2011年11月11日

江戸時代への回帰

ここ二日ほどのあちこちのブログの中で興味を引いたのが「江戸時代が壊れる時」だ。

http://agora-web.jp/archives/1401673.html

文章自体はまとまりがあるけど結論不明なのでどうかなと思ったがそれでも結論不明に至るまでの発想がとても面白い。

 

脱原発を唱えるのは左翼的な民社党、じゃなかった、今は社民党かな、政府からお金を取るのは大好きで自分に酔うのは大好きでけど現実を見ようとしない人々が集まる政党を中心としているが大雑把に言えば左翼と呼べる。本当の戦闘的な左翼は嫌がるだろうが。

 

これに対してTPP反対を唱えるのは国益一番!外交二番、夜のおかずは刺身に豆腐、って感じの、これはまあ右翼みたいに愛国大好きな人々である。

 

上記ブログの論旨が二つある。一つは今の日本のTPP反対派は脱原発であり、つまり右翼も左翼もなくて一つの愛国って切り口でまとまったという点だ。これに対してTPP賛成で原発もアリじゃないのと言ってるのは合理的に物事を考える人々だ。

 

そして次の論旨で出てくるのが、要するにこりゃ江戸時代を継承したい人々と江戸時代を断絶したい人々の戦いであり江戸時代の鎖国とは究極の経済封鎖で脱落者を出さない代わりに誰も成長しないけどのんびりと生活出来る社会だったが江戸時代を断絶したい人は世界を相手にもう一回明治維新やろうとしている人々だってこと。★

 

今まで例えばライブドア事件でも大問題になったが国益なんて使わなかった。当然だ、ありゃ国内問題だから出てこない。もうすぐしたら今までは植草氏のお得意専門用語だった「売国奴」が一般ブログでも見かけるようになるだろう。それから次に出てくるのが仕事を失う農協職員が政府のせいにして「首切り議員!」とか「市民カッター!」とかが言い出す。ところがその農協職員の体たらくはこんなブログで紹介されている。

http://agora-web.jp/archives/1401905.html

「福島農協の鈍さ」と称して福島の食糧を守るべき農協が何も活動せずにぽかーんとしている。その本当の理由は農作物の安全性を宣伝する為に一生懸命仕事するよりもいつものように何も作らず誰かにたかればいいや(いつもは農水省、今回は東電)と言う姿勢が見え見えだという論旨。★

 

こういうのは歴史を見ればいくらでも過去例があるわけで、どこの国も外気に触れた瞬間に大きく反応する。今まで鎖国状態だったのがいきなり開国して感情的に反応するわけだ。もちろん合理性などそこには存在しない、心の準備が出来てないし外気なんて考えもしなかったからひたすら感情論で相手をののしる言葉は出てきても具体的な数字や資料は一切出てこないのが特徴。

 

例えばニュージーランドも1984年まではかなり鎖国的国家であり世界で珍しく選挙によって社会主義者が政権を取り社会主義を100年近く成功させてきた国家である。脱落者を出さない代わりに計画経済で余計な事も革新的な事も一切認めない、要するに日本みたいな国だった。実際に1900年代初頭の世界の幸せ国家ではほとんどいつも3位以内にいた。現在の手厚い社会保障もその時代に構築されたものだ。

 

ところが1960年代から国際化の波が押し寄せてきた。それまで独占市場だった羊毛輸出に南米が参加してきて大量に安い羊毛を世界に輸出する事でNZの一番大事な市場が崩壊した。

 

そして同時にそれまで英国の食糧庫として多い時には農産物の7割近くを英国に送ってたのだが英国が経済不況でECC(今のEUの前身)に加盟することになり「悪いな、これからはフランスから肉と野菜買うのでさようなら」と三行半を叩きつけられた。これで食糧の輸出先の最大手を失ってしまったNZは、それまで使っていた国家の通貨ポンドをドルに切り替えて太平洋方面に輸出する方針に切り替えた。

 

ところが自由市場で売ろうにもNZ産は高いし特徴ないし、だから誰も買わないし。なぜ?つまり今まで社会主義だったから高い給料もらって決められた数だけ野菜作っておけばよくて品質なんて誰も気にしてなかったし改良なんてのは社会主義国家ではご法度なので誰もイノベーションを考えなかった。

 

結果的に1980年にNZはデフォルトを起こして国家倒産状態になった。この時に出て来たのがデビッドロンギとロジャーダグラス率いる労働党政権である。彼らは社会主義路線を大きく自由化路線に切り替えてそれまで国営だった公社を次々と民営化させて株式上場益でそれまでの対外借金を返済した。次に公務員の数を8万人から3万人に激減させ(民営化の為民間企業の社員になった)外国からの投資を受け入れ起業家が自由に活動出来るようにそれまで原則的に何でもNOだった政策や制度を原則的に何でもOKと180度切り替えたのだ。

 

その結果は明白に表れた。人々にやる気が出て来たのだ。そして1993年の赤字を最後にそれ以降18年経常黒字を続ける健全経済になったのだ。

 

けれどこの時もロンギ首相は多くの国民から売国奴と罵られ首切り屋と怒鳴られ1989年の総選挙では労働党が負けてしまったくらい国民に嫌われたものだ。ところがそれから4年後に景気が本当によくなって国家財政が黒字化されると国民は手のひらを返したように自由市場を謳歌して次々と新しいビジネスを立ち上げて、過去に自分たちが吐いた暴言を思い出すこともなくなった。全くどこの国でも国民とは自分勝手なものだ(笑)。

 

今一番景気の良い農業ビジネスをやってるのがフォンテラだがここは元々国営農業公社である。そして日本でキーウィ売って大当たりしているのがゼスプリだけどこれも自由化後に農家が競って良い品質のキーウィを作るようになっって大儲けした。最近はゴールデンキーウィも開発されて売り上げ急上昇、ついにはテレビ宣伝までするようになったが、これも遠因を辿れば1984年のデビッド・ロンギの時代までいくわけだ。

 

前回も書いたが日本が鎖国を続けるならそれも有りだと思ってる。但しそれに伴う痛みを、あ、そうか、喜びを知らないから痛みも感じないから大丈夫だな、じゃあこのまま鎖国でって事で良いと思うが、鎖国するとまた右翼と左翼に分かれて「じゃあ原発どうするの?」って話になるだろうな。

 

ぼくはTPPに関しては交渉には参加すべきだと考えているしそれは何度も書いたことだが僕自身がTPP発祥地の一つであるニュージーランドで生活をしてTPPの意味を外国から見ているから日本は参加すべきだと感じる。原発に関しては反対だ。脱原発よりも即停止にかなり近いものだがる。浜岡原発を止めただけでも良かったと思う。今後もやばい場所にある原発は順次停止していくべきだ。

 

ただし日本に住んでいながら原発反対の人々は明確な痛みを理解する必要がある。その一つはこれから停電が多発しても文句言うなよって事。渋谷交差点の信号が一時的に止まっても山手線が30分くらい動かなくても銀行のネットバンキングが使えなくてもいちいちヒステリックにどっかの党首みたいにキャーキャー文句言うなよってことだ。

 

もう一つは国内の製造業は確実に海外に出ていき国内の未熟労働者(若者)はこれからますます仕事を得にくくなるという事だ。電気代は工場運営にとって大きな問題だし水もそうだ。ベトナムやカンボジアで安い水と電気が手に入るなら原発を止めた日本に工場が残る理由はなくなる。

 

そしてTPP反対の人は後になって「日本経済の為に国際化しよう、外国に出ていこう!」なんて言うなよって事。だってその時には彼らに有利なTPPが出来上がってて日本には最悪の貧乏くじしか残ってないからだ。



tom_eastwind at 13:44│Comments(0)TrackBack(0)

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