2012年06月11日

永住権付き政府保証物件不動産投資!

まるで不動産屋の宣伝みたいだが(笑)、先週出てきた案件だ。以前も書いたがニュージーランドはリーマンショックとクライストチャーチ地震復興財源確保の為に海外からの投資を必要としている。

 

ジョン・キー首相は今朝のニュースでも教育費削減については断行すると言い切っており消費税も12.5%から15%に増税しており、GDP20%になる財政赤字を黒字化する為に国民全体に負担をお願いしている。

 

当然返す刀で銀行やファイナンス会社に「もっと外国に営業いかんかい!」とけしかけて、ANZなどはチームを作って海外ロードショーをやっている。去年の投資家プラス(1千万ドル投資)で移住してきた世界からの合計家族数は27家族。これで2億7千万ドル(162億円)の売上達成!他にも投資家(150万ドル・約1億円)枠で221家族、3億7千4百万ドル(261億8千万円)もある。

 

移民局が弁護士向けに作成したプレゼン資料の中には投資家ビザを発給することでNZ国内向けにxxM(ミリオン)ドルのお金が入ってきたと記されている。つまりビザは国家が人々を集めるための「手段」であり、目的は国内投資及び国内消費の活性化である。

 

それにしても日本の国家サイズから見れば小銭のようなお金だけどニュージーランドでは大金である。なにせ横浜市のサイズしかない国家なのだから。

 

21世紀の現在、世界の趨勢としては「これからは国境はない。優秀な人材と資金を集めるために国家として良い環境を提供する事が肝要だ」となっている。

 

シンガポールしかり英国しかり、20世紀においては人々の移動はないことを前提に国家が国民を収奪の対象と出来たが21世紀になると国境が消滅してしまい、人々の移動が自由になった。すると国家は会社のような存在になった。嫌ならやめます、である。つまりブラック企業には就職しません、ブラック国家に生まれ育ってもおとなになったらまともな企業に転職しますって事だ。

 

このような世界の情勢で自国の労働条件が悪ければ優秀な人間は当然転職してもっと労働条件の良い国家に移動する。この場合の国家の労働条件には色々ある。治安、税制、法整備、教育、医療、自然、環境、などなど。

 

もちろんその為には本人に一定の移動能力が求められる。世界で通用するために必要な英語能力、健康診断、無犯罪証明、資金、そして生き残る能力。それがなければ移住も出来ないし相手先国もビザを発行してくれない。この点、今まで自分を世界で通用する人間として鍛えてきたか?学校で何を学んだか?自分に投資をしてきたか?生き残る能力を身に付けたかとなる。まさに自己責任だ。

 

話を最初に戻すと「永住権付き政府保証物件不動産投資」というのは2つの部分に分かれる。一つはニュージーランドに投資をしてください、そしたら永住権を発行しますよって部分と政府が家賃保証する利回りの良い不動産に投資しませんかという部分だ。

 

永住権(Returning Resident Visa)は投資をすればすぐに発行されるが条件付きであり投資家プラスの場合は1千万ドル(約7億円)を3年間継続してNZに投資をすること、後半2年間は毎年44日以上滞在すること、投資家の場合は150万ドルを4年間継続してNZに投資をして2年目から毎年146日以上滞在すること、その後居住制限なしのIRRV(Indefinitely Returning Resident Visa )に切り替わる。(他にも細かい条件があるが書きだすときりがないので大きな点だけ書いた)

 

これは諸外国では珍しい。通常は永住権を取得しても一定の滞在日数がなければビザは期限切れになる。NZではIRRVになれば例え10年日本に戻ってても永住権は期限が切れない、Indefinitely(無期限)となるのだ。

 

もう一つの部分が投資先としての魅力だ。ニュージーランドは居住用物件を政府が投資家から借り上げて家賃保証をして低所得者に提供するプログラムがあり、これは一般的に知られている。しかしそれ以外にも政府が保証をする物件がある。

 

今手元にある物件は20年の定期借地権付きの大型住宅で政府評価額は200万ドル。年収益が19万ドル。つまり20年間は政府によって借り上げられており家賃は政府が保証しているのでまず取り漏れはない。管理は専任の管理者がいるので自分で管理する必要はない。

 

これなら政府の国債(年利2%)に比べて利回りが良い。NZドル建てになるので為替差益が出るか差損が出るかはその時にならないと分からないがNZドル建てで見れば確実に利益が出る。投資終了後に売却して売却益が出ればニュージーランドではキャピタルゲイン課税がないので無税で全額が手元に入ってくる。

 

良い話ばかりに見えるが投資なので100%安全とは言えない。けれどニュージーランド政府がデフォルトを起こすことは当面あり得ないだろうし、オークランド地域で地震が発生することもあまり考えられないので悪くない話とは言える。いずれにして100%安全な話なんてのは世界に存在しないのだからリスク管理は自己責任だ。

 

この案件に限らずだが、弁護士経由で先週からどどっと政府関連の案件が舞い込んできた。この弁護士は政府閣僚と直接ファーストネームで繋がっているような立場で政府も彼が外国人投資に強いのを知っているから直接に案件が送られてくるようだ。

 

今日はまさにニュージーランド政府のエージェントとして宣伝をしているようなものだが(笑)投資家ビザは現在政府が力を入れている分野である。他国と比較してよりよい条件でありながら国内の人々に納得してもらえるような条件にする、そのすり合わせが世界の情勢や国内情勢も加えて色々と変化していく。

 

今はニュージーランド政府として外国人受け入れを行なっているが、これは政策でありいつ変更になるかは誰も分からない。どの国も優秀な人物は欲しがっているがいつまでも同じ条件でずっと募集し続けるという事は考えないほうが良いと思う。



tom_eastwind at 12:25│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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