2012年05月01日

日米共同宣言

★抜粋開始

【ワシントン時事】野田佳彦首相は30日午前(日本時間1日未明)、ホワイトハウスでオバマ米大統領と会談した。両首脳は、日米がアジア太平洋地域の平和と繁栄に「役割と責任」を果たしつつ、地域の秩序づくりへ連携していくことで一致。軍事・経済両面で台頭する中国をにらみ、安全保障協力を進展させる方針を確認。両首脳は会談後、共同記者会見に臨み、包括的な同盟深化に向けた共同声明を発表した。

★抜粋終了

全部取り上げてたらそれだけで一冊の本になるので本文は下記をお読み頂くとして。

http://i.jiji.jp/jc/i?g=pol_30&k=2012043000239

 

ポイントだけ拾って「こう読む」を入れてみたい。但しこれは新聞からの「伝聞」なので入手情報に違いがあればお詫び。

 

 首相の公式訪米は、2009年9月の民主党政権発足後初めて。両首脳は会談で、同政権下で揺らいだ日米関係を立て直し、新たに発展させる足掛かりを築きたい考えだ。

★小沢と鳩山の急速な中国寄りに頭に来たペンタゴン系が鳩山を普天間で蹴落とし小沢を告訴して、民主政権後急速に中国寄りになった日本を引きとめようとした。ペンタゴンの戦闘は成功したが時代はすでにオバマを支持するモンロー主義者の時代だ。

 

両首脳が日米関係を立て直すってことは、オバマも「うちの跳ねっ返りが悪かったな、おれは日中関係も一定の範囲内で認めるしアジアから米国は引くし小沢も無罪にしたんだから、長い付き合いなんだからもちっと話し合いながらいこうぜ」だろう。

 

野田首相はそれに対して「日本は元々日米同盟だし俺も一気に中国に偏るなんて考えてないっすよ、お互いこれで次の選挙に勝ったら長期政権、仲良くやりましょう」となる。

 

野田にとってはこれで次の選挙で首相が継続出来れば良いし(日本の首相選出に米国が無関係だった事は戦後何度あったのだろうか?)オバマとしてはこれから古き良き製造業の時代に戻り輸出先に日本を出来ますよってメッセージを国民に送れるから秋の選挙に向けてプラスである。

 両政府が取りまとめた共同声明は「未来に向けた共通ビジョン」と題し、日米同盟を「アジア太平洋地域における平和、安全保障、安定の礎」と位置付けた。

これはアジアから米国は引くけどこれかも日本とは仲良くしたいねって儀礼的なお話。ポイントはここから↓。

 

その上で、こうした課題を実現するため「あらゆる能力を駆使し、われわれの役割と責任を果たす」と明記。

★アジアって言葉が曲者だけどそれはあとで分かる。まず「あらゆる能力」とは外交能力、特に外交の先端にある圧倒的な軍事力を保持していこうね、であることが分かる、お互いに出し合おうね、これをどう実現するかって部分で次の「役割と責任」ってのが骨で、日米は今せっせと日本自衛隊の司令基地と厚木とかの米軍司令基地を同じ敷地内に移転させて自衛隊即応部隊は実質的に米軍の中国抑制力になるって意味だ。

 

米国の役割は戦い方を教える、つまり米軍の圧倒的な情報収集力によって得たミサイル発射情報や中国海軍情報を教えることであり、日本の責任とは“金出せ”だ。今回の追加予算だけでも300億円という数字が簡単に日本側から思いやり予算として出てきてる。普通300億円あったら何が出来るかな?

 

オバマ政権のアジア太平洋重視路線を踏まえ、日米が手を携えて同地域の秩序づくりを主導する姿勢を鮮明にした。特に、安全保障面では、先に発表した在日米軍再編計画見直しの中間報告に沿って、中国の海洋進出を念頭に、日米がともに警戒監視活動に当たり、自衛隊や米軍施設の共同使用を促進する「動的防衛協力」を打ち出した。

★ここがコツであり上記の文章の具体的裏付け。米軍と日本自衛隊は太平洋においてひとつの軍隊として戦いましょう、けれど命令を出すのは米国ですよって事。

 

★一方、野田政権が交渉参加を目指す環太平洋連携協定(TPP)に関し、共同声明は「2国間協議を引き続き前進させる」と言及するにとどめた。会談で首相は、国内の根強い反対論や慎重論に配慮し、交渉参加表明を見送ったとみられる。 

★ここはどじょう踊りです。どじょうは「いやちょっとさ、国内まとめるのに時間頂戴よ、てか何か良い案を米国から出せるかな?」って駆け引き。もちろん実際に裏で操ってるのは外務省だが、ここで無理にTPPを出さないところがうまい。

 

★会談では、長距離弾道ミサイルを発射し、核実験の強行が懸念される北朝鮮情勢についても協議し、引き続き緊密に連携して対処していくことを確認。

★これも大きなコツで、北朝鮮はこれからも締め付けようぜ、中国経由でね、なんだが、ぼくは正直言って北朝鮮の暴発が原発よりも怖い。北朝鮮の独裁体制は独裁者がチャウセスクのような死を迎える恐怖から逃れるためには平気で日本にミサイルを撃ち込む。外交の通じない相手であり中国を巻き込んでしっかりと緊密にやってもらいたいと思う。

 

どこの国でもそうだが自国民に愛国心を(表面的にでも)持たせるのは外国との戦争だ。北朝鮮が国民を固めるなら日本を敵国にすればよい、だからいつドカーンとくるか本当に読めない。中国が「あいつらやべーな、政権交代!」と言ってる準備している間にミサイルが日本に落ちたらそれだけでこっちは多数の死者を出すのだから、これは本当に気をつけてやって欲しい。

 

★このほか、民主化努力が進むミャンマー情勢やイランの核開発、治安が悪化するアフガニスタンへの支援問題も議題になったとみられる。

ここでやっと鳩山さんが中東訪問をしたのかが見えてくる。冒頭に出てくる「日米同盟をアジア太平洋地域における平和、安全保障、安定の礎にする」というのは、北東アジアで中国相手にどうこうだけじゃなくてイランやアフガニスタンまでよろしくって事だ。イラン、イラク、アフガニスタンなどはすでに米国の話を聞かないしイスラム国家として独立していく。その時にアジア全体でうまく固まってね、つまり中国の労働力と日本の技術力とロシアの暴力で抑えて欲しいって事だろう。

 

ミャンマーについてもアジアで大量の若者を抱えて低賃金で雇える市場として解放しようぜ、おれたち白人が表立って行けばベトナム戦争の再来とかトゲたつけど、民主化をお題目に日本などが行けば何とか格好つくじゃんか、だからよろしく〜でしょうな。もちろん最初に工場を作るのはナイキであろうが(笑)。

 

それにしてもぼくからすればイランやアフガンなどはアジアと思ってないのだが欧米から見ればスエズ以東はアジアとか、全く関係ないお荷物押し付けやがって、けど日本外務省からすればあそこって石油が採れるから何とかその線でどうにかなるかなって事だろう。

 

★両首脳は、民生用原子力や宇宙分野の日米協力などを盛り込んだ関連文書も併せて公表した。(2012/05/01-03:27

記事はこれで終了。原子力を進めていきますよって宣言は分かるが宇宙は具体的に何を指しているか分からない。

 

けどまあここ数年の外交にしては時期も良かったのだろうが、それなりに相手からきちんとした言葉がとれたのではないかって気がする。

 

My Word is My Bond” という古い英語がある。白人、特に英国系ってのは個人的に良い奴が多いし、ビジネスでも約束した事はわりかし守る。(仕事が上手かどうかは別だ)。個別の案件では基本条件がまとまっただけでありここから日本外務省のどじょうのようなぬるんるんとした駆け引きが始まり、いつの間にか最初に決めてた事と違う方向に動くことがある。

 

大事なのは穴の中に入った相手を引っ張りだすことであり、出してしまえば官僚は強い。いろんな評価がこれから出てくるだろうが、第一報を聞く限り「ほお、よくここまで押し込んだな」って思った今日の時事通信であった。

 

ついでに言えば、時事は通信と言うくらいなのだから他社よりも早くネットデビューしたらどうだろう。速報性と国際報道分析に限定すれば食っていけるのではないかな。



tom_eastwind at 13:09│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔