2010年12月17日

卒業

078c973b.jpg今週でりょうまくんの中学が終了して、水曜日は卒業式に参加。450人くらいの生徒が自分の学校のホールじゃ入りきれないからお隣のタカプナグラマースクールの講堂を借りての開催。

9時15分から始まった卒業式では、子供たちのクラブ活動の成果であるオーケストラ、コーラス、グリークラブ、ハカなどを続けて披露。

そしてクラスごとに今年よく頑張った子を6人くらい選んで表彰をする。クラスは大体30名程度。

その後も個人向けに「あなたはロンドンで開かれたスポーツ大会で頑張ったで賞」とか「国内算数大会の成績が優秀でしたで賞」とか比較可能なものから「苦労にもめげずクラスをまとめてよく引っ張っていきましたで賞」、などなど次々と壇上に上がってSurprize(賞品)をもらってる。

その間後部座席に坐ったり椅子の数が足りなくて壁によりかかったりしている親御さん、自分の子供が出る場面になるとすかさずカメラを持ち出してパチリとやってた。

ぼくは親御さんを見ながら「ほー^、まさに色んな人種が集まってるし同時にこの地域の生活度合いも表しているな」と感じた。

まず最初に感じたのが子供たちの中にマオリ系はいるもの全体数は10%以下であり、参観父兄には見かけはマオリ系の親が全然いなかったってことだ。

親が教育に興味がないのかノースショアのこの地区に子供をやるのが元々嫌だったのか、この学校から車で10分ほど西に行けばノースコートと言う地域にマオリばっかりの学校もあるからか、いずれにしてもオークランドの平均的なマオリ人口の20%はここでは適用されてないようだ。

アジア系は見る限り韓国系が目立ってて、日本の運動会の時の親のようにソニー製のビデオ回しっぱなしにしてた。アジア系はこの学校では10%超だがタカプナは確かに韓国系教会もあるし中国系よりも目立つのだろう。

面白いのは白人で、男性の場合はどれも同じようなごつごつがっちりの典型的キーウィ。ところが旦那が仕事に出ているのだろう、奥さんたちだけでやって来た人たちは皆一様に小洒落れてて、あれ?ここ、北半球ですかって思わせるくらいだ。

服のセンスもバッグと靴の合わせ方もどっかの山出しの中国人みたいに昨日生まれて初めてストッキングを履きましたなんてのではなく、子供の頃からきちんとした家庭に育って身だしなみを学んだ人々である。

そんな奥さん同士のおしゃべりもジョークが良く利いてて知性を感じさせるわけで、同じ白人でも典型的なキーウィアングロサクソン、つまりジャガイモ顔の女性は三分の一くらいである。やはりダーウィンの進化論がここでも証明されたのか?

あとはこまっしゃくれて小顔で可愛い南欧系とかギリシャの女神か札幌大倉山のジャンプ場みたいに鼻が高いドイツ系とか、けど彼らにも共通するのは品の良さと知性である。

これは学校のスクールゾーンに影響されるのだろうが、ほんとにオークランドは”東北高西南低”がもろに分かる街である。

結局2時間程度にわたる楽しい卒業式だったが子供たちはこの学校ともこれでおさらば、自分の生まれ故郷である中国や韓国に帰る子供たちも10人くらいて校長が一人一人名前を呼んで「ふるさとに帰ってもこの学校で学んだ事を忘れないでね」と言ってた。

学校教育の重要性は多くの人が認めるところだが、ではどう教育制度を組み立てるかとなると国ごとに全く違う。

ニュージーランドはNCEAと言うフィンランドで始まった教育システムを採用しており、小学生の頃には子供を褒めて喜ばせて自分の好きなことをさせて集団生活の中で自分の立ち位置を学ばせる。

中学校になるとそろそろ自分の行きたい道を考えさせる為に中等教育、つまり世界の歴史とか算数とか英語を学ばせていく。

そして高校に行く頃には自分が何をしたいかの目的を持たせて、必要であれば大学進学をも視野に入れて勉強を開始する。ただ自分が好きなことを学ぶので親が強制する必要はない。進学率は約25%である。

高校までは学費無料だし基本的にどんな子供でも学べる環境を作っている。

難しいのは大学に入ってからだ。大学には入学試験はないが高校までに一定の単位を取らねばならない。そして一旦ペーパーを決めたら教師から次々とテストが出されて、これをクリアーしていくのが実は一番大変である。

何せ暗記教育ではないので答が一つと言うことはない。一つの現象に対してどのように分析を加えていくかを徹底的に考えさせる。

日本であれば”いいくにつくろう”鎌倉幕府で、1192年に鎌倉幕府が出来ましたと書けば正解だが、ニュージーランドでは最初に1192年に鎌倉幕府が成立したと状況説明をした後に、「では何故鎌倉幕府は1192年に成立したのか?もし鎌倉幕府が成立しなければどうなったか?何故平安朝は終わりを迎えたのか、その政治制度にどのような問題があったのか?」などを、最低何千文字でレポートしなさいとなる。

だから子供からすれば住んだ事も行った事も見たこともない時代の話だけど一生懸命ネットと図書館で資料を山ほど集めて一生懸命自分で仮説を立てる。そしてそれの論拠を「これはこのデータから取りました、これはこの本からです」と現していくのだ。

大学でも学費は全額政府から借り入れが出来て、返済は卒業後に給料をもらってそのうち5%を返済すれば良い。大学で勉強中は生活費補助と言うことで学生手当てが出る。これは返済不要。

ラッキーなことにりょうまくんは大きなコリンズ辞書をもらえた。理由がナンなのか本人は「ん?わすれた」と言ってて不明。縦横30cmくらいで厚さ5cmくらいの、まるで木の塊のような辞書を抱えて卒業式を後にした。りょうまくんの学校は水曜日からお休みだ。


tom_eastwind at 11:17│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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