2010年01月06日

世界の秘境、日本を歩く

5b1a25b7.jpg今回、ぼくがガイジンの視点で旅行してみて思ったことがある。

日本がこれから少子化高齢に入ることは誰でも知っている。じゃあそれをどう対応していくのか?その中の選択肢として移民受け入れが出てきている。けどこれは純血主義を守ってきた日本人としては非常に辛い選択枝であるのも事実。

そんな時、宮島、博多、金沢と回って感じたのが、やはり日本が持つ文化は世界に誇れるものがすごくたくさんあるのに、それが外国にはきちんと紹介されていないって事。つまり日本はその持てる観光資産の割には非常に訪れる人が少ない、世界の秘境であるって事だ。

何?日本が秘境だと!ふざけるな、おれはどこそこにも行って〜、などと言う勘違い連中もいるだろうが、日本人が知ってても世界で知られているってのにはならないのだ。

その証拠に多くの方はご存知の通り、日本から海外に行く日本人に比べれば、外国から日本に来る観光客が圧倒的に少ない。

同じ外国人でも、短期滞在で労働も犯罪もせずにそれでいながら大金を落としてくれる層であれば誰にも文句がないままに今すぐにでも取り込みが出来るではないかってこと。

移民政策の議論を数年かけてやるとは思うけど、そんなもんは10年政策である。ソレに対して観光政策であれば、これは最初の1年の投資で2年目から金になる。

それも最初の一年は少なくても、それからどんどん増やしていける。そして10年は確実に続く。いや、たぶんもっと行くだろう。

その成長限界はどこかって言えば日本人観光業者が互いに食い合いを始める、つまり市場が飽和するまでだ。もちろん日本人同士が価格競争に陥らなければまだまだ続く。

観光客として狙った目標は60億人である。国内市場と比べれば圧倒的にでかいのだから、当面は観光業に参加する人々がこれで食っていける。

「ふざけんなよ、旅行業が駄目だって書いたのはお前だろ」って感じだろうが、そう、既存の「野菜の叩き売り」的なアウトバウンド旅行業は伸びない。

しかし、新規観光地を開発してそれを世界に発信してインバウンドビジネスを作り上げる技術は、現在でも日本の旅行業はノウハウとして持っている。

元々インバウンドビジネスは新しい観光地(Distination)を作り上げれば、そこが価格競争になるまでの5年程度は食えてた。

そういう感覚で日本の観光地を一つ一つ世界に紹介していけば、最低でも10年は食えると感じたわけだ。

今まで何故日本のインバウンドが伸びなかったかって言えば答えは簡単で、政府がいちいち邪魔をしてたからだ。ビザの問題から始まり空港での検査、国内に入っても外国人に優しくない街造り、とにかくどれを取っても国際化されてなかった日本は、ある意味秘境である。

「けど日本は観光政策として取組んできたじゃないか」と言うかもしれないが、あれは全部お上が運輸省の天下りの為に作ったシステムであり本気で観光客の取り組みなんて考えていない。

第一良く考えてみればよい。ガイコク人になった事もない、外国人の視点を理解出来ない霞が関の役人や新橋の屋台で飲んでる旅行業のおやじ連中が商品を売れるわけがないではないか。

商品を外国人に売ることが出来るのは外国人と直接触れて直接話をして自分のビジネスを広げようと頑張っている、例えば一昔前で言えば秋葉原の電気街の営業マンであり、もっと古くから言えば日本の商社マンであり、実は年間1000万人が海外旅行に行くようになって外国に客を送ってた旅行業連中の視点は「その国に金を落とす上客」でしかなかった。

卑近な例で言えばバーの上客がバーを経営できるかどうかの問題である。

これはぼくも20数年前にガイコクでの生活を始めて真っ先に気付いたことだ。今まではカネを落とす側だったから彼らが僕の英語を一生懸命理解しようとしてた。

けど彼らに売り込む立場になると、ぼくが彼らの英語を一生懸命理解しないと物が売れないって事に気づいた。

けど旅行業が一番儲かるのはアウトバウンド、わざわざ政府に嫌われる面倒なインバウンドなんていやだもんねってことで長い間旅行業はインバウンドを放置していた。

逆に言えば、だからこそここに宝の山があるのだ。

これから国内観光客を見れば数は減少するし苗場で感じたように消費金額が圧倒的に少ない。つまり数と金額のダブルパンチで売上は減少していくのである。

それに比較して海外から来た人は数は少なくても「せっかくの海外旅行だから」とたくさん使ってくれる。苗場の例が良いように、スキー場に来てスキーをせずにそりに乗って5歳くらいの子供に1500円のランチを食わせれば、それだけでリフト券より大きな売り上げだ。

ましてや夜になれば一人7500円のしゃぶしゃぶ定食が「すみません、今日はもう予約で一杯なんです」となる。見ると客の殆どは華僑系中国人や西洋人。

日本国内を見れば1億2千万人の市場しかなく、更にそれは少子化と老齢化が同時に進んでいる。一つの街が伸びていこうとすれば、これはもう60億人の世界人口をどう取り込むかが必須であるし、その為にどのような戦略を作るのかが大事なのである。

20年前ならガイジン不要論ってのもあっただろう。標識だって全部日本語、読めない外国人が悪いんだくらいの勢いだった。

けど時代は変わった。JRでも地域によっては日本語、英語、韓国語、中国語のアナウンスが入るようになった。街角の標識でも福岡では普通に4ヶ国語で書かれている。

これが「変化」と言うものだ。

新幹線でも最近の車両は大きなスーツケースを入れる場所が用意されている。エレベーターも整備されてる、新大阪駅の博多から来た車両が停まるホームの複雑怪奇な位置にあるたった一基の超ちっちゃいエレベーターはあいも変わらずどうしようもないが。

話はそれたが、観光は実は政府予算の投資先としてすぐにリターンが見込めて大きな収入源となる可能性がある。

まずはハード面で外国人が旅行しやすい「長期間旅行者が安心して移動出来る街や交通機関造り」を行い、外国人受け入れをする宿泊施設や観光施設は一定の税控除を受けられるように法整備を行って、各都道府県観光協会がそれぞれの観光キャンペーンを行い、その費用を政府や地方自治体が負担する。

ただしホスピタリティビジネスに政府や役人は口を出すな、金だけ出せ。何故なら観光と言う非常に扱いの難しいホスピタリティビジネスでは、ちょっとした事がお客様の不愉快に繋がり、結局ハードをどれだけ揃えても行政の介入でソフト部分で失敗してしまうからだ。

そしてこのちょっとした不愉快と言うのは役人には理解出来ない。「決まりですから」と書類を出して良い相手と、そうではない相手がいるのだ。

こうやって各都道府県が各自の観光政策を実施するのだが、この時更に大事なことがある。

それは価格面では国内のほかの地域と競争するなと言うことだ。

何十年も価格破壊をやってきた日本人が陥る一番悪い点は、何でも値段をぎりぎりまで下げるという点だ。そして結局次の開発に使うお金を作れずにジリ貧となり、他国との競争に負けると言う愚を繰り返す。

けど、観光と言う商品はテレビや冷蔵庫ではない、感動を売る商品である。感動に価格はない。

だから、あえて競争するなら付加価値を狙い、同じような外国の観光地の価格やサービスを比較対象とするべきである。とくに西洋諸国は比較しやすい。

何故なら西洋では赤字ならそんなビジネスやらんとなるから、常に利益を出せるモデルを構築している。ある意味それをコピーすればあまり考えなくても利益を出せるのだ。

例えば京都の生八橋は香港人に人気があるけど堅いのは駄目。ならば外国人を人種ごとに味を含めてお土産の作りかえをすれば良いではないか。

米国人に受けたいなら、広げると星条旗になる生八橋とか。欧州人に人気が出そうなのは、ブッシュの顔をしたひよこ饅頭。頭からかぶりついてください。

漁港のお店でカニやイカを目の前で焼いて食える店は外国人の視点では「フィッシャーマンズワーフ」である。ならばそこでビール瓶立てに坐らせるのではなく、港側にオープンデッキでビールやワインをおしゃれに置いてみればよい、絶対に売れるから。

要するに観光業もその裾野は広いのだ。一番てっぺんに来る旅行業が全体のコントロールをしながら、本当の意味での「旅」を顧客に提供していけば、旅行業で働く3万人(くらいかな、僕の時代の数字)だけでなく航空会社、ホテル、レストラン、バス会社、タクシー会社、お土産屋さん、更にその先にあるサプライヤーと、外国人向けビジネスで大きく成長することが可能だ。

そしてこれならば今まで日本人が生活の中で普通にやってきたおもてなしの心であるから、タクシーの2種免許や建築士の免許は必要ない。今すぐに転職出来る。

外国人に人気が出たお菓子工場は増産体制で人員が必要となるし、レストランはウエイターやウエイトレスが必要となる。ここは世界からワーホリで帰ってきた日本人若者の就職先として使える。

ホテルや観光地はもう少し高級な能力が求められるが、ここには40代でリストラされたサービス業の人々に入ってもらえば良い。

そういえば日本政府も去年末の経済政策で旅行を挙げてた。最初は「どうかな」と思ってたし、多くのブログ識者も「旅行がどこまで市場があるのか?」と疑問だった。

けど、今回の旅で気付いた。

これはいけるよ。日本の識者は頭が良くても旅行の現場を知らない。日本の役人は外国人を知らない。外国人に至っては日本をどう旅行していいか分からないからパリやローマに行く。

けどぼくからすればその視点をまとめてみることが出来る。その立場からすれば、日本政府のインバウンドツーリストを成長戦略にいれるのは、非常に面白いと思う。

あとはとにかく出来るだけ政府の関与を排除して民間に任せることだろう。それさえできれば、これは国家戦略として重要な位置付けになる政策だといえる。

写真は白川郷。日本人にとってもあまり訪れる機会のない場所だろう。




tom_eastwind at 16:18│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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