2009年12月06日

Travel Vision News

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日本の旅行業の情報をウェブ版のTravelVisionで時々見ている。

 

このウェブサイトでは日本の観光産業、主に旅行会社の記事を読むことが出来る。

 

 

どこの旅行会社も軒並み赤字で、冬のボーナスは0.1ヶ月だとか、対前年売上が30%減少とか、そんな記事。

 

 

営業面では各社が様々な手段で送客、特に海外送客を増やそうとしていろんな仕掛けが発表されるのだけど、どれもこれもなんかずれてる。顧客視点に立ってない。

 

今日見た記事はニュージーランドのことだった。けどさ・・・その記事とインタビューの内容、違うんだよね、問題が。ここから先は旅行業界ネタなので興味がない人は無視して下さい。

 

★抜粋開始

クオニイジャパンは、ニュージーランドの手配業務を開始する。このほどサザントラベルネット・リミテッドと業務提携した。クオニイジャパンでは6年ほど前からヨーロッパだけでなくインド、アフリカ、中近東など世界展開を拡大してきたが、これまで取り扱ってこなかったニュージーランドを加えることでさらなる事業拡大をはかる。また、サザントラベルネットは、今回の業務提携により販路を広げることで、減少傾向にある日本からニュージーランドへの送客にてこ入れする考えだ。クオニイジャパン代表取締役社長のフランソワ・ロカ氏は、「旅行業界は厳しい時期。今回の業務提携で新たな商品やビジネスモデルを作り出し、新たな息吹を吹き込むことでビジネスを拡大したい」と意気込みを述べた。

 

具体的には、1214日から約6ヶ月間の移行期間を設けて、サザントラベルネットの社員が2名クオニイジャパンに出向してノウハウを提供しながら営業活動を展開する。旅行会社はこれまで通りクオニイジャパンの営業担当を通じてニュージーランドの手配を依頼でき、その手配をサザントラベルが受託手配する流れとなる。ロカ氏は、「ゼロからではなく、能力のあるスタッフが入り込んで営業を開始できるため、スタートのレベルが高い」と話し、業務提携の効果が早く表れると期待を示す。「サザントラベルネットの能力をクオニイジャパンの販路で活用していく」ことで、初年度は1万人以上の手配をめざす。

★抜粋終了

 

何が問題・原因でどう解決するかってのが普通の人間の考える事なら、何故ニュージーランドへの送客が減少しているのかを考えるのがテーマとなる。

 

それなしに小手先で何をやっても意味はない。なのに、それをやっているのが上記の記事である。どっかと提携して日本での営業網を強めて??販路を拡大して??

 

はあ?何言ってんの?そんなじゃないでしょ、今の旅行業が抱えてる問題ってさ。

 

構造的に旅行業を利用するパイが激減しているのに、そのパイを増やす努力ではなく既存の旅行会社を相手に営業かけるって、それは激減しているパイの自分の取り分を増やすって話だけでしょ。そんなんじゃ死ぬ速度を速めるだけで何の意味もない、てか、更なる過当競争で業界自体が亡んでしまうよ。

 

今の旅行業は何が問題か?それは顧客と旅行会社の情報が同質になっており、旅行会社を利用する意味が存在しなくなっていると言う構造的な問題である。

 

昔ならハワイに行くのも旅券を取るのも一般市民には難しかった。第一旅先がどんな状況かも分からない。だから旅行会社が情報を収集して、「そこに行けばすべてが揃う」と言う旅行ビジネスモデルが成立したのだ。

 

アゴアシマクラと言う言葉は、あご=食事、あし=移動手段、まくら=旅館の略語。

 

この3つをセットにして販売出来る仕組みは旅行会社にしかない為に、必然的に旅行会社がサプライヤー(レストラン、売店、交通機関、宿泊施設)と旅行客の間に立って、両方に対して優位な立場で仕事が進められたのである。

 

つまり旅行会社と一般市民の間に「情報の非対称」があってこそ旅行の商売が成立するってのに、仕入れ力とか社内派閥で商売が成立するなんて思い込んでたのが業界のトップを占めてるからいつまで経っても世間の実情が理解出来ない。

 

JTBは国策で外国人の受け入れをやる為に作られた会社であり元々は交通公社だ。だから政府や運輸省と繋がっている。

 

日本旅行は国鉄時代から国鉄職員の天下り先の指定席だった。

 

近畿日本ツーリストはその名の如く近畿日本鉄道の子会社。今はなき東急観光もしかりである。

 

ようするにぽっぽ屋とか役人が幅を利かせており、彼らに旅行業のセンスはない。そして親会社がしっかりしているから子会社は理屈ばかり並べてればよく、上に優しく下に厳しくする人間が出世出来たのだ。

 

おまけに旅行業なんて見かけが格好良いもんだから文系のおしゃれな連中の集まりになって、でもってそういう場所では田んぼに手を突っ込んで苗を植える連中は下班であり上班は田んぼの畦で両手を袋手にしてあ^でもないこーでもないと言い合ってる。

 

旅行会社は客を送ると言うその優位的立場を利用して旅館やホテルから金をせびりまくり、「おれたちが送ってやってるんだ、頭を下げろ」的な態度で旅館やホテルに接して、当時から旅館の人々には顰蹙をかってたものだ。

 

旅館も確かに旅行会社の送客がないと食っていけないから、仕方なく頭を下げてた時代があった。けどこれだけインターネットが発達してくれば、旅行会社に依存する理由はなくなる。直販できる時代に何でくそ生意気な旅行屋に頭を下げる必要があるか。

 

これに明確な答を出したのが航空会社だ。もともと航空会社は座席販売の60%以上を旅行会社に依存していた時期があった。

 

ジャンボなどの大型機を飛ばすには、100名単位で座席を埋めてくれる旅行会社に集客依頼をするしかなかった。だから国内線では4%、国際線では9%の販売手数料を払っていた。そして更に座席数販売に応じて報奨金を出していた。

 

けど今のようにインターネットですべてが出来る時代に何で旅行会社を使う必要があるか?顧客が直接アクセスしてクレジットカードで精算してくれるのだから旅行会社を利用する意味は全くなくなった。

 

そこで出てきたのが販売手数料をゼロにすると言う施策。

 

すでに国際線では「キャップ」と言う方法で販売手数料を思いっきり引き下げて、欧州線の座席一つ売ってもせいぜいが5千円程度の利益しかないような状態である。

 

国内線でも旅行会社に依存する必要はないから販売手数料は一気にゼロにするという。

 

つまりサプライヤーが(ぼくは業者と言う言い方がどうしても、いつまでたっても馴染めない。だって共存共栄にある関係でしょ、何で目下みたいな言い方になるのか傲岸不遜である)旅行会社に対して「あなたはもう不要です、今までありがとね、ばいばい」と言い出したのだ。

 

商社が一時期「不要である」と言われた時期があった。それまでの商社は世界中に販売網と情報網を持つ事でメーカーと組んで口銭を取る事が出来た。しかしメーカーが力を付けるにつれて口銭ビジネスでは将来性がないと、開発型ビジネスモデルに転換したのだ。

 

これが今の商社の大きな収入源になっている。例えばオーストラリアの資源ビジネスではある大手商社の利益の半分以上を稼ぎ出してたなんて話があるくらいだ。

 

つまりビジネスモデルの転換に成功して商社は新しい世界を開発した。

 

ところが旅行業界ではそのような危機感を持つ人間はいない。何故なら彼らは天下りだったりサラリーマン社長だから、自分の任期だけ全うすれば後は偉そうにOBとしてふんぞり返っていられるのだ。

 

まあこんなバカはどんな業界にもいるけど、旅行業界にとって不幸だったのは誰でも参入出来る業態であり親会社が自社の出張支援の為に子会社を作ったりと、要するに自分で責任を取る必要がない業界になってしまった点である。

 

とくに既存旅行業に最大の影響を与えたのがインターネットであり、早い時期からインターネットに取組んでおれば対応出来たものを、それを全く怠ってきたというのは致命的失敗である。

 

実際に10年前に旅行業が本格的にインターネット販売に参入していれば、旅の窓口(現在の楽天)も一休も存在しなかっただろう。

 

今でも覚えているのが20年ほど前にHISが業界に参入してきたとき、当時の大手旅行業全てが口を揃えて「あんなのは旅行会社じゃない、相手にする必要もない、業界の集まりにも参加させない」ってバカにしてたことだ。

 

その「旅行会社じゃない」のが現在ではすでにJTBを追い抜いている現実を、当時の業界の連中がどう語っているか知りたいものだ。

 

そしてニュージーランドで言えば1990年代の16万人の渡航者市場が適正規模であったかどうか、もしかして旅行ブームで一時的に膨れ上がってただけではないかと誰も考えないのだろうか?

 

要するに「今まで16万人来てたんだから、8万人に減少した旅行客をもう一度16万人に戻そう」と言う発想自体が間違いではないかってこと。

 

そうじゃなくて、元々NZは確信犯しか来ない市場として年間5万人くらいがコア市場であり、5万人を前提にしてNZのインバウンド市場がどうあるべきかという発想が必要なのかもしれないとは誰も思わないのか。

 

わざわざ高い飛行機代を払ってまでニュージーランドに来たいという人は、夏場にスキーが出来るとか冬場に世界トップクラスのトレッキングコースを楽しめるとか、自然がdaisukiだとか友達や親戚がニュージーランドにいるから、くらいである。

 

そうやって考えていけば、既存の「何でもやります」総合旅行会社ではなく、ある一定の商品に特化して絞り込んでいくのが生き残る道であろう。

 

その為にはどれだけニュージーランド現地の人々から情報を収集してリスクを取って商品化するか、である。

 

札幌の雪祭りに、雪を見るためにわざわざ香港から観光客がやってくるのは何故か?雪なんて江戸時代には公害以外の何ものでもなかった。

 

それが今ではスキーになり祭りになり、流氷を見に来る人もいるくらいだ。

 

要するに視点を変えればニュージーランドも宝の山である。ところがその視点を変えようとせずに既存のビジネスモデルでどうこうするから、ますます業界が過当競争に陥っていくのだ。

 

旅行業の命は情報。そしてインターネットでは取れないたび情報が、現場にはたくさんある。つまり、角度を変えてやり方を考えればいくらでも成長する余地はある。

 

ニュージーランドと言う宝を活かせるかどうか。それはすべてのリスクを取って自分で行動できるかどうかだ。



tom_eastwind at 14:19│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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