2011年01月27日

外国から見た日本国債格下げについて

 

309f6bfc.jpg日本ではS&PによってAA-に格下げされた記事を各新聞がいろんな温度で書いている。

与謝野さんは「消費税値上げのネタにしよう」とか「日本の国債の95%は国内で消化されているので大丈夫」とか「対外資産が十分にあるので大きな問題ではない」とか。

 

しかしそのような偏向のかかってない記事、つまり素直に外国人が理解出来るのは下記のような記事である。ちょっと長いが貼り付け。

 

In other news; ratings agency S&P has cut Japan's credit rating one notch

to AA-, the fourth highest rank and equal to China, saying lack of a

"coherent strategy" to tackle debt and ongoing political stalemate as a key

reasons why the world's third biggest economy can't tackle it's monster

deficit. For years the Government has borrowed cheaply from the aging

population to prop up the economy. Annual deficits of 10% have been common,

so the total domestic debt to GDP is over 200%. In contrast; New Zealand's

Government debt to GDP is approx 20%. With a shrinking population the

outlook for Japan looks grim.  If Japanese investors start to turn away

from lending to the Government at super low interest rates and look to

invest overseas for higher returns the Government would be on the brink of

going broke. They simple cannot afford a higher interest bill as the 1.0%

they pay on the US$14 Trillion dollar equivalent of debt is only just

bearable, anything higher would be too much. Longer term exporters to Japan

should think about long dated forward cover as it is hard to be positive on

the Yen going forward. The Yen lost about 1% against the US and Kiwi

following the news.

 

日本の国債は中国と同じ程度であるのは日本の記事でも出ているけど、中国が危ないって日本人が言うなら、世界はその“危ない中国”と日本を同等に見てますよってことだ。

 

何よりも問題は日本政府がこの巨大な負債(GDP比で200%)に対して無策であり(ちなみにNZの負債はGDP比約20%だ)、人口減少を迎える中でどうするのかと問いかけている。

 

そして、日本の投資家が超低利の国債を見放して海外の高金利商品に向かった場合、日本政府はまばたきをする間に吹っ飛ぶだろうと言ってる。

 

その結果として日本円は信頼を失い長期的に見た円は肯定的な要素が全くないとなる。

 

キーウィからすれば日本の投資家の不合理な投資姿勢が理解できないので不安を感じるだろう。どう考えても理解不能だろう。世界にはAA格付けで利回り7%〜10%の商品は普通に存在する。

 

例えばニュージーランドの国債なら3.75%だ。AA銀行での定期預金でも5%、そして意外と知られていないがオークランド国際空港株式会社や電力会社やテレコムなどの電話会社など基幹産業の株式は利回りで10%近い。

 

実質的にニュージーランドの国民生活に直結したサービスを提供している企業が発行する株式がある日突然紙切れになる可能性と日本の国債が吹っ飛ぶ可能性はどちらが高いか?てか、利回り1%の吹っ飛びやすい商品と利回り5〜10%の将来性のある安定した国家の基幹産業の10%を比較すれば、どちらを取るかは答えは簡単である。

 

だからキーウィからすれば、てか普通に脳みそのある外国人からすれば日本はいつ吹っ飛んでもおかしくない状況であり、更に政府が無策だから今後の見通しは最悪、だったら日本国債なんて買わずに外国の商品を買うよって判断になる。なぜ日本人がそういう判断をしないのかが理解不能であろう。

 

日本の国債は約700兆円、そのうちの400兆円近くは邦銀が購入しており、更に邦銀の400億円のうち半分、200兆円くらいはゆうちょ銀行が購入している。(この数字はおおざっぱ。先週の日経の数字のうろ覚えなのでご容赦、大体は間違いないと思うけど)

 

政府は国債を発行して得た現金を子ども手当などで国民にばら撒く。しかし家計は厳しいのでお金はすぐに銀行に定期預金などで入金される。定期預金で入金されたお金で銀行は日本政府の国債を購入する。政府は得た現金を国民にばら撒く・・・。

 

何のことはない、堂々巡りだ。

 

国民から金を吸い上げておいてそこから役人の取り分を抜いて、残りをまた国民に返す。けどその金はまた銀行経由で政府に入る。政府に入るたびに役人の取り分が発生する。

 

「心配すんな、日本国民が外国の商品なんか買うわけないじゃんか、今までさんざんマスコミを使って外国商品の危険さを煽って怖いって教え込んで、第一英語だって国民が理解できないように“使えない英語”を初等教育から仕込んできたんだから、今さら外国投資なんてあり得ないさ」

 

そうやって笑ってる政府の役人の顔が見えるようだ。

 

外国人にとってはこの「政府による幼児期からの洗脳教育」が理解出来ないので日本国民の意味不明な投資行動が理解出来ないでいるのだ。

 

日本人は北朝鮮を「洗脳された独裁国家」と呼ぶが、外国から見れば日本も似たようなものである。どちらも普通に考えれば「おかしい」のだが、やってる本人はいたって真面目なんだからどうしようもない。

 

日本が危機的な状況にあるのは世界の投資家の誰もが理解している。ただ自分が最初に「日本国債の空売り」という引き金を引くと完ぺきに日本政府を敵に回してしまうので、だれかほかのやつが「最初の一発」を撃つのを待ってるだけだ。

 

今世界で語られているのは、日本の国債が安全かどうかなどの議論ではない。いつ吹っ飛ぶか、だれが引き金を引くかだけである。そしてそのような外国からの視線を理解していないのは肝心の日本人だけである。

 

 



tom_eastwind at 10:41│Comments(0)TrackBack(0)

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