2010年11月27日

職歴

da00cde3.jpg日本と言う国では大手企業の場合は会社勤めの初日から社長を目指すような業務体系を取る。

例えば最初は現場で修行を積んで、それから少し営業をして、ちょっと経理の部署にも行って、地方だけど総務課長とかやって人事を勉強して、本社に戻ってから違う分野の仕事をしてとか。

要するに会社全体を理解させて社長と言う一個しかない椅子目指して昇進するような仕組みである。もちろん中小企業とかだとそんな事はなく、いわゆる職人肌と言うやつで一つの仕事をずっと続ける事になるが、世間では大企業で昇進をする人の方が偉く思われている。

「あたしはそんなことありませんよ、どんな人でも立派な仕事を~」なんてのたくってる人もいるが、殆どの場合それは飾り付けであり、本心からそう言える人は少ない。

けれどニュージーランドではこれが結構本心である。農場でバイクで羊を追っかけてる若者もオークランドのシティのど真ん中で金融やってる若者も、社会的地位にはあまり違いがない。

もちろん金融やってる若者の方が年収7万ドルくらいで素敵なスーツを着ているのに対して農家の若者は年収4万ドルくらいでいつも藁だらけのセーターとジーンズに泥に汚れたブーツ姿であるが、それでも日本で感じるような「格差」はない。

社長の椅子は一個しかないんだしそんなもん目指して家庭を不幸にするくらいなら会社勤めは仕事と割り切ってれば良いのだが、そんな姿を社内で見せると昇進出来ないので、やっぱりそこそこに頑張るしかない。

でもって周囲の無責任暇人どもは「ま~、xxさんちのご主人は、ほんとに素晴らしいですわね~、xx会社にお勤めで~」となる。そういうばかどもの無責任発言が結果的に競争社会を作ってしまうのだが、やってる本人は無意識に何も考えずに発言しているだけだからより性質が悪い。

ここで書く職歴には二つの意味がある。それは永住権取得の際の「職歴」と現地就職の際の「職歴」だ。

就職の場合にニュージーランドで職歴と言うとかなり具体的である。金融であればどこのファイナンス会社かどこの銀行か、部署はどこで何を担当していたのかとなる。

いわゆる専門性と即戦力となる能力を図る意味で職歴を問われる事になるのだが、日本社会で言われる「優秀な人々」の職歴はキーウィにとっては「無茶苦茶」である。何が専門なのかが理解出来ないからだ。

「で、あなたは結局何が出来るのですか?」
日本の大手企業で働いた人の殆どがこの質問にどう答えて良いか分からないだろう。何故なら彼らは会社の昇進の為に様々な部署を渡り歩いて勉強しているが、逆に言うと専門性がないし即戦力にならないからだ。

大手企業の社内向け稟議書では立派な事を書けるだろうが、じゃあそれはその企業を離れた場合に役立つのか_?、、ならない。トイレットペーパーにさえ、ならない。

ところが日本社会では企業の名前だけで世間の皆様が「ははー!」と頭を下げてくれるから、それが職歴と思ってしまう。

説明会で職歴についていつも強調するのはこの点である。日本でずっと生活をするのであれば「ははー!」な職歴で良いのだが、ニュージーランドでは誰も「ははー!」をしてくれない。どんな立派な企業名を出しても「で、それであなたは何が出来るの?」と聞かれるだけである。

移住するつもりで移民局に書類出して、自分はxx会社のxx課長補佐で、とか言われても、「で?」で終わり。もちろん職歴としてはちゃんと点数計算をされる。ただそれは10年くらい毎年きちんと給料を貰ってたと言う意味の職歴であり、パン焼き職人でもxx銀行の課長補佐でも同じ10年なのである。

でもって実際に役立つ技術と言えば、パン焼き職人の方がずっと優秀である。大手銀行で社内向けの稟議書書いたり中小企業に威張り散らすようなのは、ニュージーランドでは技術とは言わないしましてや専門性はゼロである。威張るだけならサルでも出来る。

金融と言うならばネイティブ並みの英語を基本にして国際協調融資などのプロジェクトファイナンスをやってたとか債権とか為替のトレーダーをやってたとか、そういうのを専門性という。

だもんで説明会で職歴を話すときには、「一応永住権申請の際には職歴はポイントになりますが、実際の現場では専門性を重視されます。なのでもし稟議書書くのが本職の方でしたら、今からでも遅くないので東京寿司アカデミーで短期集中型の寿司職人コースを学んでください」と言ってる。

こんな事言うもんだから東京丸の内あたりで金融関連の仕事をしてて綺麗なネクタイしている課長補佐あたりからは嫌われるのだが、ぼくの仕事は事実を伝える事であり「ははー!」はぼくの仕事ではないのだ。

皆さんに1万円払って参加していただく説明会は、最新で正確な情報を提供する事であり、「ははー!」して欲しければ六本木あたりのお店に早い時間に行って60分坐ってればよいのだ。

話はそれたが、永住権を取得する為の職歴は、実はあまり難しく考える必要がない。

永住権を取得する為に必要なのは学歴、職歴、ジョブオファー、そしてそれらとの関連性であるが、これはまた次に書くとして職歴の部分と言うのはどこの企業で働いたかではなく、何年きちんと誰かから給料を貰って仕事をしたかという意味である。

10年も仕事をしていれば、そりゃあきちんと社会に根付いてる善き市民と判断される基準の一つになる。失業10年!なんてのはやっぱり駄目だよな、その反対の意味での職歴であり、内容にはあまり大きな意味はないと思ったほうが良い。

ここまで書くと書きすぎかなとも思うし職歴の定義を誤解される可能性もある。しかし一般的な書き方をしたら更に誤解、それも自分に良いように解釈して、後になって「あいつの言ってること、違うじゃん」とならないようにちょっときつめに書いているのでそのあたりはご理解を。

ぼくらは永住権申請の際の無料診断というのをやっている。ご本人の経歴をニュージーランド移民局の点数計算にあわせて場合に何点になるかという奴だ。

通常は140点以上あれば永住権申請が可能であるが、100点以上でも申請は受け付けてくれる(プールと呼ぶ)。なんじゃこの書き方?と言う感じであるが、分かりやすく言えば140点以上あれば合格、100点以下なら補欠で、合格者が予定数に達しなかった時に不足分だけ補欠から選抜されるという意味である。

でもって、4年生大学を卒業して8年くらい給料を貰ってて(派遣とか正社員とかの違いはない。あんな差別をしているのは日本の習慣でしかない)、健康であり犯罪歴がなければ大体の場合100点くらいまではいける。

学歴については移民局がどう判断するかはケースバイケースだが、職歴の場合はきちんと給料さえ貰ってれば問題なく点数に加算される。

つい数ヶ月前までは失業率の高まりを受けて技能移民枠の永住権申請は取りにくかったが、なんだかここ2ヶ月くらいは”緩んできたかな?”と言う感じがする。これは景気が戻ってきて失業率も下がり、経済に勢いをつけようとする政府の施策なのかなと思ったりもする。移民局の連中は口が固いから余計な事は一切言わないけど、技能移民の道も最近再開されたか、なんて感じを受ける。

まあいずれにしても職歴は普通に日本人やってて普通に給料を貰ってれば「永住権申請の場合は」問題ないが、実際の就職では全く違った見方をされるという事をよく理解しておいて欲しい。


tom_eastwind at 12:28│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 移住相談

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