2010年02月14日

名古屋やぶそば

aba8c11f.jpg昨日は結局お昼の12時から始まって19時までみっちりと話し続けで個人面談をこなす。

移住相談なんだけど10人いれば10の道が必要なわけで、それぞれにゼロベースでビザの取得方法、移住後の経済基盤の構築、住居や学校、子供の教育等の「パーツ」となる部分一つ一つ説明してから、次にそれを再構築する作業にかかる。

その時点で必ず出てくるのが、何かを捨てなければ何かを得る事は出来ないって現実だ。

話している人からすれば一生モノの経験をしようとしている訳で当然慎重になるし真剣に話をするようになる。

野菜のたたき売りではないので、「じゃあまあこのあたりで」と言うことにはならない。なのでこちらも身を乗り出して色々な提案をしながら話を進めるわけで、だからそのぶん、終わったら確実に疲れる。ぐた〜って感じになる。

特にそれが3件続いてしゃべり続けて7時間もやってると、これはほんとにもう終わった頃には脳みそがクリームシチュー状態になっている。

けどまあ、夜は古くからの知り合いと近くの居酒屋で飲み食いしながら政治や経済の話が出来たので、かなり頭を切り替える事が出来てほっとした。

けど飲み>>>>>食いって感じかな、殆ど料理には手を出さず。元々小食な上に面談をやった後は食欲もなくなってしまうのだ。

その分ウーロンハイをウーロン茶のように飲みながら、小沢政治についてとか今後の海外旅行市場についてとかを話していると段々落ち着いてくる。

でもってその後は部屋に戻り、買い置きのどんべいきつねうどんを食べる。これが一番胃袋に収まるな、どうしてかな、ほんとによく分からないが僕は即席人類なのだろう、非常に相性が良くて、どんべー食ったらやっと「ほっとする」のである。

そして今日は朝一番で品川で会議を一本やって午後の新幹線で名古屋に移動。2時間ほどの会議だったけど、ふと気付くと今日は土曜日。

そう言えば今日の会議に参加してくれた人、2日前も電話会議してくれた人・・・今日は土曜日休みでもその日もは国家の休日お休みジャン、申し訳ない。海外にいると日本の休みをついつい忘れてしまうからこんなことになる。

名古屋に到着すると、なにせまず寒い。東京も朝は雪が降るほど寒かったけど、名古屋の方がもっと寒いな〜。ひえーっとか思いながら19時過ぎには今晩の夕食として駅ビルのレストラン街にある「やぶそば」でときたまごうどんネギ無しを注文する。

945円。へ〜、結構高いな、やっぱり駅ビルだからこうなるのかなとか思いながらうどんが来るのを待つ。

それにしてもどんべーしかりマルタイ棒ラーメンしかり、麺ばかり食ってるな。

待つこと10分くらいでうどんがやってきたのだが・・・・・汁、まっくろ。え?

そうっか東京杉並のやぶそばでも名古屋に来ると「郷にいらずんば郷に従え」で濃い目の味つけになるんかな。

このお店は古いスタイルを守っているのだろう、そばの味を壊さない為にお茶は出してませんと張り紙をしている。

でもってこれも伝統的なのだろうレンゲがなかったので一口、丼に口をつけてごくっと汁を飲んでみると、ごは、ぼくにはちょいと味が濃いぞ。

見た目以上にきついぞ、こりゃ。余程深酒して真夜中に食べるなら良いかもしれんが、ほとんどしらふ状態で食べるにはちょいきついかも。

けど他のテーブルのお客さんを見てると普通に美味そうに食ってるんだから、これはオレが反省すべきなのかなんて考えながら、またもずずずと汁を飲んでたら外が何だか賑やかになった。

「はい、5名様ですね〜、いらっしゃい!」お姉さんの元気の良い声が響くのだが、それに対応する日本語の反応がない・・・。あれれ、香港人家族ではないか。

そうか旧正月を利用した家族旅行で名古屋に来てるんだな、そう思いながらまたもずずずと汁を飲んでたら、そのうちの15歳くらいの男の子がこっちを不思議そうに見ている。

あれ?おれ、広東語使ってないよな、そう思いながら汁を飲んでたら・・・・、あ、分かった!モンコックの続きなんだこれ。

たぶん普通の日本人にはますます理解不能かもしれないが、香港では汁物であれ麺類であれ、丼に口を直接つけることは絶対にあり得ない。前回も書いたけど、それはトイレにキスするようなものなのだ。

そう、香港では丼はまともに洗われていない汚いものと言う認識なのだ。まあ認識というか、事実そうなのだ。

麺専門店なんかでも、食べ終わった丼は洗い用の洗剤が入ったバケツでざくっと漬けてさっと取り出し、その隣のすすぎ用のバケツでざざっと水をくぐらせて終わりなのである。

ちょっと待て、だったら丼の中だって汚いじゃないかと思うでしょ。ところがここが香港人の現実主義の面白い点で、丼に入った麺は食いたいから自分なりに理屈を付けて「麺とスープが丼の内側を浄化した」と定義づけて食ってしまうのだ。

自己欺瞞と言えば言え、そうしないと食えないならそれでいいではないかって理屈だ。けどだからと言って丼の端っこに口を付ける事はせず、必ず一緒に来るスプーンでスープを飲むのだ。

子供はそんな親を見て育っているから、丼は汚いものだ、そこに口をつけるなんてあり得ないと学んでいる。

そんな子供が日本に来て、日本人が丼の端っこに口を直接付けて汁のんでるのを見れば、そりゃあまびっくりするだろう。

日本語がほとんど出来ない彼らは最初英語で話しかけたのだが、そこは店の人も慣れたもので「かむひあ、プリーズ」と店の外に彼らを一旦連れ出して「ショーケースプリーズ」って言ってるのだ。

要するに現物を見て注文してねってことだろう、そしたら日本語が読めなくてメニューが読めなくてもいいではないかという事だろう。

男だとここで「いや、ここは日本ですから日本語でどうぜお!」とか「いやいや、外国人も来るのなら英語のメニューを作るべきだ」なんて議論が始まるのだろうけど女性はもっと現実的だ。目の前にあるショーケースのうどんやそばを見せて「はい、どうぞ〜」なのである。この店の人もなかなか現実主義ですな。

味の濃さで痺れる舌をぺろぺろしながら店を出たのだが、あとでふと考えた。結局お店の人は彼らにスプーンを出したのかな。


tom_eastwind at 03:26│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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