2011年10月09日

aqua


今日は香港で人気のレストランAquaに行く。ただしこれは香港サイドにあるAquaだ。九龍側のaquaは現在改装中なので香港セントラルにあるアルマーニと提携したaqua。しっかしまあ、人口が多い事の強さって言うか北半球の教育熱心で良いものをどんどん作り出そうとするレベルの高さってか常に競争に晒されているから必然的に個性的で良いものを作り出そうとするのか、いずれにしても人間の創造性には感心する。


こんなん、どういう脳みそだったら作れるのか?それに、脳内で描くことが出来てもそれをどう実際の素材を見つけてきて、柱にしてもテーブルにしても椅子にしても自分の想像を現実にするのか、そういう意味で南半球でレストランをやってる自分が恥ずかしくなるくらいレベルの高いお店だ。


なんだか久しぶりにヒガミ(笑)を感じるほどの素晴らしいお店だ。セントラルのチャータービルの2階にアルマーニ旗艦店と同居して、ショップのあるフロアからエスカレーターで一階分上ったところの左手にレストランがある。上がったすぐ右手はバーになっており、レストランが夜の6時から開店なのにこのバーではウエイティングラウンジとして早い時間から飲める。


バーが目を見張るほどお洒落でありカウンターで働くフィジー出身のでっぷりしたお兄ちゃんとおしゃべりしたり、きりっとしたお洒落な若い香港人のバーテンダーとおしゃべりをして待ち時間を楽しむ。


フィジー出身の大柄な黒人のお兄ちゃんはいかにもフィジーだな、明るくて人生の幸せを目一杯楽しんでる。香港の若い彼はカウンター越しに明るく話しかけてきながらしっかりこっちを値踏みしているのがみえみえちゃん。けれど悪い感じではなく、「おれ、これくらいいけてんだけど、あんた、おれのどこの部分と会話したい?」って挑戦的な気持ちがあって気持ち良い。


そうそう、若いのだ、それくらい常に喧嘩する気持ちで上昇志向を持って仕事しようぜ。今の日本にはもうないよな、こういう喧嘩っパやい若者。日本じゃ規則や決まりや空気で、結局潰されるもんな。


バーを楽しんでからメインダイニングに移動するのだが、「テーブルの用意が出来ました、いつでもお声をかけてください、テーブルにご案内します」という声のかけ方もタイミングもうまい。それにしても北半球のホスピタリティの進化には目を見張る、南半球はどうしても遅れてるなって思う一瞬。


メインダイニングは明るくお洒落で素晴らしいのだが、何よりも良いのはレストラン入口からダイニングまでの通路だ。「ここから別世界ですよ、さあ、気持ちを整えてくださいね」ってメッセージがばんばん伝わってくる。すんごいな。


この店は和食とイタリアンを揃えているのだが、大トロ中トロも立派なものを揃えており、これは築地から空輸ですねってくらいの品質。見かけだけ和食ってんじゃなくて、和食はちゃんと和食であり、イタリアンで注文したミネストローネは単純にトマトソースの野菜煮込みではなく季節の野菜の美味しさをぎゅっとしぼってスープが邪魔をしないようにバランスが取れてる。


ただ単純に食べるだけの立場ならどうでも言いたい事が言えるだろうが、一つのレストランに全く違う二つの料理を並べておいて、それでどちらも美味しいのだからこりゃ確かに美食王国の香港でも勝っていけるだけのことはある。


美味しい食事に欠かせないのがワインだ。メニューを見せてもらう、おお、ここにもニュージーランド産のソービニヨンブランクがある。うれしくなって思わず「これちょうだい」と言うと白人の若いウエイターが「お、ニュージーランドですか〜」と言うので、ぼくも思わず調子に乗って「自国経済への貢献ですよ、ぼくはニュージーランドに住んでいるので」。彼は楽しそうに笑って「そうなんだ、ぼくはロンドンから来たんだけど、いいですよね経済貢献!、ぼくは今晩の仕事が終わったらギネスを飲まなくちゃ〜」。


こういう何気ない会話の一つ一つから相手の知識レベルが分かるしこっちが試されているのが分かる。


出て来た寿司、スープ、パスタ、いずれもよく出来ててスタッフとの会話も楽しめて、いいよなこんな店を作ることが出来るオーナー、うらやましいよな、おれも南半球だからと手を抜くのではなく、もっと自分のお店に時間をかけて感性を磨かないと、もっとやんなきゃ、そう思わせる今日のaquaでした。ほんとうに良い刺激、そんな時間は絶対に必要。


 



tom_eastwind at 14:51│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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