2010年08月18日

インサイダー

松本徹三という人がいる。ソフトバンクモバイルの副社長であり通信業界で長く働いている人だ。今はシムロック問題で矢面に立たされているが、彼なりに自分のブログできちんと説明を行っている。

シムロックについてはソフトバンクの立場は明快で、これは元々Iphoneを独占販売する事を前提に安い料金体系を作っており、今になってIphoneでシムロックは外せというのは、ルールに従って商売をやってたら後追いでゲームのルールを変えられたようなものだとの主張である。

ならばシムロックを解除する時点でNTTやソフトバンクが料金体系を変更して競争すれば良いという条件交渉になるのだろうが、まあこれは本題ではないのでご興味のある方は彼のコメントを読んで欲しい。

そして最近は「光の道」論争が続いているが、彼なりに目に見えない一般大衆を相手に毎日自分の意見と会社の意見を書き込んでいる。「ビジネスの当事者は国家レベルの議論をしてはいけないのか?」と言う、当然なのだが普通の日本人には分かりにくい意見を展開してて、これも参考になる。

http://agora-web.jp/archives/1075601.html

ぼくが面白く読んだのは、その中でも直接議論には関係のない下記の下りである。

★抜粋開始
もう一つ、私がいつも気になっていることがあります。世の中の批評家やジャーナリストの方々は、実業に携わっている我々と異なり、書くことが仕事であり、マスコミや出版社に取り上げてもらわなければなりませんから、どうしても一般の読者が面白がるような筋書きに持っていこうとする傾向があるようです。「日本はかくあるべき」等といった大上段に振りかぶった議論をするには、相当の力と時間を要しますが、世の中の物事を動かしている「裏の事情」や「陰謀説」に類する話なら、或る程度の取材だけでも書けるし、読者の安直な興味を引くので、出版社にも取り上げて貰いやすいからでしょう。

しかし、私のような「本当のインサーダー」から見ると、こういう記事の浅薄さには「やれやれ、またか」という思いが募るばかりです。また、この方々が考える企業のリーダーというものも、どちらかと言えばステレオタイプになりがちです。

企業家は、勿論、企業の存続と発展の為に毎日仕事をしているのですが、その前に、やはり一人の人間なのです。「功利主義」は事業の存続の為には必要となりますが、事業を推進しようとする情熱の原動力にはなり得ません。サラリーマン経営者の場合は話が別ですが、創業者型の経営者の場合は、その事業に対する情熱は、しばしば「主義主張」、「人生観」や「国家(社会)観」、或いは、もっと単純な「正義感」や「自己顕示欲」等から生まれていることが多いのです。
★抜粋終了

これは孫正義社長についてのくだりであるが、まさにこれは僕もいつも感じることである。

ニュージーランドは情報が不足しているのでインターネットや雑誌で調べるのが普通であるが、そこに散らばっている情報を見ると、まさに話を面白おかしくする為に目先の情報源不明なネタを使って嘘を書いたりしているって事がよくある。

旅行会社が発行しているガイドブックにはずいぶん調子の良い事を書いているが、おいおい君、これは今月号と書いているけど、取材は3年前の記事をそのまま使っているよね?と、もろばれなケースがよくある。

とくにレストラン紹介などは、すでにオーナーが変わって経営方針もメニューも変わっているのに、あいも変わらず昔のデータをそのまま掲載したりとかだ。

これがレストラン情報程度であればまだ良いのだが、情報誌によっては移住に関する情報で平気で嘘を掲載する。てか取材発行された3年前は正しくても現在はすでにルールが変わっているので結果的に虚偽掲載となっている。

ところが読者はそんな事知らないから、今月発行された雑誌であれば最新情報であろうと思い込んで自分なりの移住計画を立てようとする。

おいいおおい、そっちは崖ですよ、まさしく大声で言いたくなるのだが、どこで読者が読んでいるのか分からないのでどうしようもない、間違った情報のままニュージーランドにやって来て「あれ?」となっても、もう遅いのだ。

不動産情報にしても、「ええ?あの人がこんな事、今でも言ってるの?それ、やばいっしょ」的な情報を見かける。まさに、“オマエが言うか!”だ。

ニュージーランドの不動産業者は基本的に「売ってなんぼ」である。だからどんな問題物件でも平気で売る。てか問題物件かどうかさえ考えてもいない。

壁の水漏れ、ひび割れ、屋根からの水漏れ、シャワーの水圧、部屋の中の傷や壊れたままのドア、そんなもん知った事か、サインさせればこっちの勝ちとばかりに言いたい放題アリもしない事をいう。

何でこんな事がまかり通るのかと言うと、不動産業者というのは例えば移住したばかりで“他に仕事がない人々”やオークランドに出てきたキーウィが自分の納得いく仕事が見つかるまでの腰掛で、業界外から歩合給目当てに集まってきてある程度稼いだらすぐに辞めて全然違う業界にいく、つまり同じ街で何十年もやっている地域の名士という立場がない、単なる渡り鳥的な業界だからだ。

実際に当社へは駆け込み寺的にやってくる人が多い。「あの、不動産を地元業者に買わされたんですけど、買ってすぐにアパート全体が水漏れで全面造り替えが必要、その費用はオーナーが全額負担って言われてるんですけど、どうすればいいでしょう?」

どうしようもない、相手を信用して買ってしまったら、サインをしてしまえばもう終わりだ。払った金を諦めてアパートを放棄するか、建て直しのお金全額を負担するかである。

売ってしまった当の不動産屋は見事なまでに「知らぬ存ぜぬ、おれの責任ではないよ、サインしたのはアンタでしょ」である。

こんな、移住情報や不動産情報を掲載する人は自分の商売さえ成立すれば良いのだろうが、ぼくらのように現地でこれから何十年もお付き合いをしていく立場からしたら、そんな「やりっぱなし」など出来るわけがない。

実際に駆け込み寺として来られてからお付き合いしているお客様でも10年近くになるのだ。何せしょっちゅう顔を見かけて話をしたりメールしたりするのだ。ビザ情報が古かったです、不動産情報が間違ってました、で済むわけがない。

ぼくはブログの松本さんの書く、まさに「インサイダー」である。それもニュージーランドに関する情報がどっぷりと集まるど真ん中にいる立場にいる。

だから内容の薄い書き込みを見てもすぐに「あ、これはあそこのネタだな」とか「ここの事を書いてるな」って見当がつく。

なので数年前までは誰かの書き込みで間違いがあれば指摘したりとかしてたのだが、そうすると今度は「オマエはインサイダーだ業者だ、自分の都合のいいことだけ書くようなオマエに書き込みをする権利はない」みたいな話になって、全く無責任な立場で思いつきだけで書いてる立場の人に掲示板が立って話が勝手に進んでいく。

全くもう、ああ、もういいや、そう思うようになって今では直接僕に影響がない限り、間違った情報や面白おかしく書かれている記事やコンテンツを見ても何も言わないようにしている。

ぼくはニュージーランドに5万人の日本人社会を作ってヴァーチャルな形で共同体が出来上がれば良いと本気で思っている。現在日本でいろんな問題を抱えている人も、人はどこでも自由に住むことが出来ると言う事実に気付いてくれればそれで良いと思っている。

「オマエはインサイダーであり顧客誘導しているだけだろうが」と本気で思っている人がいるとすれば、じゃあ逆に聞きたい。「ぼくはそのような人とオークランドと言う狭い街でこれからも何十年も一緒に生活をするんですよ、そんな事出来ると思いますか?」

ぼくが皆さんにご案内するのは、正確で最新の情報を提供する事である。いずれにしてもインサイダー、まさに今の自分だなってつくづく思った。



tom_eastwind at 14:10│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 移住相談

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔