2010年02月27日

誠実さのかけらもない不良たち

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今回泊まっているホテルはピカデリーサーカスから徒歩1分の場所。古い石造りのホテルの地下一階のバーでパソコンを叩いてる。

昼過ぎだってのに世界中のビジネスパーソンが集まって商談やおしゃべりをしている。

米国から来た雰囲気の恰幅のよいおじさん連中が「ふ、今日は車の運転だからこれ以上は飲めないよ」とバーテンダーの誘いを断ってる。ワインを3杯飲んだ時点で言うようなせりふではないとも思うのだが、ところ変われば品変わる、なのだろう。

ぼくはバーに坐って両替ビジネスとは別のビジネスの展開を考えて予定を作った取引先と話をしている。

あれ?おれも仕事しているじゃん、昼過ぎに飲むコーラってのはコカコーラなのかコークなのか、なんて考えながら昼過ぎなのに充分に重厚で薄暗いバーで打ち合わせをする。

昼過ぎから酒も飲まないならバーで打ち合わせするなってのは一般的な日本人の感覚だろう。

けどこのホテルは改装中でレストランもカフェもやってない。打ち合わせは唯一このバーしかないのだ。古いホテルなのです。

ホテルの従業員やバーでいろんな英語を聞いてると、おお、こりゃロンドンって国際都市だし英語が基本だけど、今話をしている周囲の人々のうち三分の一は英国人ではないってのがよく分かる。

昨日会ったフィンランド出身の人々、バーでサービスをする東欧出身のスタッフ、フロントやコンシェルジェで働く黒人スタッフと人種は多彩である。あ、そう言えば昨日の夕方に打ち合わせをした人は中東系だったぞ。今日の打ち合わせ相手は国籍をはっきりとは言わなかったがたぶんタイランド出身だろうな。

ここにいるとミドルイーストがとても身近に感じる。東京やオークランドではここまでは感じないぞとか思う。

テロリストが英国から米国に渡りハイジャックやろうとしたおかげで空港のセキュリティが厳しくなったって言うけど、そんなもん泥縄でしょう。泥棒を捕まえてから縄を結っても遅いでしょ。

それよりはテロリストが何を主張してて、彼らの言ってることの正統性を理解して、西洋資本主義のどこに問題があるかを考えたほうが費用も安上がりだぜと思うのだが、まあそれは別問題。

それにしても皆、それなりに英語を使って自己主張する中でぼくも負けないようにこちらの主張をする。

けどさ、アジア、それもある国では誰かを卑下して自分が優越だという事をネタにして喜ぶ人々がいるけど、この街では国際都市という感覚が何百年もかけて出来上がったのだろう、思うよりも他人や異文化に対する「違いを認める」文化があると感じる。

「お前もすごいね、けどオレもすごいぞ」てな感覚、かな。これは今朝の話で出てきたせりふだけど、この街ではまさにそう思う。

皆が自分に対してしっかりと自信を持って話しているし、そして相手に相応の自信があり話の内容に意味があればきちんと耳を傾けてくれる。

英語が下手なことは問題ではない、問題は言葉が話せないことだと分かっている。だから誰も人の主張を聞く。その上で発音や文法の間違いには拘らずに相手の言いたいことを聞いて、そこに点を合わせてしっかりと答えてくれる、そんな感じだ。

これが日本だと「おい、ここは日本なんだ、きちんと日本語しゃべりやがれ」か「まあ外国人!かっこいい!」のどちらかしか反応しかなく、彼や彼女が話そうとする中身を聞こうとしない。

この点においても東京が国際都市であるためにはもうすこしオトナの対応が欲しいと思うのはぼくの贅沢か?

そんな雰囲気の中、ロンドンのシティに住む誠実さの欠片もない不良がつい1年前に金融危機を起こしたのかと思うと、変な感じである。

けどこれが結局資本主義の限界なのかなとかも思うが、まあこれを言い出したら止まらないので今日はあくまでもロンドンの良い面を見ていきたい。

そりゃあまあ、悪い面を言い出したらきりがない。まずは天気の悪さだし雨の冷たさだし底冷えする空気だし古い建物だし資本主義の小悪魔の集まりでもあるけど、全体としては「良い」のではないか。少なくとも僕は好感を持てる。

あ、けど一つだけどうしてもびっくりするのは物価の高さ。ナンじゃこりゃ、である。仕方ないのかもしれないけど、南太平洋の小島の生活感からすればこの物価だけは呆れるしかない。ロンドンに仕事に来る人、充分にご注意を。

今回の出張では小悪魔とも誠実さの欠片もない不良(金融パーソン)とも会ったが、悪くない。誠実さのかけらもない不良たちと誠実さの証しである契約書の話をしながら、まったくイギリス人ってのは長い時間をかけて面白い金融システムを作ったんだなと感心した。

チップの金額だけが明快ではないのでどうしても多めに出してしまうのが痛いところだけど、それもまあよしだろう、これで小悪魔連中が喜んで経済が回るんだから。

写真はホテルのバーです。商談の翌日の写真です。


tom_eastwind at 06:26│Comments(0)TrackBack(0)

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