2011年01月26日

人権だってさ

71fb355a.jpg米中会談が終了した。お互いに相手を必要としながら、けれどお互いに一歩も引けない駆け引きである。

残念ながら日中関係のような戦勝国対敗戦国などの従属会談とは全然位が違う。

 

★記事抜粋

共同会見の場も、人権では熱気を帯びた。「大統領!国民を冷遇していることで知られる国とどうしたら協力していけるのか米国民に説明してほしい」。AP通信記者はオバマ大統領にそうただした上で胡主席に向き直り、「反論の機会を与えたい。中国の人権状況をどう正当化するのか」と厳しい口調で迫った。この時、会場の一部に陣取った中国人記者団が凍り付き、胡氏の顔も引きつった。

 オバマ大統領は「米国はすべての人々にとって人権が普遍的な権利であることを再確認した」と、胡主席を横目に見ながら強調。胡主席は沈黙したままだった。次に指名されたブルームバーグ通信記者が胡主席に回答を求めると、胡主席は「通訳の技術的な問題で質問が聞こえなかった」と釈明。「人権問題では依然として多くの課題があるが、中国は常に人権擁護に努めてきた。大きな進歩があったと世界からも認められている。中米間では意見が一致しないが、内政不干渉を原則として話し合う用意がある」と大方の予想以上に率直な回答で切り返し、記者団を驚かせた。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110121/chn11012109020038-n1.htm

★抜粋終了

 

この記事では「人権、中国には聞こえず」のタイトルになっているが、これは記者がバカか最初からこういうタイトルにしろと局長から指示されたか、または記者は「丁々発止のやり取り!」と書いたけど整理部でタイトルを変更されたか、である。

 

なぜなら米国が「人権」を持ち出すときは、それは相手が何かを持っててそれを欲しい時だけだってのは世界政治の常識であるからだ。

 

米国は人権が大好きである。もちろんそれ自体は何の問題もない。けれど米国政治においては、それは相手の国を支配したい場合にのみ利用されて、本来の意味の人権とは全くかけ離れて、むしろ相手の国をぼろぼろにして人権を奪うことになるのだ。

 

20世紀の米国の歴史を見れば、人権とか民主主義とか、日本人の夢大好き人間が涙をこぼして喜びそうな名目を使って中南米の国々にCIAを送り込み次々にクーデターを起こして米国好みの国に改造して、さらにカーギル社あたりが中南米の作物を支配して、その国で作られた果物は地元ではなく米国や日本で売られて、儲かるのは米国人だけという状態が今も続いている。

 

少しでも反米愛国的な政治的指導者が出てくればスキャンダルを起こして潰すか、もっと具体的に暗殺したりするのが米国における民主主義であり、現地人を低賃金で働かせて自分だけ美味しい汁を吸うのが米国式人権である。

 

つまり米国式民主主義とは対米従属国家を作るための手段であり、米国式人権とは米国人の人権と利益を守るためだけということだ。

 

 

何をやるにしても米国は一事が万事こうである。だから彼らは自分の利権が届かないアフリカ大陸で行われる数百万人単位の民族虐殺事件には一切口を出さないし止めようともしない。

 

アフリカ諸国のやってることには米国は「内政不干渉」であり国連にお任せします、あたしは知りません、人権?民主主義?それは国連でどうぞ、である。

 

実際にルワンダで起こった民族大虐殺の時は、米国だけでなく国連でさえも「内政不干渉」で結果的に数百万人の死者を出した。国連軍の目の前で虐殺された人々の人権はどうなのだ?

 

米国が人権というなら北朝鮮に言ってくれ。あそこの強制労働収容所に放り込まれている人々の人権はどうでもよいのか?北朝鮮は米国にとって利益になるかどうか不明な点が多すぎるし、下手に手を出すと中国ともめるから絶対に人権を口に出さない。

 

日本から拉致された人々がどれだけ米国に訴えても「あー、そう、うん、わかった」で終わりだ。

 

しょせん国際政治において本来の意味の人権など全く関係ない。将棋の駒の一つでしかないのだ。

 

そんなことは百も承知の中国側は「人権はどうなってる?」と質問されて「無視」で返し、再度聞かれると「内政不干渉だ」とたたき切った。

 

こういう簡単な国際常識さえ記事に出来ないのは記者がバカか新聞社の意向かどちらだが、いずれにしてもこんなものを知らない人が読むと「え〜、ちゅうごくって、ひどーい!」なんて思うかもしれないので、そうなればメディアがバカ製造機になったという責任ですよ。

 

米国自体が今でもグアンタナモ監獄に無実の人間を放り込んだまま釈放も名前の公表もせずにいることは国際政治の中では常識である。また自国民であるアメリカ人がサブプライムローン問題で家を無くしたテント生活者を「自己責任」として救おうともせず放置しているのも事実である。

 

それでもまあ、日本にいる多くの夢見る夢子ちゃんやアメーリカ大好き人間には「人権、中国には聞こえず」ではなく「人権、バカには理解出来ず」である。

 

少なくとも個人レベルでは米国の狡さ加減と中国の狡猾さ加減を理解して、その間にいる日本がどうすべきか、そして個人レベルでは自分と家族の生活をどう守るかを考える必要がある。



tom_eastwind at 14:45│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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