2012年02月25日

朝鮮戦争 金日成とマッカーサーの陰謀 萩原遼

1950年に始まった朝鮮戦争。侵略した韓国から撤退した北朝鮮部隊が残した160万ページもの米軍文書を作者は3年がかりで読破、ついにその全貌を解明する。

 

1945年、日本の敗戦により北朝鮮は独立しソビエトの指導の下に新たに共産主義国家として立ち上がった。その時にソビエトから連れてこられて人々の前に立ち「こんにちは、ぼく、金日成です」と言った彼、「金日成」は一般的に日本で知られている「白頭山の虎」と呼ばれた抗日パルチザンの金日成ではなかったのはウィキでも書かれている。実際の金日成はロシアによってコントロールされた戦闘実績も満足にない傀儡の若者であり北朝鮮が露によって独立した際には弱小政権であったが、そこから様々な策謀を用いてついには反対派閥をすべて潰して北朝鮮を押さえた。

 

1949年に中国共産党が国民党を台湾に追い出して中国独立を果たすとそれを見てた金日成は「ぼくちゃんもできるもんね」とばかりに韓国侵略作戦を立てて実行する。彼の目の中には韓国の李承晩大統領しか見えておらず、あんなもん3日で叩きだしやる、ソウルさえ押さえればこっちのもんだってな感じで侵略したものの、ソウル政府は南へ南へと逃げ続け遂には釜山に閉じこもり泥亀のような籠城作戦を取る。

 

38度線から南進を続けた北朝鮮部隊は釜山まで戦端を伸ばしきったところでマッカーサーによる米軍の介入、仁川上陸作戦で北朝鮮軍は完璧なまでに兵站を寸断されシャーマン戦車に次々と部隊が攻撃され壊滅的な打撃を受けて最後には夜の暗闇の中を山の尾根を抜けてほうほうのていで北朝鮮に戻るが、兵士約10万人を送り込んだ韓国から戻ってこれたのは一握りであり、米軍の北進で平壤まで侵略され鴨緑江に叩き落とされる寸前、中国共産党正規軍の応援によりなんとか米軍の侵略を食い止め、そこから膠着状態が続く。このあたり最近の韓国や中国の映画で舞台にされている。中国映画だと「Assembly」の出来が良い、日本名はわからない。

 

米軍が日本と戦って降伏させた結果として北朝鮮が独立出来た。その事実を知っている当時の北朝鮮人民(海州公安幹部)が「日本が負けたのは米軍の原爆のためだ」と言うと、進出してきたロシア(ソビエト)は「日本の敗退は偉大なロシア赤軍によってもたらされらものであるにもかかわらずそれをないがしろにしてソ連赤軍の偉大な役割を否定する反動的な言辞である」として逮捕された。

 

「解放されたというが北朝鮮のどこが良いのか?いろいろ言うけれど倭政時代は金さえ出せば寝ながら旅行が出来た」倭政治台とは日本統治時代のことであるがソ連軍による解放後は旅行の自由さえなくなったというのである。この発言を行った黄海北道平山郡に住む趙牧師はほかのいくつかの発言と合わせて1947年3月に反動宣伝罪で懲役5年を科されている。

 

ロシアによる北朝鮮支配はまさに言論統制でありロシア国内で起こったスターリンによる粛清と全く同じ構造であった。恐怖による支配。1946年に北朝鮮で起こった食糧危機の際、北朝鮮で作られた米のほとんどすべてがロシアに送られて多くの餓死者を出した。このような事実も一切表に出ていない。

 

1949年、中国共産とは北京を掌握して中共政府を樹立する。台湾に追いやられた国民党蒋介石を支持していた米国はすっかり意気消沈した。1950年1月5日、トルーマン大統領は「台湾が中共に攻撃されてもアメリカは介入しない」と声明した。1月12日、アチソン国務長官はいわゆるアチソンラインを公表した。すなわちアメリカの防衛線はアリューシャン、日本、沖縄を結ぶ線であるとのべて、韓国と台湾を外した。

 

これを機会と見た金日成は一気に韓国占領を目指すが、実はこれが米軍タカ派マッカーサーの陰謀であるとは思いもよらなかった。米軍内でさえ厭戦気分のあったアジア戦略で北朝鮮をわざと暴発させることで否応なしに米軍を動かし仁川上陸、共産党=アカの粛清に取り掛かるべくマッカーサーは動いた。

 

マッカーサーは早い時期から北朝鮮軍の動きは把握しており彼らの暴発をずっと待っていた。そして一旦暴発するとすぐに軍隊を総動員して北朝鮮を叩き、アカ狩りを行ったのだ。思うに米国指導者はいつもこのような手段を使う。第二次世界大戦ではモンロー主義であった米国はもともと日本と戦争をするつもりはなかった。ところが日本がパールハーバー奇襲を仕掛けた事で「ふざけんな!」ってことで戦争が始まった。しかし事実は米国政府は日本の動きを把握した上でわざとパールハーバーをやらせて国民に「戦う十分な理由」を与えたのだ、自国兵士の死をもって。

 

2001年も同じ事件が起こった。911は米国政府一部の人々によって主導されたがその結果として何が起こったか?石油メジャーで罪、じゃなかった財を成したブッシュ家を「もっと美味しいネタがありまっせ〜」と仕掛けた連中はわざと911を起こしてアフガニスタンやイラクへの侵略戦争を行い石油利権を得るために米国の若者の命を捨てさせた。

 

実際には更に裏があり、米国は利権を得るどころか中東から撤退することになるのだがそれは予め仕組まれていたというものだ。わざとばかブッシュに勝ち目のない戦争をさせて米国を悪者にすることで「もういいや、警察国家は出て行ってくれ、これからおれたち自分でやるよ」と中東を結束させて世界が多極化することを狙った人々もいる。

 

まさに世の中はからくりの連続であり表が裏になり裏が表になり、よほど基礎知識をしっかり身に付けてないと理解不能であるが、そのようなことは朝鮮半島でも起こっていたのである。金日成という傀儡とマッカーサーというタカ派と当時の日本で朝鮮戦争をいかに自分たちのプラスになるかを考えた官僚たちと政治家。この一冊は朝鮮戦争そのものをテーマにしている。次に取り掛かるのは「金正日 隠された戦争」、息子さんのお話ですな。



tom_eastwind at 15:49│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 最近読んだ本 

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