2012年01月03日
日本株式会社取締役社長 経産省
財務省に対して唯一本気で刃向える省が経済産業省と言う噂を聞いたことがある。財務省の懐に法人税を送り込む立場なのだから少しは喧嘩したって財務省もあまり文句は言えないってのがあるのかも。
日本政府は戦後日本の牽引エンジンとなって経産省を頂点とする国策会社組織を作った。つまりすべての指示は経産省から出てすべての民間企業は部下としてその指示に従い行動する。その際に例えば保護船団方式を取る業界で一匹狼をすると行政指導と言う注意が行われそれでもいう事を聞かなければ廃業に追い込み他社と合併させる、その際の社長人事は経産省の判断で決めるという、完全に上意下達な組織となった。
1980年代までは追いつけ追い越せで方向性も明確であり国内で保護すべき産業を決めて日産自動車とプリンスを合併させたり新日鉄を作ったり万博を成功させて、海外販売に向けては総合商社部門を有効活用して日本国内メーカーの商品が海外で販売出来るようにもなった。
ところがこの省も1980年代の世代交代の波でバブル崩壊の頃から危機感を持って働く官僚が次第に引退、苦労知らずの若い世代は勢いを無くしていき方向性を見失った。そこで多くの自由化が進められていき通産省はいつの間にか民間企業から反抗されたり時には若き起業家が堂々と刃向うようになった。
民営化などを国家が認めてしまえば日本株式会社の社長の席を失ってしまい日本経済はばらばらになる。
これではまずいと言う事で日本社会が再度経済産業省の下にしっかり集まるように各産業の締め付けが始まった。分かりやすい例が東京電力の国有化であり、東電の発注力は凄まじいものがあるので当然他の企業も逆らう事は出来ない。こうして世の中を社会主義化、と言うか日本株式会社体制に戻すのが現在のポイントであろう。
つまり民間から見れば「お上に逆らえば潰される、お上に従っていれば何も考えなくても仕事は配分される、思考停止で社長のいう事だけを聞いていればよい」となる。だから若者が生意気に起業などするのなら必ずどこかの傘下に入るか経産省の覚え良き筋の良い起業をしなさいよと言うことだろう。
経産省の話を書き始めればどこまでも長くなるけど、2012年の方向性としては1960年代あたりの日本民間企業の動きを見れば参考になるのではないかと思う。今経産省がやろうとしている事はまさに当時の歴史を再度繰り返す事なのだから。
でもって常に付け加える事だが経産省の進む社会主義が悪いと批判しているのではない。その方向性も間違いなく一つの解である。正解である。今まで何もせずに時間だけを無駄にしてきた事を考えれば社会主義の方向性も正解である。
とくに日本の90%の人々はそのような生き方に慣れている。残りの10%のうち5%の人々は支配者側に付いている。ぼくのような人間は最後の5%であり苦しくても自己責任で自分の頭で考えていきたいと思っているがそれが正解かと言えば、ぼくには正解であろうが他の人に正解であるとは限らない。
だから自分の性格や価値観に合った場所で生活する、それが社会主義化する日本でも毎日が楽しければそれもありだと思っている。いたずらに政府の批判をするよりも何が自分にとって正解であるかを長期的に考えてみれば違う視点もあると思う。難しい事は考えずに毎日働いて飯が食えるという生活も良いものだと思う。
これから起こる事は大きな産業構造の変化である。銀行はすでにメガバンクに集約された。商社も合併で数は減ったもののそれぞれが強い筋肉質になった。今回の大地震を機会に電力業界を解体して経産省が直接指導することになる。残された大きな業界はどこか?テレビや新聞などのメディア業界、建設業界、彼らを直接管轄する総務省や国交省などと経産省が日本再編=日本株式会社復活に向けて動くのは間違いない。