2010年11月26日

学歴

309f6bfc.jpg大卒と言う学歴は、大学に「入学」した事で取れる資格試験である。これは子供の頃から競争社会に順応してますよ、だから御社でも役に立ちますよって意味の「証明」でもある。

いきなりこう書くとびっくりするかもしれないが、もし卒業時点の資格、修士とか博士の肩書きで就職活動を行うのであれば、何故卒業前に内定と言う制度があるのか?何故入学して勉強中の学生の青田刈りをするのか?

これは要するに大学に入学できた事ですでに「当社に入社出来る資格がある」と看做された証拠なのだ。だから大学でどれだけの事を学んでどれだけ素晴らしい論文を書いたかなんて殆ど意味もない。ありゃ卒業する為の最後の「社会への忠誠心の表明」である。

ところがNZでは高等教育(大学)は本当の意味で学歴である。どこの大学かも大事だが学部がもっと大事でありBAとかBBLとか、どのような専門高等教育を受けて資格を取ったのかを聞いてくる。この「専門領域」と雇用者が希望する「職務内容」が一致した場合に採用となる。

彼らと話をするとびっくりされるのが、日本では東大法学部を卒業して外務省で働いたりするというと、それは国際法をクリアーする為の専門職かと聞かれる。

「違う。彼らはキャリアと呼ばれる総合職であり将来的に外務省の高い地位の管理職になる予定で採用されている」

そう言うとみな一様に「きょとん??」とした顔をする。なんじゃそりゃ?東大は置いておくとしても、法学部は法律に興味があって弁護士や裁判官や検察を希望しているからでしょ、少なくとも企業弁護士として働くのが当然ではないの?

いや違う。日本の大学は資格試験であり、どこの大学のどこの学部に入ったかが大事であり、入学後に専門領域を勉強したかどうかは重視されない。そりゃそうだ、だって卒業、入社してからやる仕事は大学の専門領域とは全く関係のない部署だからね。

だったら何で大学で4年間も過ごすのか?資格試験なら18歳で資格を取ってから会社の入社試験を受ければ良いではないか??

真面目な答=それが日本の決まりだ。決まってるんです。

ふざけた答=いやいや、青春は二度と帰ってこないし、一旦日本の会社に入れば休暇も休日もなく残業だらけだ、それを知ってる若者は入社する前の4年間の長期休暇を先取しているんだ。

いつの間にか本来の意味の学歴と日本における学歴の定義がずれているので、これが諸外国の皆さんに理解出来ない。当然であろう、諸外国には60歳定年まで永久就職とか年功序列なんて制度がないので、一人の人間が一生同じ会社で働くという意味が分からない。

さらに、大学は入学する事が大事であり、卒業は簡単なのだから、入学して次にやるべきことは大企業の内定を早く貰う事だ、内定さえ取れれば後は勉強しなくても良いのだなんていうと、ますます???????である。

さて、ここからが仕事の話になる・

ぼくらはお客様が移住可能かどうかの無料診断をする際に必ず学校名だけでなく具体的に何の勉強をしたのか、すべて列記してもらう。そしてどの学歴のどの部分が現在の職歴と関連があるかを見つけるのだ。

お客様からすれば都内の一流大学の工学部のIT関連の学科を卒業した後に金融機関に就職、配置されたのは地方のxx支店の営業なんてのは普通の話。ところがこれを移民局に持っていくと「お前はふざけているのか、それとも彼は何か問題があるのか?いずれにしても職歴と学歴が関連してないので技能移民の学歴ポイントにはならない」となる。

ここで永住権の技能移民のポイント制度を書くと長くなるので当社のサイトを見てもらえば良いが、要するにニュージーランドの常識では工学部のIT関連の学科であれば彼が就職する先はどこの企業でも良いがIT関連の職場であるはずだとなる。

僕らはその度に日本のような終身雇用制度を弁護士を通じて説明する(何故ならぼくらは移住コンサルタントではないので直接説明する事も手続きをする事も出来ない)のだが、これがほんっと大変。

まずは難関である肝心の弁護士に日本の雇用制度や社会構造を、A3くらいの大きな紙に図を描きながら説明していくのだが、彼らは日本の社会が何故そうなるのか理解出来ない。

けれど現実にそうなのだからどうしようもない。ひたすらに説明をして理解させる。どうしても分からない時には「よし。現実にそんな世界があると思うな。空想しろ、そういう世界があるとひたすらに空想しろ。まるでSF小説の1984年のように」と言う。そうやって彼ら弁護士が移民局に文章で説明出来るように「振り付け」を仕込むのだ。

いずれにしても日本では会社に入社するという仕組みではなく、日本株式会社の本社=役所か、どこの部門=大手企業に配置されるかと言うことなので、そして一旦入社すれば60歳まで仕事が保証されているので自然と誰もが技術を必要とする専門職ではなくマネージメントの出来る一般職として仕事をするようになるわけだが、この事実がまずニュージーランドの移民局のスタッフには理解出来ない。

だからその部分は出来るだけ触れないようにする。説明し始めると、西洋社会の南洋の小島で農業を営んでいる人々には理解出来ない世界を、丸々一個、その生い立ちから始まって説明する必要があるし、そうなればそれだけで歴史の授業になってしまう。

ぼくの目的はキーウィ向けの日本史の教育ではないので、あくまでもお客様の学歴と職歴をいかに関連付けることが出来るかを考える。

皆さんも自分の学歴を振り返ってみてください。自分の学歴と職歴がどれだけ関連性があるのか?移民局が判断する際に大事なのは、ウェブサイト上では学歴と簡単に書いていますが、実は何を学んだかが一番重視されます。逆に言えば、一般職として働いていれば、その中のどこかには多分学生時代に専攻した内容とかぶるものがあるはず。ここを強調する事が大事です。


tom_eastwind at 13:46│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 移住相談

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