2010年04月10日

電波開国

今日の池田信夫ブログでいよいよ総務省が電波を解放する方針を発表したとの事。

電波と言うのは通信や放送の要となる物質であるが、これは自然界に存在する電磁波の一部であり光と同じようなもので波長の長いものである(ウィキ)。

この自然界にある電波がなければどれだけ東京電力が原子力使って電力を作ってその電力でどっかの家庭や会社に電気を送りその電気で携帯電話を充電させても、遠くに離れた人と話をしようと思っても出来ない。

テレビもまさに電波の塊であり、東京タワーから遠く離れた人々の家庭の受像機だってテレビ局とケーブルで繋がっているわけではないので、やっぱり電波がなければテレビも見れない。

つまり電波とは元々が空気や光とか、その国家の持っている国民全体の資産であり、これは誰かが個人で所有するようなものではないから、本来誰に所属するものではない。

ところが普段は国民が直接この電波を利用する事は出来ず、そこで電波を発信する塔、東京タワーを作る必要がある。でもってタワーを作るのは民間であり電波を利用するのだが、誰かが自分の利益の為に国民全体の資産を利用するなら利用料を払わねばならない。

それが今までは“なあなあ”の中でテレビ局やラジオ局が安いお金で使っており、後から出てきた携帯電話利用者が電波利用料の殆どを負担してきてた。

これって携帯電話利用者の殆どは気付いてないけど、水で考えると分かり易い。国民全体の資産である水は、その利用量に応じて国民が水道局にお金を払っている。大企業で工場を持ってれば大量の水を使うので利用料金は莫大なものになる。

ところがもしどっかの大企業が利根川の上流に大工場を作って川の水の80%を工場の為に使って汚くして川に排出したのにぜんぜんお金を払わない、けど下流の人はその汚れた水を高い浄水料金を払って高い水を買っているとなったら、こりゃ不公平でしょ。

その不公平を糾してたのが池田信夫の著書「電波利権」である。

今回の原口総務相の発言は下記の総務省ウェブサイトで読むことが出来る。

http://www.soumu.go.jp/menu_news/kaiken/02koho01_000102.html

電波規制を開放すると何が起こるか?それは今まで使えなかった電波を誰もが有効活用出来る様になり、とくに日本の携帯電話端末を作っている企業にとって世界と同じ周波数で戦える、つまり世界に出て行ける環境作りが出来ると言うことだ。

こりゃ画期的である。世界で最も優れた性能を持ちながらもNTTの通信規格に合わせた為に、そして“おいしい”周波数をテレビ局に取られてしまった為に、あげくにシムロックの為に世界に出て行けず日本で“ガラパゴス状態”だった端末メーカーが、これで海外に出て行けるのだ。

この記事を読みながら先日のシムロック解除を合わせて考えてみると一つの方向性が見える。つまり政府がやっと既得権益企業だけを守る姿勢から、誰でも自分の技術で世界に出て行けるような環境を整えてくれたってことだ。

そう。政府は余計なことさえせずに民間が動きやすいように規制を減らしてくれれば良いのだ。今回の電波のように国民全員に開放してくれれば、後は国民が一生懸命頭を使って金の稼ぎ方を考えるのだ。

日本の携帯電話端末のすごい点は、例えばお財布ケータイである。こんな技術、世界のどこにもないぜ。ピっとかざせばちゃりんと落ちる、これで小銭も不要である。

ところがこの技術、海外の携帯電話には搭載されてない。もちろん僕の重宝しているIphoneにも搭載されてないソフトである。

この技術はもちろん日本製であり、香港ではオクトパスカードと言う名称で香港人のほぼ全員が持っているプリペイドカードである。つまり彼らは携帯電話とオクトパスカードをそれぞれ持っているのだけど、これを携帯電話の中に組み込む技術はまだ持ってないのだ。

僕のIphoneは皮製のケースと本体の間に一万円、そして裏側のカードホルダーにクレジットカードを入れることで実質的お財布ケータイにしているんだけど、もし日本のお財布ケータイ技術が出来ればこんなめんどくさい事しなくてもすむのだ。

普段携帯電話を使ってても自分たちが電波利用料の殆どを負担しているとか、お財布ケータイが世界最高の技術であるとか知らなくても、やっぱり日本の技術が世界に出て行って北欧や韓国に圧倒的に負けている携帯電話端末市場であっと言う間に市場を席巻して一番になったら気持ちいいでしょ。

日本が技術立国として世界に出て行くために必要なのは、実はこのような規制緩和と開国政策なのである。

ぼくは海外生活が20年を越してしまったが、それだけ日本から離れていても今も間違いなく言えるのは日本の技術力はいつの時代も常に世界最高であるってこと。これは日本から離れているからよく分かる事であり、日本にいては気付かない。

けどあまりに技術力に偏り過ぎて、販売するためのノウハウとか戦略が乏しすぎるから“ケータイガラパゴス”現象が起きたのだ。そしてその元凶は殆どの場合既得権益に乗っかっている一部特権連中であるのも事実。

今回の原口総務相の発表は総務省をひっくり返すようなパニック状態になったそうだが、それくらいやれや!って感じである。

日本人はとてつもない能力を持っているが、その事に気づかないまま自分で自分の首を絞めるような安売りばかりやっている。

このあたりで世界をパニックに落し入れる位の“びっくりさせてやるような”ことを是非ともやりたいものである。

思い出してほしい、ウォークマンが世界に激震を走らせたとき、ソニーだけでなく日本人全員が自国民を誇らしく思ったことを。

日本が再生する一つの機会として今回の原口総務相の発言と今後の電波開国に期待したい。


tom_eastwind at 23:32│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 日本ニュース

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