2012年02月16日

時間を買い始めたキーウィ

映画監督のジェームズキャメロンがニュージーランド北島最南部のワイララパに2千万ドルで牧場を二つ買って今年後半から家族で移住する。ワイララパと言ってもピンと来ないけどウェリントンのちょっと南と言えばイメージわくかも。

 

彼の作品はタイタニックとアバターが有名だけどぼくとしてはエイリアンやターミネーター、古くはabyssなどで彼の名前が頭に入力されている。カナダ出身のキャメロン監督は牧場経営をしながら映画作りも、あ、逆か、映画作りをしながら牧場経営もするとの事。

 

でもって何でウェリントン?かと言うとここにはwetaと言う映画会社があり、指輪物語3部作(Road of the Rings)あたりから映画界では非常に有名になり、ピーター・ジャクソン監督率いる特撮を撮らせれば天下一品部隊がキャメロン監督の目に留まり「アバター」では特撮に参加したいきさつがある。

 

カナダだって良い場所いっぱいあるのにって感じだが、白人にとってのニュージーランドは北半球とは一味違った何かを感じる場所なのだろう。北半球に移住した労働を大事にする白人がいつの間にかお金の世界でマネーゲームをするようになり、すっかり忘れてしまった手を使って働くとか他人を信用出来る人間性とか堂々と空を見上げて楽しめる空気とか。

 

そうそう、空気と言えば北半球と南半球の大気汚染度をぐぐって見ると面白い。世界で今一番汚くて真っ赤になってるのが中国東部で日本は真っ赤と黄色がぐちゃぐちゃに混ざっている状態。ところが同じ地図でも南半球を見ると真っ青。あの色の違いを見るだけで移住したくなるよなって感じだが、実際に北米から移住してくる有名人が後を絶たないのは面白い現象だ。彼らはもしかして北半球の将来の何かこれから起こりそうな陰謀事件でも知っているのか(笑)?

 

彼に限らずだが平和で静かな生活を求めてニュージーランドに移住する人は毎年増えている。オークランドは1990年代は人口100万人都市と言ってたのが今年はついに150万人を突破する。2030年には200万人を突破すると市役所も予測しておりその為に道路拡張など都市整備をせっせと行っている。現在のハーバーブリッジも渋滞が激しいので次はトンネル掘るかもう一本橋架けるかで専門家の間で議論が進んでいる(筈だ、さぼってなきゃ)

 

毎年平均して約2万7千人がオークランドに移住してくるわけで、日本ならちょっとした町が毎年一個づつ出来上がるようなものだ。これはいくつかの要因があるが子供を産みやすいので特殊出生率が2.0を超しているだけでなく今までニュージーランドからシドニーや英国など出稼ぎで流出していた人々が出稼ぎ先から戻り始めて(20世紀は流出が5万人流入が3万人くらい)、流出3万人に対して流入が4万人くらい。それに海外からの移住者が年間3〜4万人だ。だから多くの移住者はオークランドにやって来てる計算になる。

 

ほんとはワイララパのような田舎がニュージーランドらしくて良いのだがキャメロンクラスの映画監督なら良いとしても普通の人にはちょっと住み辛いので、仕事や学校の都合が良いオークランドに自然と人が集まってくる。そして以前はシティと言っても夜間人口がほとんどいなかったが現在はあちこちにアパートが建設されて大学に通う学生やシティで働く人々が激増した。

 

その結果として夜間人口に対応する為にシティに大手スーパーマーケットが最近立て続けに2店出店してきた。一つはうちの会社から歩いて1分、道路の向かいにあるカウントダウン、そしてもう一つがぼくもよく利用するニューワールドだ。

 

両方のお店の特徴はお一人様用やカップル用の作り立ての料理が並んでいることだ。今までのたいていのスーパーと言えばモールの中にあり4人家族が郊外から買い付けに来てトロリーいっぱいに冷凍食品やコーラを積み上げてたのが普通だったがシティのニューワールドでは完全に個人向けになっている。

 

ニューワールドはクイーンストリート沿いのBNZビルの地階にあり(山水レストランのすぐ下にあり歩いて10秒)エスカレーターを降りるとすぐに出来たてのローストチキンや焼き立てのパン、フルーツの盛り合わせパックが所狭しと並んでおり(家賃が高いのだろう)、籠を持って順々に回っていけばレジにたどり着くころは今晩の夕食の材料が全部そろってるって事になる。セルフレジが4台ありコンピューターを使い慣れた世代にはレジで人を話しをするよりもこっちの方がずっと気軽だ。

 

オークランドも次第に都会の様相を見せてきて、慣れないキーウィだとこのスーパーが一方通行の作りになってる事に気づかずあっち行きこっち行きしてその度に人にぶつかり、Sorryとか言いながらレジに行くとセルフなので自分が持ってるものをどうかざせばいいかも分からずにおたおたする事になるだろう。なんだか初めてニューヨーク見物に来た中西部の田舎アメリカ人が忙しそうに歩くニューヨーカーに道を尋ねて「あの、これ、どっち行けばいいんかな、それともおれ自分でクソッタレって言おうか?」なんて事になる。

 

オークランドは南北に長い都市であり東西の一番細いところは南太平洋とタスマン海に挟まれて13kmくらいしかない。オークランド南部は地域にもよるが全体的に治安も良くなく新しくやって来る人には住みにくい。なので移住者は自然と北部に住むようになりアルバニーあたりがすでに新興住宅街として大開発されているがこれからはさらに北部が開発されていくだろう。

 

アルバニーから車で10分ほど行ったところには山の斜面を利用した人工スキー場がありそこは現在は牧草地帯であるが、この地域に住宅開発が広がってくるのも間もなくだろう。

 

中食が増え始めたという事はオークランダーの生活形態が変化し始めたということだ。料理を作る時間を惜しんでそこそこ美味しい出来合いのものを買って自宅に持って帰って奥さん又は彼女と一緒に食べる。食べ終わればささっとお皿を洗うかまたはプラスチックのお皿をそのまま捨てて、あとはテレビを見たりして一日の残りの時間を楽しむ。

 

こうやって見ればオークランドで次に出てくるビジネスがだんだん見えてくる。そう、日本が3世代家族から4人家族へ、そしてさらに核家族化していった時代に都会で何が売れていたか?オークランドでもこれから同じような状況が起こるだろう。

 

そしてこれから人々は品質管理を求めるようになる。そう、まさに日本人が一番得意としている高品質サービスがすべての産業に求められていくだろう。時間を惜しんで中食を買うのだ、次に来るのは何でもかんでも自分でやるDIYキーウィスタイルではなく、シティライフを楽しみ時間を惜しんで他人にプロとしてのサービスを提供してもらいサービスそのものを楽しむシティライフってことになるだろう。

 

ここにビジネスチャンスを見つけ出すのか何も気づかずに通り過ぎてしまうのか、それはすべて本人次第であるが日本人には有利な機会がやってきたと思う。



tom_eastwind at 16:58│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔