2009年10月22日

公平と国民政治の下で

最近はアゴラと言うインターネット論壇も出来て、ここもよく読ませてもらっている。

 

いずれこういう質の高いサイトは有料化されるだろうし、その方が良いと思う。

 

 

今はそれぞれの業界のプロが本業の傍ら記事を投稿している人も、それできちんと収入を得るとなれば本業となり、そうなれば専門知識のない生半可な大手新聞記者が書く意味不明な記事よりもよほどきちんとした事実に関する評価や分析が行われるようになるだろう。

 

優秀な媒体が何をもって優秀とするかによるが、少なくとも経済や政治に関してはアゴラの方が一般紙よりも数段上であるのは間違いない。

 

最近の記事の中で池尾氏の投稿があった。

 

http://agora-web.jp/archives/765910.html

 

記事は今後日本がインフレを起こすかどうか、発生したらどうなるかと言う内容。

 

記事自体はごく普通なのだが、これを読んだときに何となく僕の頭の中(上ではないぞ、しつこいぞ)でピカってしたものがある。

 

それが日本の「財政再建」である。

 

詳細はアゴラの方を読んでもらえば分かるが、今までも政府が抱える借金を帳消しにする方法はスーパーインフレだと言われていた。

 

政府がお金をばら撒けば原資が必要でありそのため円がたくさん発行されるわけで、円の供給が増加すればそれだけ円の価値が下がる。そうなると外国から仕入れている商品はすべて値上がりする。これが進めばインフレになり、更に進めばハイパーインフレーションとなる。

 

そうすると物価が急上昇し1個10円だったパンが1個100円になる。つまり円の価値が10分の1になるって事だ。

 

ところが国債などは通貨=円で設定されているから円の絶対額は増えない。その結果として国債の価値が暴落するのだ。

 

日本政府が抱えている800兆円の負債とこれから発行する国債にしても、政府が個人向け国債を販売しているから(以前は個人向け国債はなかった)1400兆円の個人資産が吸収することが出来る。

 

ところが10年後に国債償還となった際に物価が10倍になってれば、政府からすれば800兆円の借金が80兆円になるので簡単に返済出来る。ばかを見るのは国債を買った国民である。

 

「小説日本銀行」の中で有名な場面がある。敗戦後すぐの時、優秀な大学を卒業して日銀に入社した若い社員に親戚(だっけか?)連絡が入る。いわく自分たち老人の資産は安定運用したいから国債を買おうと思うけど、あんたはどう思う?との質問だ。

 

ハイパーインフレが起こり国債は紙くずになる事を知っていた行員は、それでも国家のために「国債を買いなさい」と勧めたのだ。そしてその後ハイパーインフレが日本を襲うことになる。

 

実際にハイパーインフレーションは戦後日本も経験しておりドイツでは第一次大戦後の凄まじいまでのハイパーインフレが起こって、これが第二次世界大戦の遠因になったとも言われている。

 

このようなハイパーインフレーションによる財政赤字解消策は以前から「非現実的な一つの案」として語られていた。「そりゃ出来るけどさ、そんな事やったら国家は生き残るけど多くの国民が悲惨な事になるよ、冬空に丸裸で自宅から追い出されるようなもんだ」と言うことで殆どの人は否定した。

 

そんなハイパーインフレーション、最近はあまり記事にならないなと思ってたら、もしかして民主党、本気でインフレを仕掛けて国家財政を黒字化する準備に入ったからあえてマスコミに書かせないようになったのかもしれないと本気で思わせる。

 

と言うのが現在民主党が進んでいる方向は簡単に言えば「ばら撒き行政」であり、国債発行も50兆円を越すようになる。

 

国債が紙切れになる理論は↓を読んでもらえばよく分かると思う。

 

http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51596567.html

 

日本は国として倒産する事はないけど国債発行しまくって個人に買わせれば被害を蒙るのは金持ちだけだから、これで富裕層と貧乏人のバランスがとれるという話。

 

ただ今のまま政府が国民向けのリップサービス的な政策を進めてその結果財政バランスが崩れれば、間違いなく増税となる。

 

まあ公共事業を削減して地方空港を整理すると見かけは非常に良い。だから選挙では浮動票が獲れる。透明で公平な予算配分の結果お金が足りないとなれば国民は文句も言わない。

 

その上で次の参院選で勝利すれば、大増税とハイパーインフレーションを起こして国家財政を一気に片付けるという荒業も可能になる。戦後のハイパーインフレでも日本人は暴動も起こさずに大人しく従ったのだ、今回も同じだろう、そう小沢さんが読むのも当然だろう。

 

実際にやるかどうかは分からないが、今回は確実に「やれるだけの準備は出来た」となり、具体的な選択の一つになるだろう。

 



tom_eastwind at 07:37│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 日本

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