2010年08月26日

原発記事特集

0f67103c.jpg「福島第1原発で作業員が被ばく」
多くの住民の反対を押し切ってプルサーマル計画が強引に推し進められている福島第1原発3号機(福島県大熊町)で、下請け会社から派遣されていた60代の男性作業員が、23日、放射性物質を吸い込み被ばくしていたことが分かった。

男性作業員は、23日の午前9時45分から午後8時までの間、原子炉建屋で排水弁の分解点検を行なっていたが、作業後の放射能測定で被ばくの疑いが見つかり、再検査によって被ばくしていたことが判明した。東京電力では「人体や環境には影響がない」というお決まりのコメントを発表したが、先月の7月30日にも核燃料再処理工場(青森県六ヶ所村)で30代の男性作業員が漏れた高レベル放射性廃液によって被ばく事故を起こしたばかりである。

東京電力は、この福島第1原発の他、福島第2原発、柏崎刈羽原発(新潟県)の3カ所の原発で、80年から90年代までに起こった「ひび割れ」などのトラブルを29件も隠蔽していた前科があり、2002年にこれらの隠蔽が発覚したあとも、原子炉の部品に損傷があるまま運転を続けていた。

このように30年近くも隠蔽と嘘を繰り返してきた組織が「プルサーマルありき」で進めている点検作業中に起こった被ばく事故である以上、東京電力側の発表を信用する住民はいないだろう。(2010年8月25日)世田谷通信

上記はきっこの日記から転載。世田谷通信と言う名前で書かれた記事なので信憑性を確認する為に朝日新聞をチェックしてみた。

すると朝日新聞では下記のように取り上げている。

東京電力は24日、定期検査で停止中の福島第1原発(福島県大熊町など)3号機で、23日に協力企業の60代の男性作業員が放射性物質の微粒子を吸い込む内部被ばく事故があったと発表した。
 東電によると、放射性物質はコバルト60とマンガン54だが、身体が受ける放射線量は今後50年間で約0.004ミリシーベルトと、医療用エックス線検査に比べても小さく、健康に影響はないという。 
[時事通信社]
★記事終了

そういえば原発事故で「作業員が被曝」と言う記事はよく読むが、彼らは東電などの社員ではなく地元の雇用対策で社員として採用されているのかと思ってた自分に気付く。

そこでもうちょっと調べてみた。

by2007.6.1のJANJAN記事
http://www.news.janjan.jp/living/0706/0705310440/1.php

差別の上に成り立ってきた原発労働の世界では、人権が完全に無視されていることを労働形態が如実に示している。原発→元請け(財閥系)→下請け→孫請け→ひ孫請け→親方→日雇い労働者(農漁民、被差別部落民、元炭鉱マン、大都市寄せ場、都市労働者)。この重構造が複雑に絡み合い賃金のピンハネがあり、二重の差別構造を形成している。つまり社会的弱者を徹底的に使役するというのが原発なのだ。

体をこわしても労災認定はおろか証拠のもみ消しにやっ気となる。この象徴的存在が、故・嶋橋伸之さん(享年29)のケースである。彼は下請け会社で浜岡原発内で働き、慢性骨髄性白血病で死亡した。94年、両親の訴えで労災認定を勝ち取ったが、その裁判過程で驚くべきことが判明した。彼が死亡した翌日に「放射線管理手帳」に記されていた被曝線量が全面的に書き替えられていたのである。〜

次いで同じ記事提供者、つまり同じ取材源から取材したと思われるスペインの新聞社のかなり昔の記事。

★ 日本の原発奴隷 2003年6月8日 エル・ムンド(スペインの新聞社)
日本の企業は、原子力発電所の清掃のために生活困窮者を募っている。 多くが癌で亡くなっている。クロニカ〔本紙〕は、このとんでもないスキャンダルの主人公達から話を聞いた。DAVID JIMENEZ 東京特派員
福島第一原発には、常に、もう失うものを何も持たない者達のための仕事がある。松下さんが、東京公園で、住居としていた4つのダンボールの間で眠っていた時、二人の男が彼に近づき、その仕事の話を持ちかけた。

特別な能力は何も必要なく、前回の工場労働者の仕事の倍額が支払われ、48時間で戻って来られる。2日後、この破産した元重役と、他10名のホームレスは、首都から北へ200kmに位置する発電所に運ばれ、清掃人として登録された。

 「何の清掃人だ?」誰かが尋ねた。監督が、特別な服を配り、円筒状の巨大な鉄の部屋に彼らを連れて行った。30度から50度の間で変化する内部の温度と、湿気のせいで、労働者達は、3分ごとに外へ息をしに出なければならなかった。放射線測定器は最大値をはるかに超えていたため、故障しているに違いないと彼らは考えた。

一人、また一人と、男達は顔を覆っていたマスクを外した。「めがねのガラスが曇って、視界が悪かったんだ。時間内に仕事を終えないと、支払いはされないことになっていた」。53歳の松下さんは回想する。「仲間の一人が近づいてきて言ったんだ。俺達は原子炉の中にいるって」。

日本は、第二次世界大戦後の廃墟の中から、世界で最も発達した先進技術社会へと移るにあたって、20世紀で最も目覚しい変革をとげた。その変化は、かなりの電力需要をもたらし、日本の国を、世界有数の原子力エネルギー依存国に変えた。

 常に7万人以上が、全国9電力の発電所と52の原子炉で働いている。発電所は、技術職には自社の従業員を雇用しているが、従業員の90%以上が、社会で最も恵まれない層に属する、一時雇用の、知識を持たない労働者である。下請け労働者は、最も危険な仕事のために別に分けられる。原子炉の清掃から、漏出が起きた時の汚染の除去、つまり、技術者が決して近づかない、そこでの修理の仕事まで。

“原発ジプシー”
 原発で働くことを受け入れた労働者たちは、原発ジプシーとして知られるようになる。その名は、原発から原発へと、病気になるまで、さらにひどい場合、見捨てられて死ぬまで、仕事を求めて回る放浪生活を指している。「貧困者の契約は、政府の黙認があるからこそ可能になります」。人権に関する海外の賞の受賞者である樋口健二氏は嘆く。

政府と企業は、誰も原発で働くことを義務付けてはおらず、また、どの雇用者も好きな時に立ち去ることができる、と確認することで、自己弁護をする。日本の労働省の広報官は、ついに次のように言った。「人々を放射線にさらす仕事があるが、電力供給を維持するには必要な仕事である」。

 ホームレスは、間違いなく、そのような仕事に就く覚悟ができている。原子炉の掃除や、放射能漏れが起こった地域の汚染除去の仕事をすれば、一日で、建築作業の日当の倍が支払われる。いずれにせよ、建築作業には、彼らの働き口はめったにない。大部分が、新しい職のおかげで、社会に復帰し、さらには家族のもとに帰ることを夢見る。〜
★抜粋終了

この記事にもあるように日本の電力を支えてきたのが原子力発電であり、そしてこれから日本が国家主導で外国政府に売っていこうとする目玉商品でもある。あまりもめてもらったら困るのが本音であろう。

国家がエネルギー政策を決定する際に必要なのはすべて費用対効果であり、原発が風力よりも安ければ当然原発となる。「しかし長期的に見て例えば浜岡原発がメルトダウンを起こして東京に死の灰が降ったら、その時の費用はどう考えても電気代とは比較出来ないだろう、だから人命一番費用は二番、原発反対」と言う意見は、ぼくは「そりゃそうだ」とは単純にうなづけない。

何故ならある種の国家にとっては国家の存亡の方が国民よりも大事だと考えるからだし、それはそれで筋は通っているからだ。非常に単純に言えば、今ここで3人を助ける為に1人を殺すことは許されるか、である。そしてある時代やある場所では実際に多数の人々を助ける為に少数の人を殺す判断をした国家もある。

例えば戦時下の英国でドイツの暗号解析装置エニグマを握ったチャーチルは、その情報によってある小さな街が爆撃されることを知った。けれどもしその街の人々を避難させると、英国側がエニグマを持っていることがドイツ側にばれる。

結局その街は爆撃を受けて多くの民間人がなくなった。けれど英国は結局ドイツを破って勝利した。

東京に死の灰が降っても死ぬのは人間だけであり建物や設備に影響は出ないのだから、死の灰が流された後に政府が地方の国民に「今日から住める家具つきのアパート、すぐ働ける仕事、便利な地下鉄、すべて揃った東京に移住しませんか」と東京移住計画をぶち上げれば良いのだ。

東京総入れ替えである。大丈夫、日本には1億2千万人もいるのだ、1千万人くらいいなくなっても大丈夫さ。それよりも日本の高い技術を守って将来の日本国家を発展させるほうが大事であるという考え方があっても不思議ではない。

原発記事については随分隠されていることがあると思うし国民も薄々とは感じていると思う。けれどそれでも原発を選ぶ政府を支持しているのが国民なのだから、それはそれで冗談ではなくスジが通っていると思う。

ちなみにニュージーランドの電力の約6割は水力発電で、3割くらいが地元で取れる石炭発電、残りが風力や地熱発電であり、エネルギーはすべてこの国の自然から回収したクリーンエネルギーだ。これからもニュージーランドが国策として原子力を受け入れることは、よほど環境の変化がない限り、あり得ないと思う。


tom_eastwind at 15:21│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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