2011年02月12日

北方領土

東京で仕事をするときは、恵比寿から丸の内までタクシーで移動することが多い。これはぼくがむちゃくちゃ方法音痴で山手線を平気で反対周りに乗るとかを何回も繰り返して、駅に降りてからも出口が分からずにうろちょろしたりとかで結局お客様との面談時間に遅刻するってつらい経験をしたからだ。

 

Time is Money、まさにその通りで東京で押せ押せの時間表で仕事しているときは結局ドアからドアまでまっすぐに送ってくれるタクシーの方が効率的なのだ(苦笑)。

 

道順としては恵比寿から六本木通り、霞が関の前を抜けて丸の内となるのだが、このコースを通るたびに役所に掲げてる「北方領土返還!」って極太の文字で書かれた看板を見ることになる。

 

都内でも一等地に置いてる看板だから民間であればずいぶんと高い広告費になるんだろうな、けどこの広告主、いったい何が目的なのかな、いつもそう思ってしまう。

 

前原外相がロシア訪問、北方領土では全く解決の目途が立たずというネット記事が出てたが、そりゃそうでしょ、最初から足元見られてるんだから。

 

内側、つまり日本国内にいると訳の分からん感情論で目がくらんでしまい事実関係が分からなくなるかもしれないけど、外から見るとわかりやすい。

 

今までロシアは日本を頼りにしてカネを引っ張って極東アジアの経済成長を考えてたんだけど、天然ガスや石油のパイプラインは結局中国と手を組むことになり、そして尖閣での日本の領土問題に対する鈍感さが見えてきたものだから、「よっしゃ、こりゃ良い機会だ、今のうちに叩いておけ」となった。

 

感情論でぎゃーすか言ったりしているけど本気でやる気のない外務省と、外交なんて内政が忙しくてまともにやってられない政府が生んだ政治的空白に、KGB上がりの戦略家が攻め込んできたわけだ。

 

イギリスはサッチャー政権時代にアルゼンチンとフォークランド諸島の領有権を巡って戦争をした。

 

フォークランド自体が何かの資源があるわけではなく、南大西洋の小島であり戦略的にどうこういう事もない。

 

つまり戦争をしても何かの資源を取れるとか戦略的に有利になれるとか、そんなもん何もないのに戦争をした。

 

それはただひたすら、国家とは領土があるから存在出来る、その基本を犯そうとした連中がいれば自分の血を流してでも徹底的に自分の領土を主張する、そういうことだ。

 

日本が本気で北方領土を返還というならロシアと戦争すればよい。今までは日露戦争で一勝、ノモンハンで一敗だけど、日本に近い場所でやれば兵站も有利だし、逆に言えばロシアからすれば部隊を動かすのに大変な場所であるから勝ち目はある。

 

自衛隊は外国に戦争には行きませんとは言いながらも国内の領土を守ることであれば憲法違反でもない。堂々と殴り込みに行けばよい。

 

戦後から今まで放置していたからなんとなくロシアのもの、みたいな雰囲気になっているが、これをさらに放置すれば国際的にも日本は領土主権を主張出来なくなる。

 

だから霞が関に看板かけてぎゃーぎゃー言うくらいなら最初から戦争仕掛ければよいのだ。

 

けど実態としては米国追従戦略の中で冷戦中に仮想敵国としておくと同時に世間に対しても「ねえねえ、ソビエトってひどいよね、なんか戦争の終わりにどさくさに北方領土かっぱらっちゃってさ、ねえねえ、ひどいね、じゃあもう一杯いきましょうか〜」と酒の肴に混ぜこんでしまい、結局一度も本気で取り返そうとしなかった。

 

これは北朝鮮に拉致された人々と全く同じ構図である。要するに政府からすれば国民が拉致されようが使い物にならない北方の島がどうあっても関係ない、東京のブラックゾーンである皇居とその周辺の人々が平和に国家運営出来ればよいのだ。

 

だから米国に対して「ぼくちゃん、あなたの犬ですよ、わんわん」と言いつつ、米国の仮想敵国であるソビエトが「おい、隣同士なんだから仲良くして極東の石油や天然ガスを掘ろうぜ、北方領土も半分くらいな返すからさ、後の二つもそのうち話をしようや」という提案に対して、そんなことされて本当にソビエトと仲良くなると米国のご機嫌を損ねるからと米国様の気持ちを“忖度”して、「ダメだよ、四つ一緒じゃないとダメだよ!」

 

要するに金にならない北方領土なんてどうでもよいし、四つと突っ張ることでソビエトが内政的に受け入れられない状況にしておくのが米国わんわん日本にとって最良の選択であったと外務省が判断して現在に至るわけだ。

 

ところが肝心のアメリカ様が最近はすっかり中東に目が行ってしまいロシアとも仲良くするようになり、更に日本を無視して中国とも取引をするようになった。

 

あれ?なんじゃこりゃ?戦後50年続けてきた体制がひっくり返ったじゃないのよ、アメリカ様、あたしを見捨てるの?だったら早いとこロシアとも仲良くしなきゃ、けど鈴木宗雄は国策逮捕で潰したからロシアとの窓口ないよねなんて思ってたところに尖閣問題だ。

 

これを見たロシアは「やったれ!」とばかりに北方領土を駒に使って日本に対して強気に出て「おい、資源不要なのですか?てか領土も不要ですよね、あんたの欲しいのは箱根から前橋まででしょ、だから北方はこっちのもんだと世界に公表しますよ」となった。

 

中国だって領土問題は国家の根幹である大問題だから尖閣だってとれるものなら取ってやるって、やる気満々だ。

 

それに対して日本がやることって言ったら朝のバラエティニュース番組でオールバックの爺さんテレビ芸人に「ほら、この古文書に書いてるでしょ、ここは日本領土って書いてるでしょ!」と内向きに騒ぐだけ。

 

北方領土も全く同じであり、要するに日本は本州を含めた四つあれば良いのだ。てか正確に言えば関東だけで良いのだ、残りの地域については他国が欲しければもってけ、その代わり政治ネタで使わせてもらいますよ、くらいの事だ。

 

それは皇居のまわりや霞が関の自分たちの領土だけは米軍の傘に守ってもらうけど騒音とか兵隊犯罪とか面倒なのは沖縄に米軍基地を押し付けて沖縄さん、あんたらはしょせん外様なんだから我慢しなさいって姿勢にもよく出ている。

 

領土問題は世界中どこでも抱えている恒久的な問題である。日本とロシア、日本と韓国、日本と中国だけが抱えている問題ではない。そして大事なのは、国境線はいつの時代も力関係で変化するということだ。

 

国境を本気で守る気があるなら、何も得るものがなくても戦い、血を流してでも自分の領土を守る、そういう姿勢を近隣諸国に対して見せる必要がある。

 

そういう毅然とした姿勢を見せていくか、それとも黙って領土を差し出すか。政府の判断だ。

 

ただ、表面的には「かえせ〜」とか言いながらも何らの実力行使をしない北朝鮮拉致問題、逮捕しても「あ、それ、おれ、知らんし」とすぐに釈放する尖閣問題、極東資源を得る機会があったのに国内問題で鈴木宗雄を国策逮捕してせっかくの機会を失ってしまった北方領土問題。

 

すべての問題に見えるのは「自分に関係ないことは知らん」という長期戦略のなさであるし、外務省や政府が国民や海の向こうの領土なんて結局どうでも良い、俺ら江戸城の近くに住んでるところだけが良ければいいんだもんね〜という姿勢だ。

 

だったらと本気で思うが、歴代首相の子供を全部誘拐して北朝鮮に拉致してしまえばどうだろう?

もっと言えば有楽町あたりに北朝鮮特殊部隊が上陸して霞が関に銃弾撃ち込んで「ゴルァ、日本は古来から朝鮮の領土だ!」なんて言わせてみれば面白いものだ。

 



tom_eastwind at 13:38│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 日本ニュース

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