2011年01月07日

和僑

e379ba43.jpg和僑という民間組織が香港にある。海外で定住してその国で個人で起業して地元に根を張る人々の集まりである。

ぼくが香港に住んでいた時代にはなかったが、その頃からすでに香港をベースにして起業をする日本人が増えていた。しかし彼らをまとめる組織は当時なかった。

海外には基本的に商社や銀行や製造業の現地駐在員の集まりである企業ベースの集まり(~会)と個人が加入する日本人会がある。

商社や銀行員の集まる会は基本的に全員が東京を見ている。いずれ東京に帰ることを前提に海外で集まって人脈作りをやっている。だから旦那の企業名と肩書きで奥さん連中の集まりも階級化される。

旦那たちの会合で話されることと言えば現地従業員をバカにして現地のカラオケバーに新しく入った女の子の品定めをして東京の上司の悪口をお互いに言い合って最後に「おれたち、がんがってるもんね」と乾杯して終わりだ。

けれど仕事をすれば現地従業員の方が数倍情報収集力があり交渉力があり言語力があるので頼るのは彼らしかない。

カラオケバーのねーちゃんたちからすれば昔は単なる金づるであったが、今ではせこく飲むわりに威張るばかりなので、むしろ日本語の通じない気前の良い中国人や韓国人のテーブルの方がましである。

ただまあ駐在員からしても昔のように現地手当てがどーんと出るわけではなくいつ首になるかもしれないから、今安全な場所にいる間に出来るだけたくさん貯金しておきたいと言う気持ちも分かる。

なので、和僑の望むような個人で破壊的な力を持って現地で起業して戦っていこうと言う集まりにはなり得ない。

オセアニアの日本人会に至っては個人で誰でも入れるのでまさに玉石混交、けれど多くは石、それも庭石にも飾りにも使えない石である。

長く異国の土地に住んでいるけど、いつまで経っても地元の友達は出来ず、かと言って親の前で啖呵切ってきたから今更日本にも帰れず、何も知らずに新しくやって来た日本人を相手にいつ終わるともわからない地元の噂話と自分の自慢話ばかりしているおばさんとかが餌食探しに参加したりしている。

また、1990年代は今よりも永住権の取得が容易だったので、日本じゃ役立たずの息子を留学と言う名目で海外に追いやり、ついでに親がカネを出して適当に現地で会社を作らせてそれで親の住む地元では「おらが息子が海外で起業しただ!」と威張りまくる。

子供は現地で一人社長で仕事をするが実質的には能力がないので親の金で食ってるだけだ。1990年代のシドニーでもこういう会社、多かったな。実際に日本の政治家や官僚の子供たちが「うちの子供、海外留学してます」って言ったら島流しのケースの方が多い。

海外で生活をしようとする方は「そこに行けばどうにかなる」と言う淡い期待を持って既存の会合に入っても実際の生活には役立たずどころか、あとで絡まれて返って面倒なだけだ。むしろ「そこに行ってどうにかしてやろう!」くらいの気持ちが必要である。

香港の組織は起業家の集まりだが、場所柄香港を含む華南地方でビジネス展開をする人たちがお互いに信用出来る日本人同士で情報交換をしようとしている。マッチングビジネスと言える。

シドニーは現地で起業した人の定期的な集まりもあるけど香港に比べると市場が小さいから、そんなとこに顔出すよりも地元オージーのパイプを作ろうって雰囲気があるのかもしれない。

ニュージーランドにおいては更にちっちゃな市場であり勉強会もあるが、それがすぐにマッチングビジネスに繋がるとは言いがたい。むしろ地元キーウィの教会の集まりに参加するほうがずっと役立つのは間違いない。

なので海外生活をする時に既存の会合に参加しようとするのであれば、組織実態を知った上で自分の知りたいことやりたいことと合致しているかどうかを調べるのが安全である。


tom_eastwind at 20:30│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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