2010年09月14日

小ネタ 新横浜駅にて

これまた仕事とは全然関係ないし菅さんが首相を続投するニュースの方が世間的には圧倒的に大きいが、ぼくの個人的生活の中では日本で触れるもの見るものの方が記憶に鮮明になったりする。


駅の切符売り場

初老の男性が切符売り場に立つ。
「いらっしゃいませ」とカウンターの若い女性が声をかける。
「あのさ〜、えっとさ〜、あれだよ、あれ、あのさ」
「・・はい・・・どちらまでご希望でしょうか?」不安な彼女の声。
「いやさ、どちらってんじゃなくてさ、あれだよ、あのさ、名古屋までだよ」
「・・・・はい、本日のご乗車ですか?お一人様でよろしいでしょうか?」
「いやさ、見りゃ分かるだろ、おれ一人だよ、えっへへへ」意味不明な照れ笑い。
「お煙草は吸われますか〜?」
「何〜?たばこ〜?そんなもん、吸うわけないだろうが!」
それから突如思いついたように大声で
「それでさ、あれだよ、あの、グリーンだよ!」

ぼくはお一人様なので自動販売機で買えばよいのだが、日本の自動販売機はぼくの持っているNZ発行のクレジットカードを受け付けてくれない。なので仕方なく窓口に並ぶのだが、こういう人たちを最近良く見かける。

もともと自動販売機の使い方がよく分からない人もいるのだろうが、それよりもむしろ会話を楽しんでいるのではないかって雰囲気の人。

普段は一人暮らしなのか分からないが、切符売り場はキャバレーではない。買うのならさっさと要領よく買って順番待ちをしている行列に気を使ってもらいたいものだが。

「あ、そいでさあ、おれは明日、またここに戻ってくるわけよ、だからなんだ、あのさ、ほら、あれ」
「・・・・・往復切符で御座いますね・・・お帰りは何時頃の新幹線にされますか?」

「なに?帰り?、あ、そうか、帰りね〜、うーん、どうしようかな〜、おれさ、明日はまだあんまり予定が決まってないんだけどよ、ほら、あれだよね、暗くなる前には家に帰りたいでしょ、だからさ、あの、これか、この、20時新横浜着ってやつかな〜」
「あの〜、20時は夜の8時で御座いますが・・・・」
「え、あ、そうなん、なんだ、早く言ってよ、おれさ、そんな難しい書き方されてもわかんないじゃんかよ、ねえ」
「はあ・・・」
「じゃあさあ、えっと、何時にすっかな、えっと、この15:00到着ってのは午後3時だよな」
(わかってるじゃん・・・)
「はい、そうでございます」

行列は3名程度でぼくは一番後ろについたのだが、窓口が二つある中で右側を占領しているMrSilverは全然進まず、結局ぼくの前にいた3名は全部左側の窓口で片付いた。

窓口は両方とも若い女性だったのだが、ぼくも結局左側の窓口へ行く事になり「名古屋まで乗車券込みで一枚お願いします、空いていれば通路側をお願いします」と言って係りの若い女性にクレジットカードを渡しながら、彼女の視線がこっちを見た時にわざとちらっと右を見て、「大変ですね」と言うと、彼女も苦笑しながら「最近多いです」と言葉少なに笑ってた。

「あ、あのさ、おれさ、これがあるんだよ、これ」と言ってカバンの中からごそごそと取り出したのがたぶん高齢者用の割引証みたいなのだろう、パスポートサイズの赤い手帳を見せてた。

世間では民主党選挙と尖閣問題で大騒ぎだが、ぼくは個人的にこのネタの方がずっと面白かった。

日本が老齢化する中で寂しい人が増えているのかもしれない。これからの成長産業として「お話喫茶店」でもやったら儲かるのではないかな、なんてふと思った新横浜だった。


tom_eastwind at 22:04│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔