2011年12月06日

世界汚職ランキング

★抜粋開始

[ベルリン 1日 ロイター] 汚職・腐敗防止のために活動する国際非政府組織(NGO)、トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)が1日発表した2011年の世界汚職認識指数(CPI)で、北朝鮮が最低のランクとなった。

同指数は、183カ国・地域を対象に、汚職・腐敗についての独立調査に基づいて10(非常に清潔)から0(非常に腐敗)のスコアでランク付けしている。北朝鮮は今年初めて対象国となったが、スコアは1.0でソマリアとともに最下位だった。

 

TIのマネジングディレクター、Cobus de Swardt氏は、ロイターの取材に「北朝鮮には抑制と均衡がない。公への説明責任はなく、司法は完全な政治的支配。その上、市民社会というものも存在しない」と指摘。深刻な汚職・腐敗で食糧の流通が損なわれている点が最も懸念される部分だと述べた。国連児童基金(ユニセフ)は北朝鮮に「栄養危機」が来ると警告している。

 

日本は8.0でドイツと並び14位。最も清潔とされた国はニュージーランド(9.5)で2006年以降6年連続でトップとなった。2位はデンマークとフィンランド(9.4)。アジア地域ではシンガポール(9.2)が5位で最高だった。

★抜粋終了

 

「世界汚職ランキング最下位は北朝鮮」は日本語として少し不明瞭ではないか、汚職ランキングを賞金ランキングと置き換えたら意味が分かるが、汚職ランキングで最下位だと読み方によっては北朝鮮が一番汚職が少ないという意味にも取れる。ならば清潔度指数とか清潔度ランキングとすれば意味明瞭になるかと思うのだが。

 

ところで日本の8.0はオリンパスのような民間会社や日本政府のような公的機関が公共への説明をせずに司法が完全に政治的支配されてて罪を罪として認識せず、その上、法の支配による市民社会が存在しない、あるのは空気が支配する村社会だけであるから西洋における汚職に当たるものだがないだけだ(笑)

 

オリンパスは東洋的な基準で考えれば何となくOKなんじゃないかって気がする。ニュージーランドでこれやったら確実OUTだけど日本なら先輩のミスをかばって何とか最後まで処理をした、ある意味よく頑張ったね的な部分も正直あるのではないだろうか。

 

全体のスキームとして現在までの情報であれば、これで上場廃止なら「そりゃないよ、会社の為にやったのに〜、けどまあうちの会社の時じゃなくて良かった」と胸をなでおろす多くの東証一部上場企業幹部の顔が目に浮かぶ。

 

閑話休題、ニュージーランドが世界で最も清潔と言うのは実際のビジネスを毎日しててよく感じる事だ。多くの在NZ日本人はキーウィは失敗ばかりして手が遅くてと文句を言うしそれは事実だが(笑)、決して何か悪い事を考えているわけではない。

 

スーパーのレジで釣銭を間違う事はよくあるが、そのような時に日本人は「まあ、何て事!私の釣銭をくすねたわこの店!」と怒り出すが、それはあなたがレジに立った時に釣銭をくすねようと考えているからだ。

 

この国で釣銭を間違って渡すのは単純に算数が弱いし注意散漫だからである。悪気はないのだ。悪気のある国から来るから悪気で考えて、人間性悪説で判断してしまう。けどこの国は人間性善説で出来ているから同じ状況でも正反対から見てて全く違う結論になるというだけだ。

 

何で世界で最も汚職が少ないかと言うのには当然原因がある。それはこの国の1840年代の初期移民の歴史にまで遡る。当時この国に集団で移住してきた人々は厳格なクリスチャンであり英国のあちこちの地域ごとに移住してきたから(移住するだけの資金があったから)地域の文化や道徳規範をそのまま持ち込んできた。そして彼らの一番の特徴は当時の英国で高い知識や道徳観を持っていたという事だ。

 

手に汗をかく労働を大事にして神との契約で嘘はつかず、家族を大切にして週末は働かず酒は日曜日は買わない(実際にNZではつい数年前まで日曜にお酒を売る事は禁止されていた)人々だった。

 

そういう人々を取りまとめて国家を率いたのがジョージ・グレイ第三代総督であり彼の理想とした労働者天国国家論が基礎になり、その後も優秀な首相を輩出しながら次第に法整備を人間性善説で行い、1900年代初頭には当時の世界で最も進歩した社会主義国家として女性の参政権、労働法、不在土地所有法(地主が小作人に土地を貸して金儲けをすることを実質的に禁止する法律)、老齢年金法など、現在の世界が適用している考え方を法制度として構築していた。

 

このように「真面目で教養と道徳があり労働者を大切にする人々」が「優秀な政治家による国家作り」を行い早い時期に法制度を整備して「人々が嘘をつかなくても生きていける世の中」にしたのがニュージーランドだ。

 

別にこの国を手放しでほめるわけではない。良い面があれば悪い面もある。ただ両方を合計すれば「北半球の人々に比べて年収は少ない」けど「無理して汚職をしなくても清廉潔白に生きた方が幸せになれる社会」と言う良い面の方が少しは多いと思う。

 

今回のオリンパスは日本だからこそ起こった事件でありニュージーランであれば損失が発生したらすぐに損切りして社長は特に責任を取る事もなく「ごめん!」で終わりである。犯罪にもならないし社長の解任にもつながらない。

 

何故ならこのような投資は事前に取締役全員でOKするという企業コンプライアンスがあるから「皆で失敗したので皆無責任」となり誰も責任を取らない、なおかつ頑張った結果の失敗は許すという社会システムが出来上がっているからだ。ある意味日本に近いがもっと現実的で法律がきちんと稼働している点が違う。

 

このあたり実際にニュージーランドでビジネスをしてみないと理解しづらいと思うが、ビジネスを狡猾に進める事はあっても汚職と言う手段に訴えることはしない。お金を出す方も受け取る方も恥ずかしいからだ。収賄者と贈賄者がお互いに顔を見合わせて「やっぱり、これ、やめようぜ・・・」と言う環境があるのだ。

 

このような背景はこの国に住むだけでは理解出来ない。やはり毎日のビジネスをちゃんちゃんばらばらとやりながら、その中でお互いに「これ以上やっちゃいけない」と言う空気、暗黙の了解を理解する必要がある。

 

てか、これもある意味日本と同じで唯一違うのはNZは法による事前合意の支配があるからルールさえ守っていれば何をやっても後で文句を言われることはないが、日本は村長や空気による気まぐれな支配があるからルールを守っても後でぐさっとやられるという点だ。

 

だからこそ裏ワザ、根回しが必要になり「おれ、今からこうするけどいいよな?」と空気を確認する。目に見えない空気はその場の感情に流されるから理論的思考を「冷たい」として受け入れず判官贔屓と言う流れを作る。会議の場で正論を理論的に語りその場ではOKなようでいて会議終了後に足を引っ張られるなんてのは今回のウッドフォード氏を見ればよく分かる。

 

何にせよビジネス的に清廉であるという事は間違いないがそれが日本的ビジネスと相性が良いかと言うと決して手放しで「はい、そうです!」とは言えないし現実にニュージーランドで日本人とキーウィが裁判をして日本人が契約の不備をつかれて裁判で負けた例もある。清廉であるという事と契約よりも付き合いを優先するという発想はないのでこのあたり十分注意して調査結果を理解してもらいたいと思う。



tom_eastwind at 16:53│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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