2010年08月10日

21世紀の国境

f463724c.png第一国境と第二国境

米国と中国の国境問題が日本の頭越しに進んでいる。え?米国と中国って直接国境が接している場所ってあったっけ?と普通に考えれば変な話だが、元々国境は力の強い者が自分で線を引っ張って「ここ、おれんち」とやるのだから、現在の国境が永遠に変化しないなんてあり得ない。

分かり易い例を挙げれば、何故アフリカの国境の殆どは川や山ではなく棒を置いたように一直線になっているのか、何故中近東の国境は民族性を考慮しないままに縦横に作られているのか?あの国境は世界を覇権した英国が勝手に仕切った結果であり、その為に今でも民族抗争が各国で止まらないのだ。

★抜粋開始
実は、黄海を「中国の海」にしたのは、米政府の今回の一回限りの譲歩だけが原因ではない。米国は昨年、中国に対して「米中で世界を二分する覇権体制を作ろう」と「米中G2体制」を提案した。中国は「わが国はまだ発展途上で、そのような体制に参加するには早すぎるし、世界覇権も狙っていない」と断った。

だが中国は、G2体制の初期的な第一歩として、自国周辺の台湾、チベット、新疆ウイグル(トルキスタン)という、中国が「国内」と主張する3つの地域「3T」と、東シナ海と南シナ海という、中国が経済水域権(大陸棚)や領有権(南沙群島)を主張する2つの海域において、中国だけが国家主権(覇権)を行使する体制を容認してほしいと米国に求めた。

 米国はこの要求を容認したらしく、中国は今年初めから「3T地域における中国の国家主権を認めない言動に対し、中国は今後容赦なく攻撃し、潰すことにする」と宣言した。同時に中国は、東シナ海(琉球列島の西側)と台湾東部沖、フィリピンの西側、南シナ海(ボルネオ島からベトナムの沖合)をつなげた海域の境界線を「第1列島線」として設定し、第1列島線から中国の海岸の間は、中国の影響海域であり、他の国々の領有権主張や軍事進出、資源探査を許さないという方針を打ち出した。

http://tanakanews.com/100627china.htm
消えゆく中国包囲網

「第1列島線」と同時に、伊豆諸島、小笠原諸島、グアム島(北マリアナ諸島)、ミクロネシアの西側を南下してニューギニア島沖に至る「第2列島線」も制定された。従来、第1列島線の西に位置する台湾までを影響圏にしていた米国は、第2列島線の東にあるグアム島まで撤退し、それと同時に中国が第1列島線の西側のすべてを自国の影響圏として設定し、2つの列島線の間に位置す
る日本やフィリピン、インドネシアなどは米中の緩衝地帯として機能するという、将来的な米中の影響圏の取り決め構想である。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/a1/Geographic_Boundaries_of_the_First_and_Second_Island_Chains.png
第1列島線、第2列島線の地図

 米国では、中国が2つの列島線の構想を出したと説明されている。だが、G2を時期尚早と断った新参者の中国が、将来的な米中の影響圏の設定を、まだ世界最強の古参覇権国の米国に話を通さず、勝手に独自に設定するはずがない。米国の外交戦略を考案する奥の院である「外交問題評議会」が発行する雑誌「フォーリン・アフェアーズ」は今年「米国が第2列島線まで後退し、中国が第1列島線まで進出してくるのは、不可避のことだ」と主張する論文を載せている。2つの列島線は、米中が合同で話し合って決めたものに違いない。
★抜粋終了

どうやらこれで普天間の方向性は確定したようだ。元々全軍がグアム移転する計画だったのに、一部部隊のみが辺野古に残るって嘘ごとで日本政府の思いやり予算を確保したかった米軍と、米国追従派閥が組んで作った辺野古計画も、これからあーでもないこーでもないと計画をやり直しながら、最終的には沖縄の米軍はすべて第二列島線の東にあるグアムに集中する。

辺野古の海がどうなろうと日本政府にも米国にも関係はない。だからもしかしたら本当に滑走路を作るかもしれない。けどそこに駐留する米軍はいない。

だから政府としても沖縄とあまり喧嘩をしてもめるよりも、計画の先送りを繰り返して結果的に数年後に「あらま、米軍は皆グアムに行きましたな、だったらグアムの米軍向けの思いやり予算を計上しましょ、沖縄から出て行ってくれたお駄賃でしょ」って感じになるのだろう。

ただ問題は、これで米国と中国の間で国境線が明確になったって事だ。日本、沖縄、台湾、ベトナム、このあたりの「第一国境線」は中国の支配下に、そしてグアムを境界として米軍は第二国境線を作る。

第一と第二の間は緩衝地帯として両国は手を出さない、これで21世紀を行きましょうよ、そんなイメージだ。丁度、韓国と北朝鮮の間の板門店みたいなものである。

なんでこんな事をやっているかって言うと、どう転んでも12億の人口を抱える中国の台頭を米国は止める事が出来ないし、だったら最初から仲良く世界を米大陸、亜細亜、欧州と三分割して、それぞれにうまくやっていきましょうぜって処世術だ。

日本は今、自分の国がどうなるかって考えている。けど、世界の動きの中で実態としての国境線が変わろうとしている。要するに国境なんて、その時に力のある連中が決めることだ。

残念な事に米国追従の日本では米国の既定方針に逆らう事は出来ない。ではいくらかでも今のうちに亜細亜で良い地位を得るために中国や韓国と仲良くしていこう、それも一つの政治であろう。


tom_eastwind at 14:40│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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