから香港経由東京の航空券を福岡行きに変更する際はさすがに電話で手続きしたけど、それ以外のホテル変更などはすべてインターネットで行った。

 

文明の進歩ですね。

 

福岡到着の初日は雨でそこからもずっと雨の予報だったけど、結果的には二日目から薄曇、そして晴れとなり、おお、おれやっぱり晴れ男じゃんと思う。

 

ロンドンでも毎日青空が広がってて、なんだ、薄暗いロンドンってイメージと違うよね、なんでイギリス人はニュージーランドにわざわざやってきたの?と思わせたくらい。

 

けどまあロンドンの場合は食事をすると移住したくなる気持ちはよく分かる。イギリス人が世界制覇を狙ったのは食い物目的なのだと言われても充分に納得出来る味である。

 

だからと言って1840年代のニュージーランドの食い物が美味かったわけではない。食材としては美味しいのだが、そこにイギリス人の味付けをすることで想像も出来なくらい不味い料理に仕立て上げたのだから。

 

もちろん今のロンドンはそれなりにきちんと食える和食があるしオークランドでは結構美味しいものが食える。

 

しかしな〜、やっぱり福岡に来ると食い物の美味さが桁違いである。

 

福岡に到着したのは夜の9時過ぎ、荷物を片付けて近くのコンビニに寄ってカレーパンとかしわおにぎりとウイスキーを一本買って、部屋に戻って船戸与一の満州国演戯第五巻、「灰塵の暦」を読みふける。

 

しっかしまあ、たかだと言っては失礼だけど、コンビニのパンとおにぎりでもこれだけ美味い。添加物たっぷりは理解しているが、非常食として考えれば実に高品質と言える。

 

真夜中でもお近くのコンビニに行けばあっと言う間に当面必要な物が全部揃う。ある意味あれって自宅の冷蔵庫と物置代わりの存在だ。その冷蔵庫に美味しい食べ物が24時間詰まっているのだから、こんな贅沢なことはない。

 

空気ってのは、なくなって初めてありがたみを感じるのだろうけど、今の日本人は自分がどれだけ贅沢な立場にいるかを分かっていないのではないかと真剣に思う。

 

そして翌朝。僕は福岡では朝ごはんはホテルで食べない。ホテルの入ってるキャナルシティのすぐ横にウエストと言ううどんやがあるのだけど、ここが朝ごはんの行きつけ。

 

ドライブイン形式で店の前に車が駐車出来る独立店舗で、一階がうどんや、二階が焼肉やになっているこの店は、基本的にファミレスのファストフードって位置付けかな。

 

けど、何よりもここで飯を食うのは、単純にそれが美味いからだ。美味い不味いには人それぞれの基準があり、ロンドンのイングリッシュブレックファーストが最高と言う人もいるだろうし香港のお粥が最高と言う人もいるだろう。

 

英国式朝食が美味しいかどうかは別にして香港のお粥、あれは確かに美味い。だから香港では朝食は下町のお粥を食べる。

 

けど福岡では何と言ってもこのウエストのうどんである。讃岐うどんほど堅くなく、かと言って大阪のうどんほど柔らかくなく、その中間の、ぼくにとって程よい腰のある太麺とつゆの甘さ、それに乗っかってくる具材の豊富さ。いや〜、福岡はファストフードでもここまで美味いのである。

 

今朝は何にしようかなとメニューを見ながら目移りするが、今朝は肉うどんに生卵トッピング。この店が何よりもウレシイ隠れた一番の理由は、うどんにネギが乗っからないことである。

 

ネギが全く食えないぼくは麺の注文をするたびに「すみません、ネギなしでお願いします」と注文するのだけど、要望が100%通るわけではないのは経験で理解している。

 

ネギが乗っかったうどんがテーブルに来るたびに、持ってきた店員さんとぼくはお互いに哀しそうな眼で見つめあうしかなくなる瞬間がいつも辛い。

 

ところがこの店ウエストでは、ネギが最初からテーブルの上のカンの中に入っており、好きなだけ入れてくださいというのが標準。だから何も言わなくてもネギなしのうどんがやってくるのだ。

 

安心して注文が出来ると言う心安さは、これがもう味よりも何よりもお店を好きにさせてくれる大きな理由である。

 

でもって博多名物なのかな、かしわおにぎりを一個注文してからレジの隣にあるおでんを取りに行く。狙いは牛スジ。これを2本取り上げて、ちょびっと辛子をお皿に付けて自分の席に戻り、さっそくがぶっと食べる。

 

うまいな〜。それにしても、何で福岡の食い物はこうもうまいのか、そんな実感をさせる瞬間である。そしてすぐに持ってきてくれた肉うどん卵落しとかしわおにぎり。

 

うどんつゆを一口飲み、風味が口中に残っている間にかしわおにぎりをがぶっとガジる。

 

うっまいな〜。おにぎりの米粒とつゆが程よくからみ口の中で華やかな和の彩を広げてくれる。

 

日本人でよかったな〜、ほんとにそう思う一瞬である。

 

味覚ってのは面白いもので、西洋人は白身魚の味の区別が出来ない。中国人は日本式の米の美味さを今だ理解していない。そして日本人はいまだに牛肉の醍醐味を知らない。

 

もちろん明治からの西洋礼賛と牛肉信仰とマグロの霜降りが混ざって出来た霜降り牛肉が美味いと本気で信じている日本人が西洋人にどうこう言えないだろうし、中華料理に合う渇いた米の美味さを理解出来ない日本人が中国米をどうこう言う権利もない。

 

けど、しかししかし、日本式の米はその用途、つまり日本食と合わせた時に絶大な力を発揮するのだ。

 

とくに魚から取っただしで作ったうどんつゆと日本式に炊いたご飯でそこに鶏肉味を浸み込ませたかしわごはんとなると、こりゃもう「な〜んも言えん」美味さになる。

 

そして味付けした薄切りの牛肉がなんでこんなにうどんだしと合うのか、誰か科学的に説明してほしいくらいだけど、この相性がまたとても良い。そう、牛肉は厚めに切るとごろごろ感があってうどんやご飯には合わないしその味付けも大事なんだろうけど、この薄さが牛肉の強さをほどほどに押さえてくれて実に調合の良さを表現してくれる。

 

そこにかしわめしと牛スジを程よく合わせながらうどんのツユをまじえて口の中でほぐしていくと、こりゃもう極楽。

 

スジとかしわと牛肉うどん、日本人でよかったと本気で思う瞬間である。



tom_eastwind at 13:33│Comments(0)TrackBack(0) NZの不動産および起業 

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