2011年06月19日

地元酋長ら 経産相に「おカネを!」 (2011年6月19日 読売新聞)

 海江田経済産業相が18日、水素爆発などの過酷事故(シビアアクシデント)対策が紙の上で書かれたことだけを見て適切として、実際は何のチェックもせずに停止中の原発の運転再開を要請したのを機に、再開の了承を取り付けるため、国から地元自治体への働きかけ(=カネあげる、駅作る、地元対策費をもっと払う〜)が本格化しそうだ。

 

ただ、全6基が「30年超運転」の古ぼけた仕組みの福島第一原発の事故と長期運転の因果関係など難しい事が経産省に説明できるはずもなく、県が説明を求めた「カネ寄越せ」課題への回答は不十分=カネ不足なままどちらも後手後手になっている。国が県や立地市町の野蛮でハングリーな酋長どもの理解を得るのは安くない。(藤戸健志、畑本明義、青木さやか)

 

 県内の商業用原発13基のうち、30年超運転の〈古い型の原発〉が8基を占めるており県は古い原発が壊れたら今まで「原発は安全ですよ〜」と住民を騙してきたことがばれるために「俺の時には壊れるなよ〜、先送りで壊れてくれよ」と安全性に神経をとがらせている。

 

満田誉副知事は「高経年化原発の安全確保に絶対などないと分かりきっているが少なくとも私の時代に壊れることがないように期間限定で良いから安全基準の策定を国に求めていく」と語る。県原子力安全対策課の岩永幹夫課長は「県としての判断はいつもいつの時代も自治省命経産省命綱であり中央にぶらさがっていく方針は現時点で何も変わらない」と副知事の逃げを突き放した。

 

 福島第一の事故を踏まえた全国の原発の安全対策に、国が一度は「お墨付き」を与えながら、一転して浜岡原発だけ停止を要請したことへの不信感も根強い。「浜岡原発と他の原発との違いは明確で東京に近いかどうかだけだ、高経年化対策についての説明は聞いても意味がない、しょせん不明確だ、そんなのは問題ではない、大事なのは浜岡を止める時に金を持ってこなかった中央のバカ政治家どもが地元に不信感を植え付けたことなのだ」。ある県幹部は中央のバカ政治家の子供じみたヒロイズムの非現実さを強調した。

 

 記者会見で原発村推進局の海江田広報局長兼経産相は、運転再開への理解を得るため、自らカネを握りしめて実弾射撃!地元自治体を訪れる意向を表明したが、県内の立地市町は浜岡で手土産を持ってこなかった中央に対して「今回も紙鉄砲(音はするけど中身空っぽ)じゃないか?」と慎重な姿勢を崩していない。

 

関西電力の高浜原発(4基)が立地する高浜町の野瀬豊町長は「事故の知見を反映させた新たな安全基準策定が作りようがないのはお互いに裏で了解済み、しょせん原発に絶対安全はない、大事なのは地元対策であり避難道路の整備についていくらカネをくれるのか一定の方向性を示してほしい」と要望。「半端なカネで計算相に来ていただいても意味がない」とくぎを刺した。

 

 関電の美浜原発(3基)がある美浜町の山口治太郎町長も「酋長として納得(=カネ、地盤、時期の選挙公認、世襲など」を中央政府が約束できなければ再稼働は認められない」とした。

 

いずれの村も酋長が納得できる回答がなければ原発再稼働は出来ず、かと言って原発が稼働しないと地元に仕事が回ってこなくて次の選挙で血祭りになる。どこの酋長も政府の再開の焦りと地元の兵糧を見比べつつ自分の再選と言う最終目標に向けたチキンレースの真っ最中だ。



tom_eastwind at 18:27│Comments(0)TrackBack(0)

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