2009年11月20日
Shierra
大体においてブログに数日の「空き」が出るのは書く事がないのではなくその反対で、書く事が多すぎて消化不良のまま次のネタが転がり込んできて、例えば自宅に帰る車の中でささっと全体の文章は出来上がるんだど、車から降りた瞬間に全部忘れてしまい、それから料理にかかったり食事したりお皿洗ったりで、その数時間後には次の文章が浮かび上がっているけどそれはベッドに入ってから思いつくようなことで、朝になったら忘れてることなんだけどだからと言って保存の為にいちいち録音するのも、そこまでするのもなって感じなので結局放置しておくとこんなに「空き」が出てしまうのだ。
特にひどいのが日本にいるときで、とにかく周囲はネタ満載なのだけど、情報が多すぎておまけに移動が多すぎて、ゆっくり坐って何かをするって時間が一日の中で1時間も取れない。
そんな時間ってのは溜まったメールを処理するだけで一生懸命で、結果的にネタが全部「賞味期限切れ」になったりする。
花王のエコナのトクホ却下とか亀井さんの政策とか面白ネタは山積みだし、今日の記事では小沢さんをいよいよ検察が突っ込みするのかよ、おいおい、黙って民主党に2年くらいやらせればいいじゃんかと思ったり。
小沢さんの政治献金なんて、あの人は元々田中角栄の子分であり金権政治の代表みたいなもので、けど今の日本で誰かに何かをお願いしてその後で菓子折りなどの付け届けをしなかったら「あいつは礼儀を知らん」となる文化を持つこの日本で、まずは選挙民が自分から襟を正せと言いたいくらいだけど、
今日はそのネタではない。
それは数日前のオークランドでの事なんだけど、実は今ある不動産の名義の案件があり、これを何とか進めようと弁護士と打ち合わせ。
彼は白人で親もしっかりした経営者なのだが、いつまでたっても子供っぽいと言うのか、こっちが指定の時間にオフィスに行くと、そこから30秒ほど離れた場所にあるいつものカフェ(てか、そのカフェはうちの会社のすぐ裏)でコーヒー飲んでる。「こっちおいでよ〜」だって。
彼はスモーカーなのでオフィスでもビルでも吸えないのでいつもこのカフェの外側テーブルでタバコ吸いながら仕事をしているのだが、おいおい、だったら最初からそういえよ、そしたらこっちは30秒節約して直接カフェに行けるのに。
ぶつぶつ言いながら椅子に座ると「ま、緑茶でも飲んでくれや」とにやっと笑うのでそれ以上いう事もない。
でもってこいつの手元を見ると、あれら?おお、あれ、I−PHONEではないですか!
昔誰かの冗談話で、オーストラリアのエアーズロックの警備員が乗ってる車が三菱パジェロで、ツアーでやってきた日本人に「ほら、この車いいだろ、日本にはないだろ!」みたいな笑い話があった。
日本の携帯電話って技術だけでは物凄い進んでいるんだよね、ただ売り方を失敗したから世界標準を獲れずに、どの会社も実質赤字で大変なことになっている。
世界でも日本の携帯電話のシェアは全部合わせてもノキアやサムソンに敵わないほどの少量市場。
けどまあ日本の東京の新宿でケータイ使っていると、世界なんてどうでもよくなるんだろうな。
実際に日本ではI−PHONEはあまり売れてないようだ。「だって普通のケータイで充分だもん」と言うことらしい。
つまり、ケータイ世代は親指族として成長しているから既存のケータイが良いわけで、両手でかちゃかちゃが前提のI−PHONEはパソコン世代にとっては実に使いやすいがケータイ世代にとっては「意味フメイ!」となるようだ。
けど、実際に世界を見てみると、ブルーベリーかI−PHONEかって言うくらい、ビジネスマンの中ではこの二つのスマートフォンが定着している。
彼らが使っているのは携帯のパソコンであり、これはビジネスツールである、だからお遊びの延長の携帯電話とは根本的に使い方が違う。
弁護士くんは楽しそうにコンパスをいじったりキーボードを左右に振り回したり(これ、見たことがある人は分かりますよね)して楽しんでた。
おいおい、おれとの話はどうなるんだ、とか思いながら5分もすると、けどまあこの弁護士くんはカフェの前の道を歩いてるビジネスマンを次々と捕まえてはぼくらの椅子に座らせて「おい、この不動産の案件だけどさ、お前ただで情報よこせや」とか「おい、この契約だと何がどこまで出来るんだ?銀行の部長と言う立場を忘れて正直に答えろ」みたいな脅しをやっている。
こいつ、椅子に座らせてコーヒー一杯で随分と高級な情報カッパラッテイルナと、結構感心。それなりに使えるよね。
このあたりがニュージーランドの俗人ビジネスってか、本当にサークルの内側にいる人しか出来ない芸当があるんだよね。
実はこのカフェの位置、良い場所にある。金融関係をやっているとこのあたりは結構歩く道なのだ。一ヶ月前などは、彼が呼び止めた相手はクライストチャーチの元市長だから、コーヒー一杯の費用を考えたら安いものだ。
I―PHONEをもて遊びながら道行くビジネスマンに声をかけて坐らせて尋問するってのが、何となくニュージーランドらしいなって感じ。
要するにこの国は田舎である。だから電化製品も新型携帯も珍しい。けどビジネスの根幹は人と人、信頼で繋がっているのだってのがとてもよく分かる。
このあたり、何とも説明のしようがない空気があるんだよね。日本の流儀では絶対に理解出来ないし仕組み自体がありえないんだもんな。
カフェで1時間ほどいろんな道行く連中を巻き込んであーでもないこーでもないとやって、よっしゃこれでブレーンストーミングは終了、次は本ちゃんいきますかってことで一旦解散。
なんかな〜、I−PHONEと田舎ビジネス、う〜ん、良い意味で、自分を持ってると言う意味で身の丈のずれがまた何とも言えず心地よいな。