2010年10月23日

張り込み姫 君たちに明日はない3

垣根涼介作品。すでにテレビ化されたが、君たちに明日はないシリーズは、どちらかと言うと今の20代から30代の人々に対する、先輩からの明るいメッセージと言う感じかな。

今の社会のシステムに組み込まれて自分個人ではどうしようもなくて、けど何か違う、そう感じてる人々に向けてのメッセージだ。

会社に残るのも一つの生き方、辞めるのも一つの生き方、けれどその結論を出す時に必要な能力は君が高学歴であるかとかじゃなくて、明日があるかどうか分からない人生だけどそれでもきちんと自分の人生を考えて自分が何をしたいのか、何で自分は生きているのか、そういう事を徹底的に考え抜く感情と思考回路である。

この場合の思考回路は他の本では地頭(じあたま)とも書かれているが、正しい答が予め設定されている試験や大学の成績とかじゃなくて基本的に答えのないものを自分で考えてみる能力とか、目の前で起こっている現象を世の中のほかの現象と比較して果たしてこれは正しいのだろうかと疑問を持ち、目の前の現象を考え抜いて必要な情報を多方面から収集して自分なりに答を出す能力だ。

今作は前二作と比べて少し大人っぽくなった感じのろくでなし真介であるが、それでも時折見せるバカ面はあいも変わらずだ。

これもボーダーと同じでメッセージ性の強い作品ではあるが、ワイルドソウルやヒートアイランド系のぐさっ、さあどうする!と来るような強さはなく、学校で教えている事は世の中の事実の半分であり残りの半分は自分の手で掴むしかないよ、今なら間に合うよって、やさしく教えている。

ヘビーな垣根ファンにはちょっと息抜きに良いし、彼を知らなかった人が本を読む入り口として読むには丁度良い軽さの作品。

★この本は三連休の間に読んだ2冊目の本です。


張り込み姫 君たちに明日はない 3張り込み姫 君たちに明日はない 3
著者:垣根 涼介
新潮社(2010-01-15)
販売元:Amazon.co.jp
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tom_eastwind at 09:32│Comments(0)TrackBack(1) 諸行無常のビジネス日誌 | 最近読んだ本 

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