2011年06月02日

名刺を持って自己紹介されるのを待つ

【茨城】 休日に業務外で救命行為をした消防指令を処分、退職 201162

茨城県石岡市消防本部は5月31日、休日に自分の業務ではない救急救命行為をしたとして、救急救命士で石岡消防署の男性消防司令(54)を停職6カ月の懲戒処分にした。消防司令は即日、辞表を提出し受理された。このほか、監督責任を問い、消防長ら上司5人を訓告処分にした。


同消防本部によると、消防司令は4月14日午後0時半ごろ、静岡県内の東名高速道路で自家用車を運転中、追突事故に遭遇。医師の指示を受けないまま、不当に所持していた同消防本部の医薬品を使い、けがをした運転手に静脈路を確保するための救命処置を行ったという。


本人からの申し出や、静岡の消防本部からの報告で発覚した。消防司令は「法律(救急救命士法)に触れることはわかっていたが、助けたい一心でやってしまった。(石岡市消防本部の医薬品は)東日本大震災の後、もしもの時のために持っていた」と話したという。

★記事終了


あれ?今日は4月1日だっけ?それにしても質の悪い嘘だなとか思いながら読み終わって今日が6月2日であることを思い出してエイプリルフールでもないのにこの冗談は何だろうと思った。


人間が目の前でけがをした人間を救う。当然の行為だろう。その時偶然助けた人が救命知識があれば使っただろうし止血帯としてネクタイを使い鉛筆で縛るくらいの事は、最近の医療ドラマを見ていれば出来る事である。医療品って、まさか包帯の事じゃないだろうな。


もちろんこの記事をそのまま真に受けるつもりはない。メディアが書いているのだ、実はもっと裏があると思っている。例えば今回の消防司令は実は大震災の時に上司を無視して現場で人助けをして、それが表面化すると消防全体の問題になる、まずい、その前に別件で懲戒、本人に退職届を出させて自主退職とすれば年金その他は貰える、けど新聞発表では別件で、ということだったり。


この記事が100%真実だとしても実は裏があるとしても両方に共通のメッセージがある。それは、「普通の人間が普通の感覚で人助けをするにもお上の決めたルールに従え」ってことだ。このメッセージは政府とメディアが提携して様々な場面で流して国民の頭に刷り込む。


「君が勤務中に救命行為をするのは当然、それは上司、ひいては国家の指示を受けているから何をやってもよい、個人の住宅をぶっ壊しても個人責任は問われない。なにせ国家の指示なのだ」


「しかし君が個人の資格で判断して行動を起こすことは一切認めないし許さないしましてやお上の作った(無意味な)法律に逆らうなんてあり得ない」


交通事故でどの程度の怪我をしたのかどのような救急具を使ったのかは分からないがそんなのはどうでも良い、要するに自分で判断することがダメなのだ。


これがメディアトリックであり、間違ったことでも何百回も記事で書かれているうちにだんだん「あ、そうか、目の前で人が死にかけても上司の命令がないと放置が正解なんだな」と読者の脳に刷り込みを行うのだ。


こういう記事を読んだ日本の青少年は普通に「あ、そうか、上司の指示がないと勝手にやっちゃいけないんだ、目の前で苦しんでいる人がいても放置するのが正しいのだ、だって法律にそう書いているんだもん」と言うメッセージを理解する。


その代わり一旦上司が命令すればその時は法律を無視してでも組織を守り他者を攻撃しそれが普通と思ってしまうようになる。まさに「ぽちの告白」だ。


「最近の若い奴はいつも指示待ちばかりでさ〜」なんてくそったれ中年上司がいくら何を言おうとも、そういう若者しか生き残れないように組織の中で作られてるのだから「指示待ち立派!」と褒めてあげなければ。


「よしよし、君は目の前で交通事故が起こり人が死にかけても何もせずに指示があるまで動かなかった、立派だわんわん」


まさに動物牧場の世界であるがこれは今の日本の現実である。日本の内部にいる限り見えてこないが、香港、韓国、中国、英国、米国、カナダ、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドなどの国で仕事をしてきて彼らの人間性に触れてきたぼくは、日本がどれほど異質な国なのかよく分かる。


一体どこの国の人間であっても、目の前で苦しんでいる人を救おうとする気持ちを持たない人がいるか??たとえ中国でも現場では助け合いがあるのだ。いや、ルールのない中国だからこそ人の優しさと言う人類古代から続く助け合いの行為が行われるのだ。


こうなるともう、普通の人々から見たら「一体どんな人が自分の子供をこの国で育てて指示待ち若者にしてお上の奴隷にしたいのか意味不明」となる。しかし政府側から見たら意味明瞭、政府のいう事だけ聞く国民、政府のいう事だけ盲信する国民、こんな操りやすい国民はないよとなる。


ルール大好き指示待ち人間にこういうジョークがある。


ある時旦那が自宅に帰ったら奥さんが裸で他の男とベッドにいた。


米国人:怒り狂ってその場で銃で撃ち殺す

ドイツ人:冷静に「君らに法的措置を取らせてもらう」と言う。

フランス人:自分も服を脱いでベッドに飛び込む。

日本人:名刺を持って二人の行為が終わるのを待ち相手に自己紹介されるのを待つ。



tom_eastwind at 08:16│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 日本ニュース

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