2010年05月06日

銀行の話

d2876898.JPG豪ウエストパック銀、純利益32.2%増=10年3月中間決算
 【シドニー時事】オーストラリアの4大銀行の一つ、ウエストパック銀行が5日発表した2010年3月中間決算(09年10月〜10年3月)によると、純利益は前年同期比32.2%増の28億7500万豪ドルとなった。総収入は、6.1%増の85億8100万豪ドル。預金や豪州の住宅ローン貸し出しが好調だったほか、不良債権処理額が減少した。(2010/05/05-10:01)
★ 記事終了

オセアニア経済ってのは豪州とNZの二つあると思っている人が多いけど実態はNZの経済は豪州とほぼ一体化されており、豪州の7番目の州(8番目?)と考えてもらって問題はない。

と言うのも豪州とNZは1980年代にすでにFTA(正確には経済緊密化協定)を締結しており、両国間の物品関税はなく人の行き来もビザ不要でどちらで働いても良い、つまり東京と札幌という感覚なのだ。

なので豪州が調子良ければキーウィは豪州に行き、豪州で作るものが安ければ豪州から買う。だからこのニュースはオセアニア全体が調子いいぜって事だ。

幸いな事に投資銀行など積極的な活動をする銀行が少なくて北半球で売られていたサブプライム関連商品を買う事が出来なかったから北半球の銀行のように大きな問題とならなかったなどと揶揄するつもりはない(笑)。

不動産担保の物件にしかカネを貸さず、それも一番美味しい一番抵当だけしか取らず顧客の債務不履行で叩き売っても全額回収出来る60%までの貸付にして、まるで土地を担保にしてる質屋じゃねーかなどと言う積りもない(笑)。

実際、仕組みの分からないサブプライム商品は買わない、回収出来る相手にしかカネを貸さないという単純で明快なシステムが結果的に成功だったわけで、ビジネスは結果がすべてであり結果的にオセアニアの銀行の傷は浅くて済んで現在の経済回復に繋がっている。

しかし銀行の現場では決してそうもいってないようだ。

地元銀行の取引先支店の副支店長が代わったのであいさつしたいと言う。てっきりあっちから来るのかと思ってたら「こっちに来い」である。なんじゃこいつとか思いながらも、歩いて2分の場所にあるので散歩がてらどんなおっちゃんなのか見に行った。

支店に入ると早速出てきたこの副支店長、見かけは若いおにいちゃんだけど、何となく数週間前に意味もなく帰宅中のぼくのクルマを停止させて言いたい放題言って去っていった白バイのにいちゃんに似ている。

この白バイ、どうやら僕がファンショーストリートから高速に入る際の車線変更が気に食わなかったようで、こっちは安全運転でハーバーブリッジを超えてるっちゅうのにずっと追いかけてきて、オネワロードで高速を降りたすぐのところで急にサイレン鳴らして「停まれ~!」だって。

なんじゃこいつと思って窓を開けると「おまえさ、たった今左側に停まってる車を見てブレーキ踏んだろ、危険運転だぞ」だって。

おいおい、一般道で片道一車線しかないんだから当然ブレーキ踏んで前方を確認するだろ、そう答えると「何を答えてるんだ、おれはおまえに言ってるんだ、話してるんじゃない!」“ I’m not talking , I’m speaking ! ”だってさ。

最初は車線変更の時点でどうにかしようと思ったのだろう、けどハーバーブリッジを越すあたりから冷静に考えてみると、あの程度の車線変更をねたにどうこう言えないと彼の理性で気付いたのだろう、全然関係ない停止ネタでこっちを停めやがった。

ナンだ東京地検もまっさおな別件逮捕だぜとか思いながら、どうやらこのにいちゃん、鬱憤を晴らしたいだけなんだな、じゃあまあいいや聞いてやろうって感じでいると、どうのこうの言って2分で去っていった。

話を銀行に戻すと、この副支店長もとにかく機関銃みたいにしゃべりまくるんだけど、突き詰めて言えば話の最初の半分は「おれは副支店長だけど、支店長と同格なんだ、支店長はクイーンストリート全部の支店を見ているから忙しい、だから実質おれがこの店を見ているんだわ〜」と言う自己満足の表現。

そりゃそりゃ昇進おめでとう。

でもって彼が本題を切り出した。最近の金融規制強化でこれからは銀行業務でも今まで以上に審査が厳しくなると厳かな顔で言い出したのだ。

知ってるから、そんなこと。日本はすでにもっと厳しくなってるし、第一そんなのはオタクの支店の中国人とインド人顧客に言うべき話じゃないの?

思わず、おいおいオマエは警察か銀行なのかはっきりしろよ、もしかしてオマエの弟もしかして白バイに乗ってねーかと思わず口に出そうになった。

が、要するにこいつは態度が悪いだけで言ってることはごく当然なので、「ああいいよ、もちろん。当然だよね」と言っておいた。

ただその彼が一生懸命主張する内容の端々に「おれはここまで来たんだ、くだらん書類仕事で不備が見つかって降格されたくもないし、それくらいだったら他のスケープゴートを見つけてそいつに責任被せてやるぞ」って態度がみえみえちゃん。

要するに彼にとっては自分のポジションが大事であり、「取り締まり強化をする事でお客様が面倒になり他の銀行のプレミア口座に移ってもそんなのはどうでも良い、今はおれの椅子をどうやって守るかがすべてだ」なのだ。

たしかに金融規制強化は米国でもすでにゴールドマンサックスを餌食としてボルカーが激しい攻撃をかけてるし、銀行はとにかく自分の立場を守る事で精一杯なのはよく分かる。

特にIFRSが世界的に導入されて監査が厳しくなり、監査官が銀行に入ってきて顧客書類を全部ひっくり返して「おい、この身元確認は出来てるんか、どうやって確認したんか、おい、この署名と登録した署名が少し筆跡のずれがあるのに誰も確認してないのか」などと銀行のあら捜しをやるわけだから、銀行だって手続きに慎重になるのは当然だろう。

しかしな〜、自分だけ儲けて相手はどうなっても良いってビジネスモデルは日本では通用しない。

日本では“あいみたがい”で助け合ってお互いの利益をどうやったら増やせるか、そう考えるのが基本だし、それは世界でビジネスをする上でも同じなんだけど、銀行だけは違う世界なのかな。


tom_eastwind at 21:41│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔