2010年11月06日

ちがうっちゅうに、第一

「実は凄い日本の底力」

週刊現代11月13日号の数ページの特集記事。何書いているんだろうってぱらぱらってめくると、世界の最先端技術をたくさん持ってるとか人当たりが良いとか他人に優しいとか。

最後まで読まされて一番頭に来る記事は、なんか最初に「すごいぞー」と書いて引っ張っておいて難しい資料とかを並べて次に哲学的な表現をたくさん使って、そして最後の結論になると誰でも普通に知っているようなことを特別な記事のように書いてる場合だ。

例えば、「すごいぞー」とやって宇宙の生い立ちから銀河系の中の太陽の役割とかスイキンチカモクドテンカイメイを並べておいて、米ソによる宇宙調査競争のデータを並べ、次に宮沢賢治とかサンテグジュペリを持ってきて、次には古代文明と宇宙の関連を文化的に比較して、人類が宇宙に対して描いただろう意識の時代別変化を読者に読ませる。そして結論は!なんと地球は素晴らしい星で月に移住することで住む場所が増えますね〜みたいな落ち。

底力記事もまさにそうで、日本人が現場では世界一の能力を持っているけど上に行けば行くほどバカになり、一番てっぺんにいるのが一番オオバカなもんだから日本は外国に対して弱いけど、でも現場は強いんだ〜、だから安心しろ〜だって。

そんなの知ってる、大東亜戦争の時から分かってる。問題は兵隊は優秀でも将軍がバカで使いこなせないこと。それをわざわざ記事にするか?

そんなもん、日露戦争でも優秀な将軍の下で戦う兵隊は敵兵が驚くほどに異常な強さを示し、無能力な将軍の下で働く兵隊は何とか上をごまかしながら現場力で生き残り、無能なくせに有能と思い込んでる将軍の下で戦う兵隊は真っ先に死を決意した。

そして日本は戦争で負けて、米国の支配下、つまり下請けに入った。実質的に米国従属の下で行われている現状を見て米国人と日本人の生活の豊かさの違いを見れば分かる(ただしこれは支配層米国人のこと)。

日本の本当の凄さは、戦争で負けて政府は米国支配を受け入れ、経済的には完璧に米国の下請工場であり、同時に米国産牛肉や小麦など食料の消費地となり、外交的にはロシア向けには北方領土、中国向けには尖閣問題を声高に主張することで彼らが日本に友好的にならないように仕向けるような外交的重圧の下で、日本政府に邪魔されながらも、それでも民間の力で次々と新しい技術を開発してきた事だ。

つまり日本人は政府がよけいな事さえしなければ勝手に技術を開発するのだ。よけいなのは政府の存在なのだ。

どうせ下請けになるなら日本政府からの3次下請けとかではなく元請けの方が条件良いに決まってる。だったら日本は最初から中央政府を持たずに各地域が緩やかな独立組織として地域に合った活動をすれば自然と世界の企業から直接仕事が来る。

今のように途中に中央政府が入ってどうのこうのと民間に制限を加えるから折角の技術も海外で売れなくて困ってるのが現状である。

そうなると中央政府が言うのが「じゃあ軍事や外交はどうするのだ?」であるが、元々軍事は外交の一手段であり別に分けて語ることは出来ない。そして現在すでに中央政府は米国従属を選択している、国民の直接同意なしに。

だったら外交だって各地域で自分の好きな国を選べば良い。日本にとって相性の良い国は中国であり、彼らと分業して高級な仕事を日本で受注すれば今の日本人の何でも安売り生活よりも随分と楽になる。

いずれにしても問題は、今のままにバカな中央政府に従っていては国家自体の力が衰えるという事であり、これこそが国益の問題である。

だからこそ日本の底力云々よりも今考えるべきことは、いかに日本政府からの干渉を逃れるか、である。


tom_eastwind at 02:35│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔