2011年09月14日

ALL JAPAN

昨晩はラグビー全日本チームが山水にご来店、貸切夕食会を楽しんでもらった。ラガーマンはみな紳士的であり、ニュージーランドに来て久しぶりにしっかりと美味しい和食を食べさせてくれてありがとうって言ってくれてうれしかった。

 

山水は元々ちっちゃなレストランで通常は座席が38席しかないので30人近いチームの方が来て頂くと当然貸切になる。またマスコミ対策もあり一般客を入れる事も出来ない。

 

今回はお店から声をかけた。「良かったら日本味の和食をゆっくり皆さんの貸切で食べてください、日本から8,000キロ離れたアウェイで戦う皆さんに和食を食べてもらい日本語でリラックスしてもらい、少しでも協力出来ればと思います」と提案した。

 

オークランドと言う田舎街の和食レストランでもあり遠慮されるかと思ったが協会の方が快諾して頂き、後は店のダイレクターが走り回りあちこち大変な調整(マスコミの関係があるので当日まで絶対にばらせない)をしながら結果的にチームの皆さんに楽しい夜を過ごしてもらう事が出来たのはうれしかった。

 

それにしてもALLJAPANのメンバーの品の良さって何だろう?やはり英国直接仕込みなのかな、とにかく他のスポーツ選手にはない品がある。料理を食べる時、ありがとうと言う時、挨拶をする時。最近のスポーツが個人技術であり薄汚い恰好で中指を立てるのが格好良いと思ってるような連中からすれば月とすっぽんである。ALLJAPANの監督はキーウィであり選手にもキーウィが入っているが、彼らが本場仕込みのラグビー技術だけでなくラガーマンとしての姿勢も教えているのかなって思ったり。

 

個人的にはフジヤマのトビウオが頭の中にあった。戦後すぐの疲弊した日本から全米選手権に日本チームが参加した時、米国西海岸に移民していた日系ビジネスマンたちが彼ら日本チームのサポートを行い、宿が高くて手配に苦労していた時に自分の家のベッドルームを提供し、食べるものがない時に日本食を準備した日系移民が日本料理を作り彼らの健康管理をした。和田勇氏と言うロサンゼルスで野菜商店を営む人が中心となって活動して、これが後の東京オリンピックに繋がる。

 

ぼくら海外に住む日本人が自分の町にやってきたスポーツチームを応援する。それは、食べ物がある人は食べ物を提供し、宿がある人は宿を提供し、通訳が出来る人は通訳する、そうする事で日本にいる人々とぼくら海外にいる人々の心が繋がる。こういうのが海外に住む日本人の礼儀となって本国との良いつながりを作っていければと思う。

 

いつの日かぼくらの子供が日本に留学した時に「お、君はニュージーランドから来たのか。あそこでは俺たちのチームが君らのお父さんたちにお世話になったんだよ。さあ、何をしたいんだ、言いなよ」と言うようなつながりを作りたい。

 

何せ今の日本、1980年代にはメッセなどと立派な事を言って企業が金を出したが今はすっかり手のひらを返したように、頑張っている若者を応援しようとせずに自分の懐具合ばかりを考えている。けれど次世代の日本を作るのは今目の前でスポーツで頑張っている若者なのだ。彼らに出来ることで協力をしなくてどうするかと思う。

 

素晴らしい若者をサポートする事で彼らは喜んでくれるし、ぼくらもうれしくなる。それが社会の助け合い、お互いにあるものを出し合ってより良い社会を作る、そういう事ではないだろうか。

 

日本国内でもたくさんの企業がALLJAPANをサポートしていると思う。企業は健全な社会が存在しなければ継続できない。その為にもビジネスと同じ感覚で、次世代の社会を支えていく人を自分たちなりに出来る範囲で相互扶助出来ればと思う。

 

それにしてもALLJAPAN、勝ち負けの世界ではない、日本人にとって一番大事な礼儀の場面で彼らが礼儀を見せてくれて、それだけでオークランドの日本人に喜びを与えてくれました。そしてフランス戦ではキーウィも「日本人、やるじゃん!」と言ってくれました。日本人やっててよかった、ALLJAPANの皆さん、ありがとうございました。



tom_eastwind at 20:24│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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