2011年11月06日

格差と国際化

BLOGOSちきりん抜粋

先進国で連鎖する「格差に反対するデモ」を、発展途上国の人たちはどんな思いで見ているのでしょう?繰り返しになりますが、経済のグローバル化は、世界における「先進国と発展途上国」という境界線を無くし、代わりに別の境界線を引こうとしています。

 

これにより「先進国の市民という既得権益」もしくは「先進国生まれという既得権益」を剥奪されそうになった人たちが、世界中で抵抗を始めているのです。デモをする人たちはいったい、誰と誰が平等になる世界を夢見ているのでしょう?

★抜粋終了

 

国境がなくなるぞ、世界が変わるぞ、今の日本人の生活がちょんまげ付けてた江戸時代の武士みたいにあっと言う間に過去になって、国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国、じゃなかった全く別の国だったって事になるぞってのは10年くらい前に書いた記事だ。

 

けれどその頃は誰もそんな事を信じなかった。日本は強いのだ、外国人と戦っても負けないのだ、そう考えていた。そりゃ組織で戦えば日本は強い。しかしこれからは個人対個人の戦いになる、その時に中国の山の中でガキの頃から苦労して北京の優秀な大学出てMBA取って三か国語くらい普通にしゃべって世界に通用するビジネスセンスを持った若者と戦って勝つのか?

 

あの頃から海外から見てたら日本を取り巻く環境がどんどん変化しているのを感じていた。でもって今人々は初めて国際化の意味を知りはじめている。そしてビビり始めている。鎖国しよう、今の俺たちが世界に直接晒されたら勝ち目はない、TPPに参加するのは止めよう、国内需要だけで生きていこう、そして国内の格差を無くそうと言い出している。

 

しかし、TPPに参加しようとしまいと、好むと好まざるとに関わらず国境はどんどん低くなっている。誰でも出来るような単純作業はコンピューターが代行してくれるしネットが発達する事で事務作業はどんどん外注されてしまい日本国内で高い給料を払って工場を運営しなくてもベトナムあたりで自動車組み立てをやった方がよっぽど安くなる。

 

日本に残された仕事は最低時給で吉野家で働くかそれとも世界の若者と互角に戦える能力を持った高給を取れる技術職だけになる。

 

日本の工場で熟練工のような仕事も覚えようとせずに給料だけは日本レベルの毎月20万円をもらってた若者はタイや中国やベトナムの熾烈な競争の中でのし上がってきた若者には到底勝ち目はなく、給料を彼ら並みに5万円に下げるか失業するかしか選択肢がなくなっているのだ。

 

BLOGOSでも遂にそのテーマが一般的に語られるようになった。格差を語るうちに日本国内の格差ではなく世界を見たうえでの格差を考えればベトナムの若者に比べて日本の若者がどれほど贅沢を享受してきたかよく分かる。そんな若者が給料が上がらないから格差反対って、じゃあベトナムの若者は給料が安くても良いのか?彼らは貧しいままでよくて自分の貧しいのは是正すべきだってのか?

 

99%の人々が貧しい生活をしているとか言うけど世界の人口が70億人いて日本人は1億2千万にしかいなくてその1億2千万人はルワンダの人々のように虐殺されることもなく毎日コンビニで弁当食えてる現実を見れば、日本こそ1%の幸せを味わっているのだ。

 

1%の幸せを味わっていながら格差反対と言う名目で更に自分の人生を手抜きして誰かよその一生懸命働いている人々からお金を取ろうというのか?そりゃ通らんでしょ。今の日本の格差反対活動はまさに先進国日本人としての既得権益の防衛をしようとしているとしか言いようがない。

 

もう一つ面白い文章を見かけた。「牛丼が20%安くなって失業率が20%になるのがTPPだ」。なるほどうまい事を言う。まさにその通りだろう。しかし知りたい。ではTPPに参加しなければ牛丼は20%安くならず失業率が20%台にならないってのか?

 

日本人が個人として力を付けて努力しなければTPPとは関係なく確実に失業率は上昇する、それが国際化だ。現実に日本企業の工場が海外で操業する事態になっている。日本人に高い給料を払わなくてもベトナム人がずっと安い給料で優秀に働いてくれるのだ、何で日本人を雇わねばならないのだ?

 

つまり国際化とは世界的に見た賃金の標準化であり今までは国境で守られていた若者の雇用が海外に流出していくって事だ。TPPに参加しようがしまいがその流れは変わらない。出来ることは唯一、流れに流されて溺れるか、それとも最初から流れに飛び込んで泳ぎを覚えるかである。国家の問題ではなく個人の問題だ。

 

そして彼ら若者が失業保険を請求して医療が崩壊して老齢年金が崩壊して政府がインフレを起こして経済を崩壊させたら富裕層は今度こそ確実に日本から出ていく。そして誰も政府にお金を払う人はいなくなる。残った人々は他国の若者と比較して労働能力もなく起業するだけのやる気もなく誰かにぶら下がって生きていくしかないがぶら下がる政府にしてもお金がなくなってしまい財政破たんする。

 

これが今あり得るかなり現実的な筋書きの一つであることは、否定するのは自由だし僕を批難する事も自由だが、現実と言う大波が近づいている時にどーのこーの言ってもどうしようもないと思わないか?今日からでも英単語の一つでも余分に覚え、ユンボの操縦を覚え、とにかく自分の市場における労働価値を出来るだけ高める事だ。



tom_eastwind at 21:40│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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