2011年01月02日

地方市民国家

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「関西は独立せよ」と言う池田ブログが人気?と言うかいつものように周囲に議論を巻き起こしている。

彼は極端なまでに頭が良くて合理的に考えてそのまま発言するからなのだろう、日本大好きの感情論者からすれば「何て奴だ!そいつは気に食わん」と相手の議論の趣旨も理解出来ずにぎゃーぎゃー書き込んでみたり、役人からすれば隠しておきたい本音をどんどんばらされるからやってられない。

大学の学者が最近続けて何人も「国策捜査」で痴漢にされたり風呂屋泥棒にされたりしているが、次は池田じゃないかなんて見方もあったりする。

今回は関西独立に関する観念論的な主張であるが、問題点の把握と解決策の提示としては非常に面白いと思う。

例えばニュージーランドは人口が400万人、最も大きなオークランドでも人口は140万人と、日本で言えば福岡県サイズである。

福岡県サイズが独立国として主権を持って外交政策を持ち国内で徴税する仕組みを持ち、ちっちゃな国ながらも国連に大使も送ってアフガニスタンや東ティモールに国連部隊としてキーウィ兵士を送り込んでいる。

そう考えれば池田ブログの「関西の二府四県の人口は約2千万人、GDPは世界13位、韓国より大きな独立国になり得ます」と言う言葉もそれなりに現実的である。

北欧タイプと比較する場合も、彼らは人口数百万人の国であり地方主権が明確である事を考えれば、日本は中央集権とするにはあまりにも大きすぎて価値観が違いすぎる人々が一緒にいるから、いつまで経っても船頭多くして船山に登ることになる。

自民党が右に引っ張ったら民主党が左に引っ張り、結果的に国家としては全然前進していない。つまり一つの国家でありながらあまりに各地の利害関係や価値観が違いすぎているのではないか、それが結果的に今の日本の停滞を生む一つの要素であると思う。

国の境と言うのは一つは個人の価値観だろうと思う。同じ価値観を持つものが同じ地域に集まって彼らが自分たちが望む市民国家を作れば良いのだ。

この際に大事なのは市民国家がすべての徴税権を持ち、市民国家の連合体である中央政府には外交と防衛のみを任せて、各市民国家が中央政府役人を「雇う」ことにすれば良い。

この仕組みの良い点は同じ価値観を持つ人々が集まるから市民国家としての意思決定が早く、更に自分の払った税金が自分の住む街にそのまま反映されるわけで、そうなれば関西3空港なんてバカな役人太り仕事なんて絶対に認めないだろう。

「関西には3つの空港が必要だ、どこの空港も儲かりまっせ。だから税金を払って下さい」と言われて「はいはい」と払う関西人がどれだけいるだろうか。よそからカネを持ってきて作ったから3つも空港が出来たわけであり、自分の金でなら「こんな狭い地域に空港3つも作って採算合うわけないでしょ!」となる、あり得ない話だ。

要するに地域のお金を地域で運用して、その使い道を判断する場合の価値観が同じ人々が集まっていれば文句が出ることも少ない。

昔ある集まりで日本全国から代表が集まる事があった。その時北海道出身の議員は「雪害対策にカネがかかる、石炭代も必要だ、中央で負担してくれ」と言った。

すると沖縄の代表が「雪の降らない沖縄の人間が何で北海道の雪害対策を負担しなくちゃいけないのか、君らはそこに好きで住んでいるんだろうが」と言う議論になった。

そして東京に住んでいる議員は「東京は家賃が高いから住居手当をくれ」と言ったところ、地方議員からは「お前らは文化の中心地にいて、いつでも演劇や買い物を楽しむ事が出来るではないか、ぜいたくを言うな」となった。

住む場所の自由は憲法で保証されており一般的な民主国家であれば憲法で保証してもらわなくても自分がどこに住むかは自分の自由だなんて当然のことだ。

子供の保育所が充実している地域や住民税が安い街に移るのも本人の自由だ。だから今のように日本中に万遍なく散らばっている「価値観の違いすぎる人々」をそれぞれ価値観の合う地域に集めてしまえば良いという案もありである。

まあ実際には日本の場合憲法改正などが必要で実現は不可能かもしれないが、政治談議を床屋で他人事みたいにやるよりは、自分たちの街をどうするかって話だから当事者意識は非常に強くなると思う。


tom_eastwind at 21:02│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 移住相談

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