2012年01月18日

りょうまくんはもう年長組だ

今日は個人的な日誌なので興味のない方は無視してください。

 

りょうまくんはもう年長組だ。14歳になり一人で自宅にいてもOKな状態。NZでは13歳までは子供を一人で放置すると親が逮捕される。このあたり、日本ではちょっと信じられないくらい社会が子供を守るという発想が徹底されている。

 

父親が10歳の娘と一緒にお風呂に入って写真を撮ったら「幼児虐待及びポルノ規制」で速攻たい〜ほだし、10歳の男の子がやんちゃしてその子の父親が頭を叩いたらDVたい〜ほの国だ。夫婦喧嘩で大声出してたら隣家が警察に通報して親父逮捕なんてのも珍しくない。

 

日本における子供の虐待とかは、キーウィからすれば信じられないだろうな。毎晩子供が親に殴られて泣いてるのに「家庭内の問題」として何もしない警察や自治体などNZではあり得ない。ぼくはかなりNZの価値観を身に付けてはいるが基本的に日本人なので子育てについてはかなり意識しておかないとやばい。

 

りょうまくんは今日もStLukesWarHammer(ゲームショップ)で楽しく遊んでいる。スクールホリデイは今月末までなのでこのお店は毎日20人以上の子供たちが集まり三々五々、ゲームをしたりプラモデルに塗装をしたりおしゃべりしたりで楽しんでる。これは子供同士のコミュニケーションの勉強の場として有効である。

 

つい2年前までは政府認定の自閉症だったりょうまくんも、今ではゲームショップの年長組で10歳くらいの子供たちを相手にゲームのルールを説明したりして楽しんでる。ほんと、自閉症ってのは治る病気であり環境さえ変われば子供が心を開いていく。

 

日本のようなストレスの多い社会では感受性の強い子供は殻に閉じこもってしまい出てこようとしない。それがいつまでも続くうちにいよいよ心が壊れていく。こうなるともう救いようがない。

 

りょうまくんの場合は生まれついての自閉症で、香港時代から政府認定の養護学校に通いNZに来てからもずっと養護学校通いだった。二か国の政府から自閉症認定されう子供なんてあんまりたくさんいないだろう。

 

NZでは子供を出来るだけ外に出して普通の生活をさせようとする。生卵の殻をぶつければそりゃ壊れるわな、けどゆっくりとゆで卵にすれば殻をむいても中身は壊れない。その、ゆっくりと実社会につけていく方法がNZでは実によく出来ていると思う。幼児教育を専門に勉強したプロが自分の仕事を金儲けの為ではなく社会の為に役立つだろうと考えて参加している。

 

そうやって今りょうまくんは毎日楽しく子供たち同士で遊んでいる。このWarHammerゲームのよい点は、算数と英語が同時に勉強出来る事だ。戦争ゲームなのだけど自分の部隊が相手の部隊とさいころを振って出た目で駒を進めるのだが、そこで足し算引き算を覚える事が出来る。

 

14歳で足し算引き算かよ?と思うかもしれないが2年前まではまともな言葉も話せなかった事を考えれば素晴らしい進歩だ。でもって英語の勉強とは、このゲームはかなり複雑であり駒の名前から始まって動かし方や戦い方について英語で学ぶ必要がある。この本が英語の構文や単語を覚えるという意味で役立つ。

 

りょうまくんは学校の教科書を開くと3分以内に寝るという特技を持っている(笑)。けれどゲームの本であれば一晩中でも寝ずに読むことが出来るし親が何を言わなくても一生懸命算数をやっている。

 

一体親が子供に求める事って何なのだろう?普通に育ってくれればいいと言いながら塾に送り出し夜中まで勉強させて、それで出来上がった子供が大学に行っても周囲は更に優秀な子供ばかりで結局まともに就職も出来ないなんてなったら、親が何の為に子供に教育を押し付けているのか意味不明である。

 

ちっちゃな子供は非常に感受性豊かだ。不登校になる子供の特徴は、心が優しいとか思いやりがあるとか、要するにまともな子供なのである。まともだから学校の授業の押し付けが理解出来ず、間違った事を教えられてる事に耐えられずに不登校になる。

 

そのような子供の感受性をすりつぶして箱に押し込んでところてん状態にしていくのが日本の教育だ。そのようなロボット製造装置にはめ込まれた子供は本当にかわいそうだ。大人になって海外と取引をするにしても全然ついていけない。感情がないから相手の言ってる事が理解出来ない。

 

南米のタンゴの先生が日本で暫く日本人向けに教えていたが、彼がいつも言ってたのは「君らは形だけは覚えるが感情がない!何故今その手を開くのか?何故いまそのあごを上にあげるのか?一つ一つが自分の思いを表現するための手段なのに、君らはビデオで見た形をまねしているだけじゃないか」と言った。

 

日本人のバレー教師が日本人に教える時も同じような悩みがある。「あなたたちは感情があるの?形じゃないでしょ、自分の内部にある気持ちを人に伝えるのが踊るって事でしょ?どうして分からないの?」

 

バリシニコフと言うバレーダンサーがいる。WhiteNightと言う映画の始まりの部分で見せる彼の踊りは、もう言葉を必要としない感情の発出であり、当時踊りなどをばかにしていた僕の頭を思いっきりぶん殴ってくれた。

 

それ以降も本当の踊りとは人々を感情の渦に巻き込んでくれるものだと思わせる作品に巡り合えた。最近で言えば去年観たBlackSwanだ。

 

りょうまくんは本当に心の優しい子供だ。親ばかではなく本当にこの子は人に対して優しい。りょうまくんは自分が自閉症時代だったころの事もちゃんと覚えている。ぼくがりょうまくんを怒鳴りつけて彼が傷ついても、それでも親を許してくれる。「仕方ないもん、ぼく、ばかだったからね」

 

親が子供を教育するという。けど教育の素人が、ましてや自分たちがところてん教育を受けて洗脳された状態で、何を子供に教えるというのだろうか。

 

りょうまくんの学校の成績はあまり良くないので教育熱心なお母さんは今からりょうまくんの将来の事をいろいろと考えている。ぼくはりょうまくんが心の優しいままで大人になってくれればそれで十分だと思っている。このあたりはコップに半分入ってる水を多いと思うか少ないと思うかの違いだろう。

 

ぼくはこのままで良いと思ってるがお母さんはもっともっとと考えている。いつもの事でお母さんの意見が通るのが当家の習わしであり(笑)、それはそれでお母さんの希望が叶うようにお父さんが一生懸命働くしかない。子供の為ならどれだけでも働けるもんね。



tom_eastwind at 16:22│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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