2012年03月20日

リカ

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恐いですね、こういうネタ。タイトルが面白くてホラーと知ってて買ったんだけど、いやさこりゃヤバイわ。つーかバカな男には必ずつきまとうネタですな。

 

都内の出版社で普通に働くおじさんが40歳すぎて子供もいるのにネットで出会い系にハマる。普通の女性には「ばっかじゃないの?」って思う設定だけど、今時こういう馬鹿、現実にいるんだろね。

 

物語は今時のスピード感ある語り口で最後まで引っ張ってくれて読み応え充分。読後感を考えてみたがこれも十分納得出来る。ああ、そうか、こう終わるのか〜。主人公と奥さんが事件現場で毛布にくるまりながら目の前を走る救急車を見つめる場面。これって以前に読んだ「長い腕」と同じような米国のスピード感のある映画を観てる感じ。一気に盛り上げてくれて最後に綺麗にストンと落としてくれてやっと全体がまとまる。

 

しかし男ってバカだな〜、何の知識もないまま軽い気持ちで手を出したネットで人生を棒に振ることになるとはまさか思わなかっただろう。自分も男なのでなんともいいようながないが、ネットにアクセスするバカの気持ちだけは分かるだけに「おれも馬鹿だな〜」って思う(苦笑)。

 

それにしても時代は完全にネットにシフトした。今更40過ぎだからあまりコンピュータの事分からんでもいいやって甘えが穴居人を作り上げるが50代になった時に逃げ切れなかったらどうするのか?それこそ人生で最も大事で失敗の出来ない時期にパソコンの使い方が分からないからってだけでネット的に丸裸にされて自分のすべての情報が晒されて逃げようのない事態になる。

 

ぼくが20歳代の頃旅行業界では「英語なんて出来なくても関係ない、営業が一番大事なんだよ」とタバコスパスパ吸いながら威張ってた先輩がいたけど彼はその後どうなったのかな?田舎の弁当屋さんで弁当売ってるのかな?30歳代になって香港でも次第にメールアドレスが普及してきた頃「そんなメールなんてどうでもいいんだよ、だいじなのは会社の看板だよ〜」とか言ってた人もいた。旅行業が情報産業であり情報格差がビジネスになるという事を理解出来なかった彼は今何をしているのか?海運や空運や宅配もある会社なので看板を利用して大型トラックの免許を取って自分の適性に合った仕事をしているのだろう。

 

1990年代のバブルが崩壊して長期信用銀行や拓銀が倒産した時、それまでは大学を出て銀行に入社出来た事で一生世の中の勝ち組に回ったと思い込みその後の努力をしなかった人々は今そのツケを払っている事だろう。そしてこれからも同じような事は起こる。今は景気の良い総合商社でも二昔前の商社不要論時代には随分と厳しいリストラをされた。

 

世の中いつ何が起こるか分からない。出来る時に出来るだけの情報武装をしておけば何かあった時の対処法を思いつく。ヒマにあかせて出会い系サイトにアクセスしてドボンしてからでは間に合わない。ふざけた気持ちで自分の人生を棒に振るようなバカはすんなよって意味で40歳過ぎの男性に読んでもらいたい本だ。



tom_eastwind at 19:57│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 最近読んだ本 

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