2012年01月10日

戦闘開始!

今年から海外規制強化が始まる。今年4月からの税法改正では海外資産5千万円以上ある場合は税務署に届け出となる。これは今年から始まる相続税強化と合わせて導入されるが主な目的は資産家の資産を海外も含めて把握して相続税が発生する際に55%持っていこうとする案だ。これならどんな資産家でも三代で普通の人々に戻る。武富士の仕返し始まる、と言ったところか。担当者も法整備で寝る時間もなかったろーな。

 

この方向性は非常に明確であり官僚たちは日本を以前のような「実態としての社会主義国家」に戻して資産を持たない人々からは消費税、資産を持つ人からは相続税で取り国民をもう一度「全員中流」に押し戻そうという動きである。金持ちも貧乏人もいない、誰もが平等になる。誰もが平等に公団住宅に住む、一軒家を持つ事を夢にして皆がアパートから自転車や歩きで近くの駅に向かい満員電車に揺られながら仕事に向かう。今回は昭和30年代よりは少し衛生環境が発達している、少なくとも自宅に風呂と水洗トイレが付いてるからだ。

 

これから大人になる人々は金持ちの生活を知らないから「平等にアパートに住む」生活が出来れば十分だし資産家は住宅などの資産を税金で持っていかれても数において圧倒的に少ないから社会への発言権もないし文句も言えない。

 

もちろんこれだけでは不足だから社会保障の削減も同時に行う。去年末にも書いたがこれから増え続ける老人対策である。

 

まずは後期高齢者対策として健康保険の自己負担をしてもらう。この一番の理由はお金を負担する事よりも少額であってもお金を負担する事を嫌がり病院に行く回数を減らす事だ。要するに病院は年寄りの集会所ではないしありもしない「安心」の為に高額の医療費を無駄使いするなと言うメッセージである。

 

そして郊外に一人住まいの老人を中核都市に集中させる事で公共サービスの一か所集中を行い効率的に提供できるようにする。この費用は政府が負担する。田舎の限界集落を支える費用に比べたら安いものだ。老人専用のバリアフリーの団地を作り団地の中に老人病院、郵便局、コンビニ、銀行の出張所を置く。これはNZのリタイアメントビレッジに近いイメージだろう。

 

この際「生まれた家で死にたい」と言うなら公共サービスは「不便」になる事を文句言わないでね、だって街に集まっている若者は自宅を買う事すら出来ないままにあなたたちの生活の為に高い税金を払ってるのに、生まれた家で死にたいと贅沢を言うのならその費用は家族で負担してねって事だ。

 

このような事を政府が実行出来るのは何故か?それは政府を支える東大法学部を卒業した人々は自力で東大に進み自力で公務員試験を受けて自力で政府のキャリア官僚になったという自信があるからだ。他の子供と同じように小学校に通っていてもそこから先はお金ではなく(ある程度は必要だが)自力で成長して競争を勝ち抜いてきた自信がある。そして政府に入り優秀な先輩から様々な薫陶を受けて学んだ。世間にごろごろしている、子供とテレビゲームを楽しむハッピーパパではないのだ。

 

早い時期から他の子供が遊んでいる間も勉強をして明確な目標を持って東大法学部に入った。他人に頼らずに生きてきた自信があるから彼らは常に一般大衆に「お前らだって機会はあったんだよ、その機会を選ばなかったのはお前の自己責任だよ、この国は貧乏人の子供でも小学校卒業でも首相でも知事にでもなれる機会があるし官僚になる事が出来る国だ、その国でお前らは楽に生きる事を選んだのだから社会の「中流」でいる事に納得すべきだよね」と言う意識を持っている。

 

更に親が高級官僚だった場合はすでに一般大衆は視野になく、あるのは国家天下と自分がどこまで富士山のような支配階級の中で上に登れば上るほど少なくなる椅子を目指して成長の階段を駆け上っていけるかと言う事で、最初から民の住む富士の裾野など見てやしない。彼らからすればすべての人々はあるべき場所におりあるべき生活をしている。

 

こういう人々が日本のど真ん中で集団となって明確な目標を持って進んでいるのだから一般大衆がちょっと逆らったくらいで勝てるわけがない。それは政治家も同様で、とくに今のように与党も野党も決定的な力を持っていない状態ではどちら側も官僚の実務能力が必要であり彼らの意見を取り入れていくしかない。

 

これを政治的に変化させるためには再度総選挙でどこかの党が衆院で三分の二以上、出来れば参院でも安定過半数の議席を持つ事だがそれも現状の選挙日程では2年は無理だろう。そうなると結果的にますます官僚主導の政治が進んでいくわけだ。

 

前回は小沢氏率いる民主党が衆議院で自民党を破り政治家が主導する方向性も見えたがそれも国策捜査による小沢氏裁判で小沢の引き落とし、その後の民主党も主導性を取れる人材がなく右往左往で潰れてしまい、当分政治主導は見えてこない。てゆうか、次に政治家が出て来ても優秀で能力のありそうな、そして官僚に逆らいそうな場合は早い時期に潰されるだろう。

 

政治家に政治主導を諦めさせて「昔の自民党時代のようにやりましょうや、あんたは表の顔、ぼくらは裏で仕切って、名誉はあんた、実利はうちらがもらいますよ、それで選挙に勝てるんだからいいでしょ、これでいきましょうぜ」そういう官僚の甘いささやきが聞こえてくるようだ。

 

いずれにしても2012年からの日本の方向性は決まった。国民もこの10年で十分に政治を知る機会があった。日本と言う世の中は収まるように納まった。これは1997年の官僚崩壊あたりから2000年代に入って起業家ブーム、そして2005年あたりから官僚が力を取り戻し始めて2010年あたりから今に至る必然の流れである。

 

そしてこのような社会主義は、それはそれで間違いないのだ。ただ個人としてそのような社会を好きかどうか、自分と同じ価値観として受け入れられるかどうかである。飛行機もインターネットもなかった昔ならいざ知らず、これからの30年間を自分の子供も含めてどう生きていくのか、それは一人一人が自分の頭で判断する事である。

 

年末から2012年以降に起きるであろう日本社会の変化を今日まで海外に住む日本人の立場から考えてみた。自分なりに答えも明確になってきた。明日からの仕事の準備も終わった。これからの5年はよほどの突発事件がない限り対応する戦略も見えてきた。本当に2012年は大きな変化の年になる。思いっきり気力、知力、体力、そして決断力を全開にしていこう。

 

よっしゃ、明日からエンジン全開で今年を駆け抜けよう。



tom_eastwind at 17:53│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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