2010年03月01日

ロンドンに限らず価値観・どの国で何をしたいか

ロンドンのジャパレスで日本人が時給手取り4ポンドとして頑張って週40時間働いても、手取り160ポンドだ。

ロンドンのフラットシェアの家賃は週で120ポンドくらい。これで生活費(週100ポンド程度)を考えるとかなりきつい。てか実際には無理だ。

そうなるともっと給料の高い一般事務の仕事となるのだが、これも(業務内容、給与ともに)大したことはなく、普通の事務員であれば1時間8ポンドから10ポンドである。

年間2千時間の労働と計算して年収2万ポンド。ここから税金を納めていくと、フラットシェアの生活で年に一回日本に里帰り出来るかどうかのラインであり、貯金はかなりきついだろう。

一般的には年収4万ポンドあたりが「普通に働いているビジネスマン」の基準である。現在の円に換算すれば600万円程度である。だから日本だったらどうにか稼げそうな金額ではあるが、ロンドンではきつい。

しかし仕事をするからにはそれくらいの稼ぎが取れるようにならなければ意味はない。これがニュージーランドなら給料が安くても家族と一緒に食事出来るし週末は明るい太陽の下で友達とBBQを楽しめる。

何故に一年中どんよりとした鉛色の空の下で、家族と古くて床のきしむようなちっちゃいアパートに住み、押しつぶされそうな仕事の重圧に耐えながら世界を相手に毎日を戦って生き残ろうとするのに安い給料で満足出来る物か。

このあたりがロンドンとオークランドの一番の違い、かな。

だからこそロンドンシティで仕事をうまくいかせようとするビジネスマンは無理してでもボンド街に並ぶ一流洋服店でお洒落なスーツとネクタイを買って、Yシャツにあったカフスボタンを付けて自分の業種に見合った色でまとめて自分をその業界の人々に「ほら、ボクも君らの仲間だよ、だからそこに入れてくれよ」と信号を発信しているのだ。

ぼくが一ヶ月ほど前にHSBC(香港上海銀行)オークランド支店にミーティングに行った時、初めて会う二人組みはどちらも僕のスーツ姿を見て思わず「あ、ごめん、ネクタイ無しで。今日はカジュアルデイなんだ」とちょっと恥ずかしそうに言ってたのを思い出す。

オークランドは超地方の一支店である。

その中でやってる分には着る物よりもリラックスが優先されてるし、第一田舎で皆が顔見知りの世界では誰しもが「カジュアル」でOKなのだ。しかしロンドン本社から誰かが来る時はやっぱりきちんとネクタイを付けられるように、職場では常にYシャツを着ているしネクタイとジャケットはハンガーに架かっている。

彼らHSBCスタッフからすれば僕はオークランド在住だからラフな格好で来るんだろうなくらいに予想していたのだろう。

生活水準を取るか、年収を取るか、それはその人の価値観である。

ただ、これもまたロンドンに限らずであるが、仕事が大変な場所ってのは競争が激しい分だけ高い給料をもらえる。その分現地の物価も高くなる。そうなると仕事が大変な場所で高い給料をもらえずにいると、これは辛いことになる。

だから高い年収を狙ってるのならば自分を外見も中身も磨く事しかない。最後は自分、なのだ。または最初からニュージーランドを生活の拠点としてデッキチェアに背中を預けてのんびり出来る生活を選ぶか、である。

あ、もう一つの価値観があった。給料は安いしフラットシェアで住んでるアパートはエレベーターもない4階建てで毎日交通渋滞の中をバスで揺られながら職場に向かい夜遅くまで仕事をして、楽しみは近くのコストコでまとめ買いした安い缶ビールを夜遅くに自分の部屋で飲むこととなっても、日本にいる友人には「おれ、ロンドンで働いててさ〜、この前なんてお店にショーンコネリーが来たよ〜」とメールを送り、少しでも日本の田舎の同級生に嫉妬心を抱かせる価値観である。

僕はそのような価値観は否定しない。他人に迷惑をかけていないのだ、何が悪いかって本気で思ってる。そりゃ角度を変えて忠告して欲しいってなら言う事もあるけど、そんなもん人間が生まれた時から持ってる本能みたいなもので、人は学ばない限り他人と自分を比較するものなのだ。

ほんとにもう、ピカデリーサーカスのあたりは何処を見ても「人、人、人」である。その中で明るく大騒ぎしてるのは米国や南米からのお上り状態の観光客であり、ビジネスマンは皆よそ目もふらずに急ぎ足で石畳にカツカツとTODSの靴音を響かせながら通り過ぎていく。

ミュージカルの本場としても有名なこの街では、夜の部のショーでもやっぱりおのぼりさんたちはキャーキャーワイワイと席で騒いでる。

舞台の裏では今日の公演のメンバーに入れてもらえなかった若き踊り子たちが、明日こそはと真剣なまなざしで舞台を見つめてイメージ練習をしている。

ロンドンで仕事をしながら、そのような「価値観」をずっと見てきた。ただ一つ救いなのは、ぼくが見てきた範囲内でしか言えないが、少なくとも「こんなはずじゃなかった」と思ってるような顔は少なかったと言う点だ。

実際には皆、腹の中でいろいろと考えているのかもしれない。けど少なくともプロとして仕事をしている間はきちんと誇りと自信を持って仕事をしている感じを受けた、日本食レストランを除いてね。

仕事の話をこれだけ書かない「起業家日誌」ってのも何なのかとか思ったりもするが、今回のロンドンでの打ち合わせで思ったより仕事を拡大して展開していけそうな雰囲気になった。

ロンドン発19時の日本航空402便で東京に向かい横移動、ロシアを飛び越えて飛行時間は約11時間、時差9時間の旅である。

東京に16時に着いて(体内時間は朝8時?)定宿に移動。19時と21時に会議を行う。一つは今回のロンドンビジネスをどう展開してくのかって話だ。

それが終わって翌日の午前中には成田に戻り、15時過ぎのキャセイ航空で縦移動、飛行時間11時間、時差4時間で香港経由オークランドに戻る。ロンドンを出発してから72時間のうち飛行時間が24時間で陸上移動が8時間である。

3月に入りオークランドに戻れば、今回の展開が大体固まってくるはずだ。そうすれば近いうちにもう一回ロンドンに行く事になるだろう。今度は春かな。

3月はニュージーランド移住に向けた視察ツアーが何本か予定されている。

これまた重い。彼らは人生を賭けてニュージーランドに来るわけであり、彼らの気持ちを充分に共感した上で現実的に彼らに合った工程表を組み立てていくのである。

スーパーで買った卵が壊れてて「ありゃすみませんねえ奥さん、じゃあ新しいのをそこから持ってってくださいよ」とは言えないのだ。人生と時間にやり直しはない。

「ニュージーランドはデッキチェアでのんびり、じゃなかったの?」と聞かれそうだ。たしかに僕の自宅と家族はオークランドだけど、ビジネスは一年のうち半分近くを北半球の海外で過ごしているのでぼくのビジネスモデルは「北半球型過激競争系」である。

その積りで過激にやってるしその事を「こんなはずでは」と思うこともないのが僕だろう。

オークランドの周囲では皆が楽しそうにあいも変わらずおしゃべりをしているんだろうけど、お前一人だけ何をあくせくやってんだよって言われそうだけど、自閉症なので他人の言葉は耳に入らない。

他人のことは気にならないし、北半球に居る時は彼らの価値観を尊重して僕も同じように夜中まで働くし南半球に居る時はオークランドの連中の価値観を尊重して夕方の4時には自宅に帰る。

まあこれがぼくの価値観だ、そう考えている。価値観、これって英語で言えばライフスタイルだろう。

それにしても今回の出張は、長かったな。香港から東京、名古屋、木曽福島、木曽御岳、東京、説明会、ロンドン、東京、合計で3週間だ。しかし実りのあるものになった。次はこれをどう育てて収穫していくか、である。がんがろっと。


tom_eastwind at 00:30│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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