2011年01月03日

人を殺すとはどういうことか

★抜粋開始
救命胴衣は飛行機が着水して、外に脱出してからふくらませることになっています。機内でふくらませてしまうと、体を前に曲げて、膝のあいだに頭を入れる安全姿勢がとれないからです。しかし、私の席の周囲では、ふくらませてしまったお客様が、四、五人いました。男の人ばかりです。
 
こういう場面になると、女の人のほうが冷静なようです。泣きそうになっているのは男性でした。これはとても印象深かったことです。ベストをふくらませてしまった若い男性が「どうすればいいんだ」と弱気そうな顔でおっしゃるんですが、ふくらませてしまったのは仕方ないですから、そのままでいいですと、安全姿勢をとっていただきました。

「何人助かったんですか」と聞きました。お医者さんが「四人だよ。全部女の人ばかり」と教えてくさいました。
★抜粋終了

ちょっと用事があって日本航空墜落事故時の資料をネットで読み返してたら上記の記事が出てきた。女性は強いなって思った。

同時にこの事件の背景に、今までは全く考えもしなかったような「仮説」があるのも分かった。911はかなりの確率で「仮説」の方が正しいと思うが御巣鷹山でもそう考えた人がいたって事だけでぞっとする。

フィリピンで車を運転してて逮捕されて刑務所に放り込まれた人に「人身事故でも起こしたのかい」って聞いたら、彼がこう言った。「違うよ、何もしてねえよ、捕まった時に警察に渡す金がなかったからさ」

フィリピンでは賄賂としてのカネがないと警察に逮捕される。逮捕されて役人に渡すカネがないと有罪になって刑務所に放り込まれる。刑務所で看守に渡す金がないと飯も食えずに死んでしまう。

これもぞっとする話であるが、こちらは実話なのでフィリピンに行くときはカネだけはたくさん持っていこうと本気で思ったものだ。

こんな感じで世の中にはぞっとする話がたくさんあるが、今読んでる「人を殺すとはどういうことか」もずいぶんぞっとさせられる内容だ。

今日1ページ目を開いたので明日には読み終わっているだろうが、社会の成り立ちの「おれはお前を殺さない、だからお前もオレを殺さない」と言う原則がある。社会に入りました、殺されましたでは洒落にもなんない。

ではもし相手がその原則を破ったら??司法に出来る事は「起こった犯罪を裁く」だけだ。では犯罪が起こらないと言う予防の部分は誰が携わっているのか?戦前は犯罪予防と言う意味で警察が個人生活に立ち入り、犯罪防止のためと言う名目で特高警察が個人の取締りを行った。

そうなると殺されないだけの予防をするのは自分で自分のみを守るしかない。落ちそうな飛行機には乗らない、フィリピンではカネなしに車の運転をしない、などなど。

でもこういう危機管理は完璧があり得ない。どれだけ気をつけてても事故るときは事故るのだ。だから何かあった時にどれだけ対応能力を持つか、何も起こらないように日頃から危機意識を持って生きるかは大事である。

しかし何よりも大事なのは同じ社会に住んでいる人が同じ原則を理解出来ているかどうかを知る事だ。相手が原則を知っていればそれだけ危機は減少する。

作品とは少し違う内容のブログになった。この本に関する感想は後日まとめて書きます。


人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白
著者:美達 大和
新潮社(2009-01)
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tom_eastwind at 22:39│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 最近読んだ本 

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