2012年10月10日

これからのキーウィウェイ

ちょっと興味ふかいアンケートがあった。

 

ニュージーランドはこれから外国人富裕層のタックスヘイブンになると思うか?

思う→73.93% 思わない→26.07% 総投票数2965

Is New Zealand becoming a tax haven for wealthy foreigners?

73.93% Yes  26.07% No  2965 Votes

 

僕もこの国がタックスヘイブンに近づくと思う。但しケイマン諸島とかのようなタックスヘイブン専門でペーパーカンパニーが増えるという意味ではなく西洋諸国が納得出来る範囲内で実業も含めて安い税率と住みやすい環境を提供するという意味でだ。

 

税率についてはこの国でも様々な税項目があり、モノによっては日本に存在しない税項目があるが、全体を合計すると北半球で納税するよりも安いのは事実である。そして何よりも良いのはこの国が富裕層に対しても非常に平等であり恣意的に狙い撃ちにするような「金の卵を生む鶏」を殺すような事はしないって意味でだ。

 

そしてケイマン諸島のように「タックスヘイブン」としてその取引が調査対象になるような事はなく「けっこうきれいな取引」と見做されるようになる。一番近いイメージはシンガポールだが、白人国家でありPureNZ(純粋NZ)であり政治が安定し汚職が殆ど存在しないのでシンガポールよりも頭ひとつ抜けた国家として見られるようになるであろう。

 

ぼくは仕事柄日頃付き合うキーウィといえば弁護士、会計士、企業経営者、政治家等で、彼らは目に見えない独特のネットワークを持っており、ぼくは村にやってきた旅人扱いであるから直接何かを聞くことはないが、それでもある程度の「雰囲気」を理解することは出来る。

 

その雰囲気とはやはり現在の首相ジョン・キーの空気である。英国伝統の「目に見えない空気」がNZにもあり、それは一般庶民が普段触れることがないが、どうも今はジョン・キーが英国の認可を得てこの国を変化させようとしているって事だ。

 

ジョン・キー自身は庶民層の出身であるが、その頭脳明晰で経済戦争に強く交渉力もあり夢と現実的な洞察力を持ち合わせているってので英国の支配層から「お前、ちっちゃな島だけど一つ頑張れや」と声を掛けられたような雰囲気があり、それが毎日のジョン・キーのテレビ出演と現在大きな問題になっているドットコム事件の進展にも影響を与えているような感じがする。

 

これはあくまでもよそ者が感じる「雰囲気」であり明文化されていない。誰も言わない。けど何だか、わかってる人はだれもがわかってるって感じかな。

 

そしてジョン・キーが目指そうとしているのがまさに富裕層向けの「安心して住める国家」の提供だと思う。安心とは「税金が手頃、治安が良い、空気が綺麗、核がない、地政学的に戦争が起こりにくい、教育も決して低くない」そんな要素だろう。

 

ただしこの国に来るためのバーは高く設定されており、今後富裕層が増えれば増えるほどそのバーは高くなるだろう。鉱物資源もなければ人口も少ない国が生き残るにはそれなりの工夫が必要なのだ。

 

だからアンケートでも今後のニュージーランドの方向性を問うているのだが、この国も早い者勝ちで永住権を提供していくだろう。今はまだ技能移民でも受け入れをしているがいずれそれはシンガポールのように永住権取得要件を厳しくしていくだろう。

 

ちなみに人口600万人程度の小国では、地元で生まれ育った約30%の国民を支配層として政治経済のトップに持ってきて次の30%を優秀な外国人ビジネスマン層で現場の仕事をさせて金を稼がせ、彼ら上級60%の日常生活を支えるために建設現場やレストランや農場で働く外国人短期労働者を入れるという政策がある。

 

現在のニュージーランドの人口は約400万人であるが毎年の人口増加により2050年頃には600万人くらいになるであろう。おそらくそのあたりを一つの目標として現在の政策が作られていくような気がする。

 

地元民優先で地元で生まれただけで一級市民になれて、どれだけ優秀でも地元で生まれてなかったらその世代は二級市民、けど二級市民の子供が頑張れば一級市民の仲間入りが出来るって雰囲気かな。

 

金も資源もない国が生き残る選択肢はタックスヘイブンである。その意味でこの国は新しい国家の形に変わろうとしている。今までの社会主義、すべての人々は機会平等結果平等ってところから、機会均等結果不平等が出てくるようになると思う。

 

流れは英国によって承認されて変わらないのであれば、早いうちにその流れに乗ることだ。これはぼくの現場体験としての推測であるから何の技術的証拠も見せることは出来ない。

 

けれどいつも、とくに今週なんてまさに毎日2〜3件のアポを入れて弁護士や会計士と次々と出てくる案件をこなしながら彼らの言い分が1年前と微妙に変化しているのを聞くと「おお、大きく流れが変化を始めたな」って感じる。



tom_eastwind at 17:50│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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