2011年10月16日

知られざる日本の特権階級

知られざる日本の特権階級 (宝島SUGOI文庫)
知られざる日本の特権階級 (宝島SUGOI文庫)
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わはは、笑える笑える、経歴詐称の項目では有栖川結婚詐欺事件が書かれているけど、2003年に事件が起こった時はなんで超一流大学を出たような人々があんなおっさんとおばさんにころりと騙されるんだろうねと不思議だった。

 

けどこの本を読むと「なるほどな、東京に住む特権階級な人々は思考回路が違うんだなってのがよく分かる。「ニッホンのマンナカ、トウキョデス〜」って感じで閨閥学閥派閥と、とにかく群れるのが好きな様子がよく分かる。みんなで手を握って輪になって「カラダのマンナカオヘソデス〜」と言う下の句を付けて歌えば楽しそうだ。

 

岸家佐藤家から鳩山家まで政治家の系列や正田家小和田家などの天皇家系列、財界では岩崎住友家、あげくの果てにはあそこの家みたいな閨閥から麻布>東大>財務相、政界+財界+官僚などなど、とにかく山手線の内側では誰とお付き合いしているかがとても大事なようで、だから特権階級の頂点に位置する天皇一族の結婚式にご招待されたともなれば誰もが有頂天、相手の身元を確認する事もせずに何が何でも祝儀袋持って駆け付けてって、それでころりと詐欺に引っ掛る。

 

彼らの思考回路は、高貴な痴、じゃなかった、血=金持ち=嘘つかないとなるようだし、高校の同級生や家格なんてのがパスワードになってて「開成!」と言えば「開けゴマ!」みたいな事になるし「福岡の麻生です」と言えば筑豊やくざの大親分ではなく「吉田茂の血を引く名門!」総理輩出の名家となる(そう言えば今回の暴対法で麻生さんどうするんだろな?)。

 

まあこれで相手の事前のボディチェックが不要なのでお気軽にお付き合いが出来て「肩書を外した個人」を判断する能力を持たなくて良いという生き方が出来る。「これ!いいじゃん世襲!ぬくぬくの環の中にいれば親の遺伝子をそのまま受け継いでも生きていけるってんだから自民党の三バカ息子を抱える政治家にとっては世襲の大事さがよく分かる。

 

中でも笑ったのが安倍元首相に関する話だ。

「彼は成蹊大学卒業後に南カリフォルニア大学政治学科に2年間留学していたと言われるが実際は途中で挫折。単なる箔付け留学の典型だった。田中真紀子には“バカだから成蹊大”と屈辱的だがある意味本当の事を言われてしまった安倍氏。学歴が政治力と無関係と言うことを悪い意味で証明してしまった」

 

ぼくのような九州の山猿の高卒からしたら全く手の届かない雲の上の世界の話です(笑)が、こういう世界が好きな人もたくさんいるんだろうな、平目、じゃなかった華麗な履歴書がすべて、一度入ったら出たくなくなる特権階級は要するに阿片窟みたいなものだろう。

 

まあ、あまり書いたらびんぼーにんのヒガミって言われそうなのでやめとくが、ぼくは子供に残すのは教育だと思っている。そしてぼくが教えたい事は答のない世界で一人で生きていく力であり胆力だ。どれほど賢くても胆力がなければいざと言う時に絶対に、絶対にと言ってよいが体も脳みそも動かなくなる。そして海外で生きていくには肩書きなどトイレの硬いボール紙みたいなものでほとんど役に立たない(少しは役に立つ、ひりひりすることを覚悟すれば)。結局すべては個人の能力と胆力である。

 

それにしても政治の閨閥や世襲、データで見せられると改めてニュージーランド政治との違いを感じる。この国では基本的に世襲と言う発想が存在せず政治家はボランティアの延長であり地盤看板カバンの相続などまず考えられない。あ、そう言えば政治家の父親から地盤を譲ってもらったら相続税を払うんでしょうね二世政治家さん(笑)。

 

今の日本がなぜこれほど長い間マヒ状態になり世界から取り残されているのか、この本を読むと悪い意味で良く分かった。受験頭は良いけど胆力のない連中が父親世代が一生懸命作った水洗トイレを1990年代にぴーひゃらやってバルブを吹っ飛ばしてしまい水がちょろちょろと溢れ出した。

どうしていいか分からずにトイレにふたをして先生にばれないように隠してしまい、周りの友達も気づいてても仲間だからと気を遣って注意もせずに放置、結局トイレの汚物が廊下にまで溢れ出してから「せ、せんせい、ぼくじゃないですー、あいつです〜」って言い出したようなものだ。

群れは強いが群れる奴は弱い。そして群れに入らなければ出世出来ない、これが今の日本の悲劇である。




tom_eastwind at 19:15│Comments(0)TrackBack(0) 最近読んだ本  | 諸行無常のビジネス日誌

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