2010年05月09日

英国階級社会の末裔たち

今日は久々にシドニー出張の準備で(とは言っても行くのは6月になってからだけど)、シドニーの英字新聞のサイトから始まり、日系情報の日豪プレスとかJentaとかいろんな現地無料情報誌を読み込んで、ついでに2ちゃんねるも眼を通して最近のシドニーのイメージを頭に入れるようにした。


それにしてもシドニーは経済的にはオークランドと同じ地域だし大体が元々英国からの移民なのに人間としての気質が何でここまで違うのかなと改めて思わされる。

なんつーか、シドニーは基本的に人間性悪説なのだ。人はほっとくと悪い事をするから取り締まれ、なのである。つまり日本のやり方と同じである。

オーストラリア人は他人に騙されないように悪知恵をいろいろと考えて次から次へと素人騙してついでにアボリジニを叩き殺しておいて「あ、アボね、あいつらは人間じゃないから殺していいんだよ」とか言ってみたり、時にはアボリジニの子供を親から暴力で奪い取り、“彼らはかわいそうな子供だから”と白人の物まねをさせてみたり、白豪主義で人種差別を堂々とやった挙句にアジアの景気が良くなると突然「多文化主義〜!」とか言ってアジアのカネを受け取り、追いやったアボリジニの居住区でウランが採れると分かった瞬間にアボリジニを居住区から叩きだして白人のものにしてしまい。とにかくやり放題なのだから、世界中どこに行っても負けることはない、もっと悪いのがいない限り。

だからこそオーストラリアの一般的な小学校や中学校ではあまり自国の歴史を教えないのだろう(笑)。

なんて極端な書き方をしたけど、自分がニュージーランドと言う田舎にいるからこの国を庇うって言う判官贔屓な意味ではなくて、ほんとにオーストラリアの歴史を見れば見るほどアメリカに近いなって感じがするのは僕だけではないだろう。

実際に豪州では遠くはなれた英国よりも太平洋をまたいだ米国の影響が強く、第二次世界大戦ではAmerica+AustraliaでAAラインと言う対日本防御線を構築もした。

一般的な国民にとっては元の親玉である英国よりも米国の方が自分たちに合っていると感じているのではないだろうか。なにせ元は同じイギリス人でも、アメリカに渡った連中はそれまでアメリカで普通に生活をしていたインディアンを殆ど虐殺しまくり居留地に追い込み酒と補助金漬けにして社会に出て来れないようにしたんだから、豪州の大先輩である。

「おれたちゃ女王陛下に追い出された身分だ、今更宗主国面してもらいたくないよね」って人が何年かに一度づつ「共和制の導入!」を訴えている。

なにせ豪州人の10人に1人は先祖に犯罪人を持つと言われている。

元々この国ってのは日本の八丈島みたいなもので英国で犯罪を犯した連中を二度と英国に戻れないように送り込んだ囚人島だった。だから彼らの性悪説の発想も何となく分からないではない。

これとは逆にニュージーランドは中流階級の人々でキリスト教の教えを真面目に信じた人々が集団で移住してきており、社会が根本的に人間性善説で構築されている。

そして先住民族であるマオリと戦争ではなく同化を目指して1840年のワイタンギ条約ではマオリをイギリス国民とする事で異民族共同社会を構築した。

勿論歴史の途中ではマオリ戦争も起こったが結果的に20世紀初頭にはマオリと白人が一緒に南アフリカのボーア戦争や第一次世界大戦の戦いに参加した。

つまり同じイギリス人を先祖に持ちながらも片方は銃を振り回して地元先住民を人間扱いせず虐殺しまくり、片方では先住民族の文化を尊重して共同社会を作り上げた。

この違いは結局イギリス人という国民性ではなく、その新しい国がイギリス階級社会のうちどの階層で構成されたかで違いを表すのが最も適当ではないかと思う。

しかしこれが、つまり人間性善説を持つニュージーランドが経済的にオーストラリアに負けている理由でもあろう。つまり悪貨は良貨を駆逐するのだ。資本主義においてはお人よしは何の意味も持たないのだ。

ニュージーランドはそのお人よしさゆえにオーストラリアの人間に対して悪気を持たない。

オーストラリアはうまい事言ってニュージーランドでスーパーマーケットを経営してモールを運営してお金持ちになる。キーウィはスーパーで働くかモールで出店させてもらうかである。

ただまあニュージーランドもそれなりに要領が良いから、めんどくさい工業は豪州に任せて自分ちは自然と観光でのびのびと生活しますよ、洗濯洗剤や自動車はオタクんとこで作ってください、こっちは値段が少々高くても買いますから、そんなすみわけが出来ている気がする。

しかし若者からすれば何もない田舎の牧場の生活よりは、シドニーの夜の更けないきらびやかな生活を楽しみたいわけで、大学を卒業したりオークランドである程度の経験を積むと皆さん飛行機に乗って給料が2倍になる国、オーストラリアを目指す。

シドニーの人口400万人のうち40万人はキーウィと言われているくらいで、札幌の大学を出て東京の会社に就職するようなものだ。

ぼくから見ればシドニーなんて所詮中途半端な都会でしかないし、どうせならオークランドの大学を卒業した若者が英国や東京や香港を目指したりするほうがよっぽどいいかと思う。

アジアに生まれ育った日本人が何を言うかって事になるんだけど、10年くらい前かな、シドニーに進出しようかった思ったこともあった。

けど何度か視察するうちに「あ、これはオレのやり方が通らない、つまり合理性のない力で叩き合って潰しあうビジネスモデルの国だな」と思ったので結局止めて、あくまで市場調査の為に訪問する事に決め打ちした。

同じ頃にバンクーバーに展開した二つの会社は、あそこはきちんと合理性が働く場所だったのでうまくいって3年くらい稼がせてもらった。

日本にいる日本人からすれば「同じ白人だから」と考えるかもしれないし契約社会であるのは英国圏は皆同様であるが、やはり微妙に違う。

アメリカ人、カナダ人、オーストラリア人、ニュージーランド人、そしてイギリス人、彼らと一通りビジネスをやってきたが、あえて言うならオージーとキーウィの違いは東京人と大阪人の違い以上、日本人と韓国人の違い以下の中のどこかだと感じている。


tom_eastwind at 14:01│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔