2010年12月04日

ウエストフィールド指数

b81a65be.jpgハリーポッターの最新作が来るというのでAlbany(アルバニー)のWestfieldShoppingCentre(ウエストフィールドショッピングセンター)に向う。

こういう複合エンターテイメント施設は英国人の得意とするところなのだろう、オークランドでは各地域に一箇所づつある。

英国人がこういうのが得意と言う意味は、彼らは自分の土地を使って横にどんどん広げて合法的に大きな施設を作りそこで人々を遊ばせるという意味だが、要するに英国人としては一度開発したら後はカフェでお茶を飲んでるだけでお金がちゃりんちゃりんと落ちてくる仕組みがdaisukiなのだ。

彼らの手の上で踊る、つまりテナントとして入居して入店客相手にビジネス展開をするのがdaisukiなのが商売熱心な中国人や中東や南欧州の賑やかな連中であり、その店で一生懸命従業員として真面目に働くのが日本人と言う構図が出来上がっている。

りょうまくんを映画館に放り込んで近くのカフェでキーウィブレックファースト(KiwiBreakfast、パンとソーセージと卵とその他なんちゃら乗ってる典型的な英国式朝ごはん、けど終日朝食やってるのでいつでも注文できる)を頼む。

追加でオレンジジュースとブレックファーストティーを注文すると、ほっそり可愛らしいアジア系の女の子が少したどたどしい英語で「卵はどうされますか?」と聞いてきた。「SunnySideEggでお願いします」と言うと、小首をかしげて”何じゃそりゃ?”、そこで名札を見ると日本人の名前なので小声で「目玉焼きですよ」、するとそれまでちょっと緊張してた態度がほぐれたようで、うれしそうに「え、日本人の方ですか~」「けどここ、日本語使っちゃいけないって言われてるんですよ~」だって。

だったらオーナーさんも気を利かせて名札を「Y子」じゃなくてYevvonneとかSunnyにすればいいのに。折角日本語が出来るのに使わせないのは、スタッフが日本語で来店客とだべるのを防ぐのか、またはお店の労働条件の悪さを日本人社会に広めさせたくないからか。

それにしてもウエストフィールドの面白い点は、ほんとにその地域ごとに見事に客層が違うという事だ。

経済指標の中にはMAC指数ってのがあって、世界各地の値段を比較してその地域の経済力を図ってみたりするものだが、オークランドにおいてはウエストフィールド指数が適用出来ると思う。

ウエストフィールド指数には二つあり、一つは消費動向、もうひとつは人口構成である。


消費動向で言えば、北高南低である。つまり空港近くの地域では一人当たりの消費単価が15ドル程度なのに対してアルバニーあたりでは30ドル程度になる。つまりお金がある人は北に住み彼らの経済圏を作っている。これに東西を入れるともっとオークランドが分かりやすくなるが、東高西低である。

そして人口構成であるが、北に行けば行くほど白くなる。こんな事書くと人種差別!みたいな事を言われるかもしれないが、事実は事実である。

空港近くにはまず最初にインド人住居地があり、次の地域ではアイランダーと一部農村系中国人が住み着いている。どちらの地区も車から降りて楽しくお散歩はしたくない地域だ。

そこから更に北に行くと最近出来たシルヴィアパーク(SylviaPark)ショッピングセンターがある。ここは広大であるが粗雑でもあり、深南部(DeepSouth)から少し生活水準の上がったインド人と中国人が集まっている。アイランダーは目立つが深南部のような恐怖心を感じるほどではない、彼らと一緒に公衆トイレに入りさえしなければ。

ハーバーブリッジを超してタカプナ(Takapuna)あたりに来ると人々の雰囲気が随分変わる。上品な髪型が良く似合う白人のおばあちゃんたちが楽しそうに午後のお茶とおしゃべりを楽しんでいる。南のような不健全なぎらぎらさが全然ない。

しかしそれでもTapapunaは東だから良い。同じ緯度でも西のノースコート(Northcote)に行くと、アイランダーのガキと2ドルショップで働く若い中国人店員のおっかけっこがしょっちゅうである。万引き。遊び感覚でやってるし逮捕されてもすぐ釈放される。店としては死活問題だから相手を捕まえたら一発くらいぶん殴りたい気分だが、それをやれば店主が逮捕される国である。

この国では軽犯罪においては泥棒の人権が経営者の生活よりも優先されるのだ。最近はさすがにこりゃ駄目でしょって事で方向性が変わってきてはいるものに、それでもまだまだガキと泥棒に甘い国である。

この点においては何で英国型統治を導入しないのかなって思う。割れ窓理論を適用してガキのうちにしっかり社会的責任を教え込むというわけにはいかないのだろうか。

しかしそれも北西のグレンフィールド(Glenfield)ショッピングセンターがちょうど分かれ目になっているのかな、グレンフィールドに来るとガキの数は減る。ガキどもも、ここじゃやばいと思っているのだろう。

でもって北の一番賑やかなアルバニー(Albany)に来ると、今までの橋向こうの恐怖はナンだったのって思うくらい町が明るく上品になる。もちろんここでも週末は駐車場の取り合いで大変ではあるが、少なくとも南部のように「駐車場で車に乗ったら、まず最初にドアロックしろ」と教えているのとは随分な違いである。

昔のニューヨークにはJJタウンと言うのがあったそうだ。JapaneseとJewishは安全を大事にするので彼らは安全な街に住む。するとそこが安全だという評判が立ち、更に多くのJJが引っ越してくる。結果的にその街はJJタウンとなり治安の良い地域となる。

その正反対にあるのがハーレムだろう。昔から住んでいた住人が治安の悪さに出て行って、そこにガラの悪い奴らが移り住んできて更に治安が悪くなる。

日本はまだまだ単一民族である。在日、部落、アイヌ、沖縄など一応人種問題は抱えているものの、それは世界が抱えているものから比較すれば、まだまだ緩い。在日が差別されたからと言う理由だけで暴動が起こる事もない。

なのでどうしてもどこの街も均質化されているのだが、そこに住んでる人々からすればほんのちょっとした理由で耳くそみたいな差別を見つけて「ほら、おれたちの街だって差別があるんだ、まるでニューヨークみたいだ」と言うが、困るのはそれを本気で信じてしまい、日本の地方にある差別とオークランドにある地域別格差を同じと思ってしまい、「人が人を差別するって~、人道的に~、おかしいと思いま~す」なんて、全然当事者意識のない状態で発言する。

しかし実際は違う。人道的におかしいと思いま~すって言う連中、じゃあHunterCityあたりで生活をしてみろ、安全を感じるか?ってことだ。人権とか人道なんてのは自分の命を守ってからゆっくり考えれば良い事だ。

どこに住むか、これは本当に大きなポイントである。例えばマヌカウ(深南部)で30万ドルの住宅があるとする。同じものをNorthshoreで買えば50万ドルはするだろう。確かに20万ドル高い。しかし、子供が怪我をしたり住宅に強盗が入ってくることで発生する損失を考えれば?

どこに住んでも事故が起こるときは起こる。まさにその通りで、Northshoreに住んだからと言って事故に遭わないわけではない。ただ確率が低いだけだ。

オークランドに移住をお考えの方には、もし時間があればウエストフィールド巡りをお勧めしたい。一日で3箇所くらい見ることが出来るので、二日もあれば僕が上記で書いたことの意味も分かるだろう。


tom_eastwind at 13:41│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 移住相談

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