2011年01月24日

政治が官僚に負けた日

菅首相は21日、省庁間の政策調整について、閣僚・副大臣ら政務三役だけでなく、次官・局長らによる調整も容認する方針を示し、「政治主導」の名の下に官僚を排除してきた姿勢を大きく転換した。(20111221745  読売新聞)

★抜粋終了

 

民主党が政権を取ったときのマニュフェスト(ぼくは個人的にこの言葉が好きではない。日本人同士が話をするんだから普通に政権公約と言えばよいではないか、なんだかいかにも英語劣等感と白人崇拝の匂いがして臭くて仕方ない)では政治主導でなかったか?

 

この記事は「政治が官僚に負けた日」というタイトルが一番ふさわしい。政治が混乱したのは政治主導に逆らう官僚が混乱させたからだ。自分たちで政治を混乱させておいて政治が悪いとは大したマッチポンプである。自分で火をつけておいて油を注ぐようなものだ。

 

だが官僚の壁が厚いことは民主党だって政権を取る前からわかってたことだ。それを今になって官僚主導に戻すのなら、民主党はいったいどんな脳みそなのかと聞きたい。

 

けれどこれを違う角度から見ると理解できる。

 

もともとが左翼的な集団が集まって国家主導による理想的国家作りを描いてた民主党が今まさに今国家を主導している。

 

彼らの頭の中にあるのは社会主義国家であり、官僚が行っているのがまさに社会主義国家であり、実は民主党の方向性と官僚の方向性は全く一致していたのだ。

 

政治主導や官僚制度の根本的改革などはもう民主党の頭の中にはないのだ。

 

そして官僚組織を守るということは必然的に彼らの下部組織である国家公務員、地方公務員もそのまま温存される、うまくいけば火事場の焼け太りで公務員の数を増やして大きな政府を作るということになる。

 

民間で出来るような業務でも「こんな大事なことは民間に任せられない」と役人が独占してそこに公務員を送り込めば、日本中どこもが公務員天国となる。

 

公務員が増える=公務員で構成される労働組合員が増える。これは自治労にとってまことにありがたいことである。新しく採用された公務員については組合加盟を条件とするショップ制度を導入すれば組織率低下の自治労を一気に昭和のような大勢力にすることが出来る。

 

そのためにはまず官僚と手を組んで次は民主党の支持母体である労組を強力にすることで民主党の基盤を安定させる。

 

こう考えてみれば民主党が官僚主導に舵を切ることで自分たちの社会主義を実現させようとして同時に選挙で勝てるための「官僚主導宣言」も当然の帰結である。

 

何もおかしくはない、何も問題はない、ただ選挙の時に期待していた「政治主導」を信じた選挙民が見事に裏切られた、ただそれだけだ。

 

見ていればわかる、いずれ中央でも地方でも何らかの理由をつけて公務員が増加していくだろう。

 

ただしこれは「方向性」であり実現するかどうかは不明である。官僚にとって最大の敵であった小沢氏追い落としはまだ完ぺきに成功したわけではなく、次の選挙で「みんな」がどう成長するか、地方選挙で何が起こるか。2011年は政局の年になる。

 

ただ、国民からすれば、政治が右に行ったり左に行ったり、そんなことやってる間にも世界は動いておりどんどん取り残されていくのだからやってられない。お家騒動で一番とばっちりを受けるのは領民である。



tom_eastwind at 11:48│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 日本ニュース

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