2011年05月25日

ワークビザや永住権の不思議

ニュージーランド地元のニュースではクライストチャーチで介護士として働いていたフィリピン女性3名の労働ビザ延長が却下されたとの事。


ところがオークランドでは専門学校を卒業してオープンワークパーミットを取得して働くアジア系若者はますます増加している。


永住権にしても、事前審査(EOI)にも通り本申請で条件は十分に整っているのになぜか半年経っても移民局から連絡もないという人もいれば、申請したら「あら、わたし3か月で取れちゃった」と言う人もいる。


この違いは何か?いつも日本のお客様から「不思議です、どうしてですか?」と聞かれる。聞かれても移民局の担当官ではないので「あなたのケースがなぜそうなったのか」を具体的個別的に説明することは出来ない。


ただ全体的に状況判断をすることは出来る。


まずクライストチャーチ(CHC)でフィリピン人介護士のビザが却下された件についてだが、これは

1・CHCの無色(無職)人種が有色人種が働くことに対して厳しい目を向けているということ。自分が失業保険で食ってるし仕事したくないのは棚に上げている。

2・CHCでは今回の地震で倒壊したビルに入ってた英語学校がフィリピン人向け介護士プログラムを作っており、これがここ数年バカ売れで街中にフィリピン人があふれるようになった。(ちなみに校長は今回の地震時にオフィスにいて亡くなった)

3・今回の地震で失業率が高まってしまい、これでビザ延長はまずいかなって判断が移民局にあった。

4・だったらついでにフィリピン人に対する警告として数名のビザを却下してみよっか。(あいつがいなくなったからやっちまえ?)

5・よっしゃ、今申請しているフィリピン人介護士の申請書を持ってこい。(xxxxしてxxxxたらxxxで)3枚(笑)は却下だ。

6・フィリピン人介護士が本気なら再審査を請求するだろうし再審査が通ればそれはおれらの上級部門の判断なのでおれらとは関係ないので後は知らん。


1から6のうち、5は今回この手法を使ったかどうかは不明であるが手法としては現在も生きている。うっそ!と思うかもしれないが、NZの移民局などそんなものである。伏字にしたのは移民局の名誉を考えての事だ。きれいな言葉で言えば「無作為に抽出した3枚の書類」となるが「あなたならどう抽出するか」はご自分で考えてもらえばよい。


移民局は感覚で言えば地方役場の戸籍係みたいなもので、毎日毎日同じことの繰り返しである。申請書の写真を見ても顔の区別もつかないような連中や名前の発音も出来ないような連中の作ったガイジンの書類を見ながら、書類に添付されている資料が本当かどうかをチェックするよりも、どのようにチェックしたかを上司に見せて点数稼ぎたい移民担当官が退屈そうに作業をしているだけだ。


高邁な精神で「ニュージーランド国家の為に優秀な人材を外国から受け入れて〜!」なんて考えているのは国会内の政治家だけであり現場では与えられた退屈な仕事をどうやって手抜きしながら上司には一生懸命働いているようにみせる為に、永住権申請者に対しては答えられないような質問を平気でぶつけてくる。


「ぼくはxx大学を卒業しました、卒業証書はこれです」と大学が署名捺印して発行した原本を見せると「これが原本であるという証明をしろ」と言ってくる。原本だぜ、これ以上どうやれっちゅうねん?おまえあふぉか?であるが彼らは自分たちが調べるのでなく申請者に面倒な事を全部やらせて上司には「自分が一生懸命調べました!」とやるのだ。


こういう場合は地元の弁護士にお願いして「この書類は真正であり内容に間違いない」と一筆入れてもらう。もちろん弁護士はそんな大学など聞いたことも見たこともなければ証書がホンマモンかどうかなんて知りもしないし知りたくもない。一仕事して手数料が入ればOKなのだ。


でもってなんでこれが上司に「よく働いた」となるのか?それはこれで地元弁護士の仕事が増える事で弁護士も移民局に「サンクス!」となるし次の機会に弁護士が何かあれば上司とにビールをご馳走して、更に弁護士内で「あの移民マネージャー、おれたちの仕事をCreateしてくれるからいい奴だね」となり上司の評価が上がるのだ。


つまり何のことはない真面目に書類を作った申請者は食い物にされているだけなのだ。移民局だって公務員、仕事を作り出すのが彼らの仕事であり、官民交流が盛んなNZではいつ自分が民間に戻るか分からない、ならば今のうちに他人のカネで自分を売っておこうとなる。


そして大きな問題は担当官である。あなたの担当官が白人キーウィであればかなり好意的に扱ってくれて提出する書類も大体信用してくれるから当選確率高しである。キーウィは日本人には好意的なのだ。


ところがこれがパキスタンあたりから政治亡命してきた連中や難民ビザで入国して何とかこの仕事を手に入れた連中からすれば「け!なんだよ日本人!お前ら自分の国でぜいたくできてるのに、さらに“じゃあこの国の永住権もお一つ頂こうかしら”なんて考えているんだろバカヤロ、」となり職歴と学歴の違いなんかを突いてくる。


「あなたは大学で経営学を学んだが就職した会社では現場で営業をやっている。これは関連性がないのでポイントとして認めることは出来ない」と言い出す。


「日本では大学の学部は企業に入社するためのシグナリングであり経営学など実はまともに学んでいない、それよりも就活と合コンにいそしんでいるのだ、そして就職後は丁稚奉公から始まるのだ」なんて説明しても、パキスタンの難民からすれば行ったこともない国の聞いたこともない不合理な制度である。


ダイガクで専門知識を身に付けない?若いのは給料の安いでっち奉公?意味不明!だいいち大学まで行きやがってこのやろう、おれが銃弾の下をかいくぐって戦場で必死に生き残ろうとしていた時に「ダイガクでシューカツ?だと?ごーこんだと?どんな飲み会楽しんでたんだよばあか!」となるから更に突っ込んでくることになるのだ。


このような裏ネタは普通にNZ社会で生活をしていてはまず見ることはない。キーウィでも知らない人がほとんどだ。時々ニュースで移民局の上司と担当官が調子ぶっこいて申請者から裏金もらってそれがばれて初めて表面的な部分だけが新聞発表されるが、それでも裏ネタは出てこない。


こういうネタは表だって聞いても「いえ、そのような事はございません、皆さん平等公平に書類を審査しておりますよ、おほほ」となるが、仕事のでたらめさについては移民局がしょっちゅう「あなたの申請書類に添付された旅券が紛失しましたので再発行して持ってきてください」というレターが発行されることで証明されている。


ぼくの直接の知り合いでも移民局に旅券紛失された連中が何人もいる。けれど移民局は過ちを認めようとせず、おれとは違う部門から書類が来た時点ですでに旅券がなかったとかおれの部門を通過した時点では間違いなく旅券はあったなどと言って絶対に間違いを認めようとしない。これまた結局は申請者が泣くしかない。


だからニュージーランドの表面的な自然の美しさや人々の優しさに目を奪われてビザ手続きも同様に「みなさん優しくしてくれるのだろう」なんて思ったら大間違い。


キーウィは個人的に付き合うには実に良い人種であるが仕事をするとなるとミスは多いし自分の利益を最優先させるし相手に仕事を押し付けるのが得意である。そして移民局は役所でありどこの国でも役人が考えることはあまり変わらないし更に移民局で働く移民と言う構造であるからますます複雑混迷となる。


だから移民局とやり取りをする時に日本的な常識は通用しない。NZの人の良さも通用しない。ならばこちらも彼らのルールで戦わねばならないのだ。


良いとか悪いとか価値観の問題を言い出しても問題は解決しない、ビザをあきらめるか彼らの価値観を受け入れて出来るだけ円滑にビザが取れるようにするか。結局真面目でお人好しで他人と組んで仕事をすることが得意の日本人には最も苦手な、おれかお前か駆け引きの世界なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



tom_eastwind at 17:58│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 移住相談

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