2012年05月09日

誰が残るのか?


★アゴラより抜粋開始

「私は過去何度もアゴラに書かして戴いたが、今後、日本には、「政治家」、「公務員」、「高齢者」、「生活保護受給者」といった、謂わば「税」に寄生する人種しか残らない。納税者の不在こそが、債務問題と併せ今後日本の喫緊課題になると予測するのである。」

★抜粋終了

 

初日の夜に寄ったシンガポールのバーではパナソニックの話題で賑やかだった。昨年度の大赤字を出して国内工場を閉鎖、シンガポールに移転するとの事。詳細は未定であるがそろそろ本格的に本社移転の話が出るのではないかと地元の日系社会では噂になっているそうだ。

 

日本のパナソニックが本社を移すかどうかは別にしても工場が移るだけで日本にとっては打撃だがそれはシンガポールにとってはクリーンヒットである。本社が来てくれればホームランものだ。それはシンガポールで雇用を生むし納税が発生する。シンガポールが豊かになるのだ。そのぶん日本の雇用が減少するし納税も減るといってもそれはゲームであり負けた日本が悪いのさってことになる。

 

ぼくは以前から不思議で仕方なかったのだが、非常に単純に考えてみて欲しい。小さな海辺の村がある。そこでは海に出て漁をするのが唯一の生活の糧であった。若者が海に出て老人は浜に上がった魚を処理し、刺身にしたり干物にしたり時には山間の村に売りに現金を得たりしていた。

 

ところが次第に若者がいなくなり皆が年寄りになり誰も海に出ることが出来なくなった。そうなれば魚は獲れずに食卓に並ぶおかずもなくなり最後はコメの飯とゴボウにたくあん。それでもまだ体が動くうちは良いがいよいよ誰も畑仕事に出られなくなれば最後はいったい誰が食い物を用意するのだろう?

 

本来なら次の世代が老人世代と同居しながら彼らを最後まで看取ることが出来るが肝心の若者が支えていけない時代がまもなくやって来る。1980年代に若者やってた人間はかなり人生を楽しんでたと思うし負担も少なく将来に夢もあった。けれど今の時代に若者やってる人々の負担の重さはどうなんか?

 

日本というサイズで考えるから誰かが助けてくれると思うかもしれないが家計に引き直してみれば分かる事だ。自宅にいるのは年取って働けないおじいさんとおばあさんに小学校に通っている子供が二人。お父さんとお母さんは給料が毎年下がって蓄えもどんどん減っていく。

 

家族全員で毎月30万円の収入が必要なのにお父さんとお母さんの給料を合わせても25万円しか収入がない。そのうち家族の生活に必要なお金が稼げなくなる。おじいさんとおばあさんには毎月5万円のお小遣いを渡す約束をしていたがそれも出来なくなった。

 

自宅を担保にして銀行からお金を借りるが、収入は増えないので返済するあてはない。借りたお金が返せなくなったら自宅を売却するしかない。そうすれば今度は借家に住んで家賃が必要となり更に生活が苦しくなる。

 

そのうち働いていた会社が工場を閉鎖して海外に移転してしまい、親の面倒を見なければいけない両親は退職するしかない。家賃は必要だし給料はなくなるし借金をしようにも貸してくれる人はいない。それがこれから起こる問題である。

 

今の日本は彼ら両親にとってどのような国に見えるのだろうか?シンガポールにパナソニックの本社が移転するのか?ソニーはどうするのか?日産はすでに外資でありタイで車を作り日本に輸出している。

 

家電メーカーからすれば今年軒並み赤字を出したのは、まさに政府に対して「出ていきますよ」の言い訳作りなのかもしれない。

 

政府からしても日本の構造改革が必要であり電気や水を使って古い技術でアジアと競争するようなメーカーは海外に出てもらっても良いと考えているのかもしれない。それによって雇用が減少しようと若者人口が減少しているわけであり介護事業がこれから成長するわけだからバランスとれてるじゃんか、そう考えているのかもしれない。

 

確かに全体の俯瞰図としては合っている。問題はその俯瞰図の中で使い捨ての捨て石になっていく人々である。日本が次に隆盛を極めるのは25年後だ。これから最初の5年は凄まじいまでの増税と仕事の減少と給与引き下げと事態が続く。富裕層の資産を取り上げて富裕層を崩壊させて全員を貧しい状態に追い込みガラガラポンの状態にする。

 

だから国からすれば25年後に向けた政策としては正解なのだから今は苦しくても「欲しがりません勝つまでは」となるのだろう。しかし今5歳の子供は30歳過ぎまで一度も楽しい思いをすることもなく日本を支えて生きていくしかない。

 

給料が毎月20万円ありません!なんて言っても更に下がる。中国の給料と同程度になるまで下がる。一応財務省の博打のネタとしてハイパーインフレーションは残っているが、それは切り札でありまだ出さない。その前にやるのは国民全体の締め付けである。

 

パナソニックがシンガポールに本社を移すようになれば日本に残る仕事はほんとうにサービス産業だけになりほんの一部の人々を除いてほとんどの子供や若者はなんの知識も学べず何の楽しみもなく毎日をただアパートと介護施設の行き来になるだろう。そんな日本に誰が残りたいのだろうか?

 

日本よさらば、パナソニックと共にシンガポールに移住しますってのが現実的な選択なのかもしれないが、ではパナソニック工場の隣で営業してた居酒屋はどこに行けばいいのだろう?これもやっぱり気合をかけてシンガポールに店を移して起業か?残ったおじいさんとおばあさんはどうするのか?

 

これからの5年の選択であなたの運命は決まる、ここで動かなくて後悔しても、それは自己責任としか言いようがない。逃げきれるか?残って運命と戦えるか?パナソニックと一緒にシンガポールに行くか?



tom_eastwind at 22:08│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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